小さいうちから「鼻うがい」の習慣をつけていると、風邪を引きにくくなるなどのメリットがたくさん。特に鼻炎がひどい子どもには効果が期待できます。こどもに鼻うがいなんて難しそうと思いますが、できることから少しずつはじめてみることをおすすめします。子どもに鼻うがいを教える際の注意点とポイントについて、小児科看護師が紹介します。 

「鼻うがい」は何に効果がある?

iStock/nazar_ab

 

「鼻うがいはどうして必要なのか?」というご質問を受けますが、その効果はあまり知られていないかもしれません。「鼻うがい」の効果には、次のようなものがあります。

 

  • 鼻粘膜に付着した菌やウィルスを洗いながす
  • 花粉やハウスダストのアレルギー物質を取り除く
  •  
  • 鼻をかんでも出にくい粘り気のある鼻水を排出しやすくする

 

 

そのほか、インフルエンザや風邪、鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)などの予防にも、効果が期待できます。 「鼻うがい」をするには、正しいやり方と注意点をしっかり押さえてほしいと思います。具体的にご紹介します。

正しい「鼻うがい」のやり方

PhotoAC/risu

<用意するもの>

  • 0.9%食塩水(または専用の「鼻うがい洗浄液」)
  • ノズル付ボトル(100円ショップのドレッシングボトルがおすすめ)
  •  
  • タオル


「0.9%食塩水」の作り方:水を沸騰させて、冷ましたぬるま湯に「1リットルに対し9gの食塩」を入れて溶かす(作り置きせず、そのつど作ること)

<やり方>

1.ノズル付ボトルに食塩水(または洗浄液)をいれて準備します。

2.やや前かがみの状態で、容器を押しながら食塩水を鼻の中に流します(このとき「あー」と声を出すのがポイント)。

 

3.流し込んだ食塩水を口から出します。

 

4.鼻に入った洗浄液や鼻水をかんで外に出します(強くかまないように注意)。

 

5.2〜3度繰り返し、鼻水が出てこなくなったら終了です(1回200ml程度が目安)。

 

「鼻うがい」に水道水を使うときの注意

iStock/yu-ji

市販の「鼻うがい洗浄液」を使用するのが最も安全ですが、水道水で作った食塩水を使用することも可能です。ただしいくつか注意点があります。 最も注意したいのが、水道水に含まれる「非結核性抗酸菌」による慢性副鼻腔炎の可能性です。非結核性抗酸菌は、土や水など環境の至る所に生息している細菌で、水道水にも含まれていることがあります。 また非結核性抗酸菌だけではく、水道水で鼻うがいをしたことによりアメーバが脳に入り込み髄膜脳炎を引き起こした、という事例もあるのです(※1)

 

そのため水道水を使用して食塩水を作る場合は「一度煮沸した湯冷ましを用いる」「減菌水を使用する」といった対策を心がけましょう。ちなみに真水を使うと痛みが生じるため、浸透圧が体液と同じ「0.9%食塩水」を使って行います。

他にもあります「鼻うがい」の注意点

●顔を上に向けない

鼻から洗浄液を流すとき、顔を上げて流すと耳に洗浄液が流れ込みんで中耳炎を起こす可能性があります。必ず前かがみの状態で行ってください。

●洗浄中はつばを飲まない

鼻に洗浄液を流し込んでいるときにつばや洗浄液を飲み込もうとすると、耳に洗浄液が流れ込む可能性があるので、飲み込まないようにします。

●鼻うがいのあと、鼻を強くかまない

鼻うがいのあと鼻を強くかむと、洗浄液が耳に入って中耳炎を起こす可能性があります。鼻から洗浄液を出すときは、強くかみすぎないようにします。

●片鼻ずつ行う

洗浄液を流すときは、片鼻ずつ行います。両鼻から同時に吸い込むとむせてしまいます。

●やりすぎない!

鼻うがいは「1日1〜2回程度」にしましょう。1回のうがいも2〜3度繰り返す程度にし、鼻水が出てこなくなったらやめましょう。

子どもに「鼻うがい」をさせるポイント

iStock/maroke

大人でもちょっと難しい「鼻うがい」ですが、子どもに教える場合はどういった点に注意したら良いのでしょうか。ポイントをご紹介します。 

●話を理解できる年齢になってから始める

鼻うがいは間違った方法でやると、中耳炎を起こす可能性があります。ママの話を理解できる、4〜5歳くらいからはじめると良いでしょう。

●はじめる前に説明する

鼻うがいをする前に、なぜするのか・どうやってするのかをお子さんに必ず説明を行います。突然されると訳がわからず、パニックになってしまいます。何事も前もっての説明が大切です。

その際、動画などを見ながら、イメージトレーニングをしておくと、子どもにもよりわかりやすいですよ。また、親が実践して見せるのも良いですね。

●嫌がるときは無理にしない

お子さんが泣くと、洗浄液が耳の方へ勢いよく流れ込んだり、肺に流れたりすると危険です。嫌がるときは無理にしないようにしましょう。焦らずちょっとずつがポイントです!

●「あー」と声を出す

洗浄液を鼻に流すときにつばや洗浄液を飲み込もうとすると、耳に洗浄液が流れてしまうことについてお話ししましたが、鼻に洗浄液を流すときは、ママもお子さんと一緒に「あー」と声を出すようにし、促しながら行うと良いです。

●専用の洗浄ボトルがおすすめ

コップで洗浄液を流す方法もありますが、子どもの鼻うがいをする場合は、鼻のサイズに合った子ども専用の洗浄ボトルを使用するのが、使いやすくておすすめです。

 

(※1)手ピカジェル「感染症に関するトピックス 鼻うがい」

 

文:くまこ