「ステップファミリー」ということばを聞いたことはありますか?

 

最近では、タレントの小倉優子さんが、自身のお子さん2人と養子縁組をして再婚した相手の男性との不仲が報道されて話題になり、ニュースで耳にしたと言う人もいるかもしれません。

 

今回は、「ステップファミリー」の意味や特有の悩み、子供の気持ちに寄り添う方法などを、経験者のママからも話を聞かせてもらいながら考えていきます。

 

「ステップファミリー」とは?

「ステップファミリー」はもともと欧米で使われていたことばで、再婚する夫婦のどちらか一方、または両方に前の配偶者との子どもがいる場合に、新しくできた家庭のことをこう呼びます。

 

この家族に至る前に、人生のワンステップを経ている…といった意味がこめられており、別名として「パッチワークファミリー」と呼ぶこともあります。

 

有名人では、爆笑問題の田中裕二さんとタレントの山口もえさん、堀ちえみさん、土屋アンナさん、広末涼子さんなどがステップファミリーとして子どもたちと結婚生活を送っています。

 

「セメントベビー」とは?

「ステップファミリー」は、聞いただけで意味がなんとなく伝わる気がしますが、さらに知名度の低いのが「セメントベビー」ということば。

 

こちらも欧米では一般的に使われており、再婚後の夫婦のあいだに新しく生まれた赤ちゃんを意味します。

 

もともと別の家族だったメンバーを、レンガやブロックを固めるセメントのようにくっつけてひとつにしてくれる存在…という意味がこめられているそうですが、なんとなく「セメント」の印象がよくないのか、日本ではあまり定着していないようです。

 

当事者になって初めてわかる悩みとは

厚生労働省が発表したデータによれば、2016年の時点で、全国の夫婦のうち、再婚は26.8%で、年々上昇傾向にあるそうです。

 

過去の日本では「離婚後は再婚せずに子供を育てる」という意識が強かったのが、近年では再婚に前向きな人も多いといわれています。

 

しかし、ステップファミリーには特有の悩みや困りごとがあり、自分が当事者になってみて初めてそれを実感し、困っている人も少なくないようです。

 

実際にステップファミリーとして暮らしているママに、その悩みや困りごとについて教えてもらいました。

 

Eさん(33歳)は現在、1年生と5歳、再婚後に生まれた0歳のお子さんがいます。

 

「再婚当時、子どもたち4歳と2歳。前夫は、次男が生まれたばかりなのに借金などの問題でトラブルが絶えず、子どもたちの将来のためにも…と離婚して、2年ほど経ったところでした。今の夫とは何度か子どもたちも一緒に会い、子どもたちを大切にしてくれそうだったので、思い切って再婚を決めました」

 

現在は、家族として当たり前の苦労はあるものの仲良く暮らしている、というEさん一家ですが、再婚当初は色々と困ったこともあったそうです。

 

「夫は自身が姉と2人きょうだいで育てられ、日曜の朝から暴れる男の子2人の騒がしさに驚いたようです。最初は私に、しだいに子どもたちにも厳しく注意するようになり、雰囲気が悪くなりました。叱られるとやはりママがいいと言って逃げてきますし、悪循環で」

 

「私も、シングルマザーでフルタイムで働き子どもたちに淋しい思いをさせている負い目がどこかにあったのか、家ではあまりガミガミ言わずにいたいと思っていて。結果、聞き分けがなくなってしまったのかも…と思い、それからはできるだけ私が叱る側に回りました」

 

夫には、子どもたちと心から信頼関係ができるまでは、緊急時以外はできるだけ注意したり怒ったりしなくてすむよう、フォロー役に回ってもらったといいます。

 

「おかげで私はちょっと憎まれ役になる回数が増えましたが、子どもたちは何かあると夫を頼っていくようになり、今ではとても打ち解けています。作戦成功したんじゃないかなと」。

 

Nさん(35歳)の場合は、反対に、再婚時に夫が7歳の子を連れていました。

 

「私は初婚で両親にもかなり反対されました。娘も思春期手前だし、反抗期の子を育てるのは大変、赤ちゃんができたら分け隔てなくかわいがれるのかと」

 

しかし、夫の人柄にひかれていたNさんは結婚を決断。

 

「最初はお互い遠慮してしまって。友だちと遊んで帰りが少し遅くなったりしても、私もどこまで注意していいものか分からず困りました」

 

夫に相談すると、家族なんだからどんどん注意すればいいと言われたそうですが、Nさんが実の母よりも5歳ほど若く、年頃ということもあってか、注意が続くとジロッとにらまれたり、無視されたりで「心が折れそうになりました」とのこと。

 

あまり関係性のよくない中、年末年始に夫の実家に一緒に帰ることになり、

 

「私の分からない昔の話で義母と夫と娘が盛り上がっていたんです。娘もママ(実母)がこうだったね、と笑顔で話していて。悪気がないのは分かっているのですが、大きな疎外感が…1人でトイレに行って泣いてしまいました」

 

といいます。

 

ステップファミリー経験のあるママに聞く「子供の気持ち」

再婚時には親の側にもいろいろな悩みがありますが、当然、子どもにも色々な思いが生まれることは間違いありません。

 

自分自身がステップファミリーだった人から、子どもの頃に感じていた気持ちを聞かせてもらったところ、以下のような声が代表的でした。

 

「本当の親じゃないのに、なぜこの人に叱られないといけないのかという反発」

 

「自分ときょうだい(実子)の扱いが違うのがつらい」

 

「母ときょうだい(実子)とは暗黙の了解のように通じることが、自分だけ通じなかった」

 

「好かれたくて無理にいい子にしたり、おどけたりしていた」

 

「苗字が変わるのが嫌だった」

 

「実の親にあまり会わせてもらえないのが悲しかった」

 

「新しい親と仲良くすると、実の親に申し訳ない・後ろめたいと感じた」

 

「大人の男性と同じ家に暮らすのが怖かった」

 

「親の恋愛感情を見せられるのに抵抗があった」

 

など、子どもは親に喜んでほしい、幸せになってほしいという願いから口に出して言わないこともありますが、さまざまな思いを抱えていることがわかります。

 

ステップファミリーになるとき、親にできること

親の再婚は、子どもにとって環境が大きく変わるできごとであり、そこには必ずしもポジティブな変化だけがあるとは限りません。

 

子どもの気持ちに最大限寄り添うために、親にはなにができるでしょうか?

 

ふたたび、ステップファミリーとして暮らすママ・パパに話を聞いてみると、次のようなアドバイスをしてくれました。

 

「実の兄弟姉妹でも、何の気なしに、連続でどちらかに小さい方の果物をあげてしまった、上の子の話を聞くのを何度も後回しにしてしまった…ということは頻繁に起こります。でも、子どもは、本当の子じゃないから…と判断してしまうかもしれない。そう思って、不公平のないように接するのはすごく気を付けています」(Iさん・35歳・3年生と6歳の実子、1年生の継子のママ)

 

「この子たちの実の父親や、祖父母などと会うのは制限しないようにしています。最初、今の妻が、新しい家庭になじんでほしいから、しばらく向こうと会うのを制限しようかと言ってくれたのですが、それは法的にも子どもの気持ち的にもやってはいけないことだと思いました。子どもたちにも、悩みがある時は、話してくれたらうれしいけど、(実の)お父さんに相談しても全然気にしないからねと言っています」(Tさん・39歳・中1と4年生の継子・再婚後に生まれた2歳児のパパ)

 

「職場の先輩にステップファミリーの方がいたので、うまく行くか心配で相談したんです。すると、無理にママとかお母さんって呼ばせなくていいよとアドバイスされました。私の子は私をママと呼んでいるので最初は抵抗があったのですが、思い切って〇ちゃんって呼んでねと。そうすると、なんだか気が楽になり…まずは第3の守ってくれる大人くらいの存在になれればと思いました。でも、結局半年もしないうちに、全員がママと呼んでくれるようになったんです。最初から強制していたら、私の態度も違っていたような気がして、どうなっていたかは分かりません」(Hさん・36歳・2年生の実子・5歳と3歳の継子のママ)

 

「私と息子、妻には子どもがいないという組み合わせだったので、妻には常に、何か困ってることはない?と聞くようにしていました」(Fさん・38歳・3年生の実子のパパ)

 

おわりに

今回は、「ステップファミリー」が抱える悩みといいつつ、よく見れば実はどの家庭にも起こりうる悩みや問題点も数多くありました。

 

子どもとの約束を忘れたり、夫婦で育児方針が違ったり、知らないうちにきょうだいに不公平な態度を取ってしまったり。それでも血のつながりがあるから、少しくらい子どもの気持ちを雑に扱っても大丈夫…そんな甘えが出てしまうのかもしれません。

 

生まれた時から親子だから、ステップファミリーだから…という枠組みにとらわれず、常に1対1で子どもと向き合っていくことが何より大切なのではないでしょうか。

 

文/高谷みえこ

参考/厚生労働省平成「平成28年度 婚姻に関する統計」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin16/dl/01.pdf