働き方改革が叫ばれる今、導入する企業も増えているのが「在宅勤務」。 通勤時間が長い方や、業務の効率化を考えている人にとっては、魅力的な働き方のひとつではないでしょうか?
しかし、在宅ワークにはメリットがあればデメリットもあるもの。あらゆる働き方が注目されている今だからこそ、その両方を把握しておきたいところです。
在宅ワークの形態は人それぞれ!
近年注目されている「在宅ワーク」とは、勤務者がオフィスや店舗などに出向いて仕事をするのではなく、自宅で仕事をするスタイルのことを言います。
そもそも企業に所属することなく、一から自分で、家で仕事をしている方もいれば、特定の企業と雇用関係を結んでおり、その契約内容に基づいて在宅で勤務をしている方もいます。働き方改革によって増加しているのは、後者のパターンです。
とはいえ、在宅ワークを会社側が認めているか、どの程度の業務を在宅でこなしていけるのか、これらの点は、会社によって差が大きいポイントでもあります。 在宅勤務を選択したい!と思ったときには、自社の制度内容についてしっかりと把握するところからスタートしましょう。
在宅ワークなら働く時間を自由に調整できる?
在宅ワークをどのように進めていくかは、会社によっても異なるようです。 多くの場合、例えば、9時から17時が定時と決められているのであれば、在宅ワークをする場合も定時の時間に合わせて働くことを求められます。
また、当然のことですが、在宅ワークは休暇ではありません。 普段している仕事を、職場ではなく自宅でするということなので、業務時間中は基本的に仕事をする必要があります。
しかし、自宅にいるからこそできることも。 例えば、体調がすぐれずに保育園を休んだ子どもの面倒をみながら仕事をしたり。宅配便の荷物を仕事の合間に受け取ったり、休憩の時間を細切れにとることで、昼間のうちに家事を片付けたりすることが可能になります。
在宅ワークなら通勤時間の短縮できる!
日本は世界的にみても通勤時間が長い人が多いとされています。毎日会社と自宅の往復に1~2時間程度使っているという人は、少なくありません。
在宅勤務の場合、この通勤時間を丸ごと短縮することができます。 つまり、「午前9時55分までリビングの掃除をして、午前10時からパソコンで仕事をする」なんてことができてしまうのです。
長い通勤時間は自分時間として活用することもできますが、現実的には満員の人混みに揺られ、時には数時間立ちっぱなしということもあり、移動だけで疲れてしまうことも多いでしょう。 通勤時間がなくなることで、体力的にも精神的にもラクに過ごせるというのは、在宅ワークの大きな魅力のひとつではないでしょうか。
仕事とプライベートの切り替えは難しい…
嬉しいポイントが多い在宅ワークですが、残念ながらデメリットも存在しています。 最大のデメリットは、オンオフの切り替えが難しいということではないでしょうか。
通常の仕事スタイルであれば、「通勤」時間に、仕事モードと家庭モードを切り替えることができます。しかし在宅ワークの場合に、こうした境目は存在しません。
SNSを覗いてみると「飼っているペットに仕事を邪魔される…」という投稿や、「親が家にいることに子どものテンションが上がってしまって、遊ぼう攻撃がすごい!」というような投稿も。
そのため、自分でうまく切り替え方法を見つけておくことが重要になってきます。 おすすめの方法は、在宅ワークをするときでも仕事着に着替え、メイクをすること。せっかく家で仕事ができるのであればラクな格好とノーメイクで仕事をしたい…という気持ちもよくわかりますが、仕事モードに切り替えるには一番簡単な方法です。
また、可能であれば、仕事専用のスペースを作ってみましょう。
在宅ワークをするなら作業用スペースを作ろう
勤務場所の自由度が高いことが魅力の在宅ワークですが、自宅に仕事用の作業スペースを作らないというのは避けたいところ。「ソファにちょっと腰かけて…」や「ベッドに寝転びながら…」などはもっての外です。
オンとオフの切り替えが上手くいかないのはもちろんですが、本来くつろげるスペースが「兼作業スペース」になってしまいます。その結果、仕事も中途半端で、のんびりくつろぐこともできないという状態に。
小さなスペースでもいいので、自分だけの作業場所を確保しましょう。
また、専用スペースを作ることで、家族に理解を促せるという面もあります。
子どもを保育園に預けずに在宅ワークをする場合、子どもからしたらいつもは一緒に過ごせないママやパパと1日一緒に過ごせるということになるので、ついつい嬉しくなって遊んだりお出かけしたくなってしまうしまうでしょう。 あるいは、パートナーから「1日家にいるんだから、家事もできるよね」と言われるようなこともあるかもしれません。
しかし、在宅ワークとは休暇ではなく、出社してする仕事を家でしているという状態。 もちろん、急に面倒をみなくてはいけないような状況も発生するかもしれませんが、家にいるからといっていつでも好きな時に子どもと遊んだり、出かけていいわけではありません。
専用スペースがあれば「ここは私のスペースであり、ここにいる時は集中して仕事をしている」ということをパートナーや子どもにわかりやすく伝えることができます。
在宅ワークスペースはアレの前に設置を
次に作業スペースの場所についてです。場所をうまく選ぶことができると、作業効率も向上します。
左右前後にスペースが空いていると落ち着かないので、壁際に机を置く方は多いかもしれません。その時に気をつけておきたいのが机の位置です。 「目の前にコルクボードを置いて、メモを貼れるようにしたい!」などのこだわりがない限り、机の前は壁より窓がくるようにした方が良いでしょう。
壁が目の前にあると気が散りにくいというメリットもありますが、圧迫感で息苦しくなるというデメリットが大きいです。長時間の作業に集中するには不向きな環境と言えるでしょう。
また、窓が目の前にあることで太陽光が入ってきます。手元が明るくなるだけでなく、時間経過や天気の変化にも気づきやすくなりますね。 窓に目を向けると視界が広がるので、気分転換や合間の一呼吸にもなり、集中力の持続効果も期待できます。
どうしてもスペースが限られていて窓の周りに机を置けない場合は、椅子をずらして壁と離れられるような背後スペースを確保しておきましょう。簡単に圧迫感から解放されます。
集中力を高めたいなら「青色」を取り入れよう
人間は情報の約90%を視覚から得ていると言われています。机の上の整理整頓ももちろん大事ですが、色も整理してみましょう。机に向かった時に視界に入ってくる色(情報)を減らすことで、無意識に行っていた色による余計な混乱を防ぎます。
集中したいときにオススメな色は、鎮静効果のある青色です。作業スペースの一部に取り入れたり、ペンやファイルを青色にするなど気軽に始めてみてください。 興奮効果のある赤色、脳をリラックスさせる効果のある茶色やベージュは取り入れ方に気を付けましょう。
さらに、周りの音を工夫して集中力を高める方法もあります。 生活音が気になって作業が進まない方は耳栓をして、逆に無音の方が気になる方は鳥のさえずりや波の音など環境音をネット動画などで流すのが良いでしょう。
お気に入りの音楽を流すとテンションが上がってやる気になれる!集中力が上がる!という方もいらっしゃいますが、歌詞が入っている曲は気を取られがちなので注意しましょう。
私たちは想像以上に周りの物に影響されています。効きすぎる冷房や固くて自分に合わない椅子など、必要以上の緊張感はいりません。 快適な室温度・湿度、照明など、自分にあった作業環境をカスタマイズできる点も、在宅ワークのメリットの1つ。 こだわって、仕事のしやすい環境を整えてみてはいかがですか?
スマホは在宅ワークの敵
自宅で作業をしていると、どうしても甘い誘惑があります。作業の妨げになる物はあらかじめ収納しておきましょう。
マンガや雑誌を片付けるのはもちろん、テレビから離れたり、動かせない物の場合は布で目隠しをしたりするのも効果的です。 そして大敵はやはり「スマートフォン」でしょう。
ふと手に取れる場所にあると、ついダラダラ触りたくなってしまいます。できれば作業中は電源をOFFにしたいところですが、緊急の電話やメールがいつ来るかも分かりません。
そんな時は、視界から遠ざける・離れた場所に置くことを意識しましょう。腰を上げて取りに行くという1ミッションを挟むだけで、「用もなくスマートフォンを見る」行動を減らすことができます。
殺風景で机なんてますます向かう気になれない…という方は、仕事道具をお気に入りの物で揃えてみたり、一呼吸をおけるようなチョコやコーヒーを置いてみましょう。 短時間で気分転換ができる物を用意することで、モチベーションを上げる効果が期待できます。
モチベーションを上げる方法としてもう1つは、視界の入るところに目標を書いた紙を貼ることです。締め切り日やスケジュール、その月の目標などを目にすることで、仕事へのやる気や責任感が湧いてくるでしょう。
仕事をする上で適度な緊張感は必要です。メリハリをつけるためにも、作業スペースと居住スペースにギャップを作りましょう。
在宅ワーク中は意識的に周りとコミュニケーションを取ろう
仕事も家庭も「自宅」に集約することは、確かに効率的です。しかしその一方で、職場の同僚や上司とのコミュニケーションが希薄になりやすいというデメリットも。
普段オフィスで仕事をしていれば、ちょっとした相談やアドバイスは自然と行われるもの。しかし在宅勤務の場合は、こうした機会が非常に少なくなってしまいます。 自分自身が任された仕事は、自分自身の責任においてしっかりと仕上げなければいけません。そのため、不安や孤独感を抱いて しまうケースも多いようです。
また、勤務態度が見えにくくなる分、提出された成果物のみで評価が決まってしまうという側面もあります。
気になったことや相談事はビジネスチャットやメールなどでこまめに聞くように心がけましょう。 またチームのなかで仕事の進捗が見えやすくなるような工夫をするのもおすすめ。スケジュールを共有したり、日々の業務報告を普段より細かく行うことで、仕事の成果を見える化することができます。
多様な働き方の第一歩としての在宅ワーク
在宅ワークという仕事スタイルには、メリットもあればデメリットもあります。 オンオフの切り替えや、自宅の作業スペース作りなど、在宅ワークならではの工夫が求められることもありますが、在宅ワークでもしっかりと成果を出せるような仕組みを作ることによって、業務効率が上がり、仕事の質が上がるということも期待できます。
在宅ワークについて気になったら、まずは現在勤めている会社の制度や実績についてもリサーチしてみましょう。自分らしく働く第一歩として、今こそ在宅ワークを取り入れてみてはいかがでしょうか!
文/佐藤仁美