政府は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、2020年3月2日から全国の小・中学校と高校に臨時休校を要請しました。

 

この臨時休校で、子育て中の働くママ・パパたちが「一番困ること」は何か、それに対して個人レベルでできる対処法と、こんな制度があったらいいのに…と思うことをアンケート形式で聞いてみました。

 

全国のママ・パパにアンケート!休校休園の状況は?

現在、各地のリアルな状況はどうなっているのでしょうか?

 

アンケートの回答には次のようなものがありました。

 

「幼稚園年中の息子、3月12日まで自主登園です。午後2時からの預かり保育は、親が働いている子のみ利用可となっています」(Gさん・パート勤務・兵庫県)

 

「小学4年生と2年生、春休みまで休校です。私は在宅ワークなので仕事には大きな影響はありませんが、本当に急ですよね」(Tさん・フリーランス・埼玉県)

 

「TVで臨時休校のニュースを見て、春休みまでのシフトどうしようと焦ったのですが、帰宅した子どもから受け取ったプリントには休校しない方針とありました。とはいえ感染状況次第でいつ変わるか分からないのでハラハラしています」(Uさん・派遣勤務・石川県)

 

「幼稚園年少児が児童発達支援サービスを利用しています。子どもたち同士の接触を減らすため時間が前半後半に分けられ、いずれかの時間のみ利用できるという形になりました」(Kさん・公務員・広島県)

 

「中3の長男は、卒業式のみ規模を縮小して行い、それ以外の日は休校です。入試もあるので家にいるのは不安ですが、感染も困るから仕方ないですね…小5の長女も春休みまで休校です」(Yさん・会社員・大阪府)

 

今回の要請について、文部科学省が各自治体へ出した通知には、

 

臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者に

おいて判断いただくことを妨げるものではありません。 

とあります。

 

つまり必ず休校しなければならないわけではなく、実際、3月2日時点で全国295校は授業を継続しています。

 

また、保育園と幼稚園、学童保育(児童クラブ)、放課後デイサービス(特別支援学級の子どもたちの預かり)は原則1日8時間開所とし、1人で留守番できない子どもたちの親が仕事を休まなくても済むよう呼びかけています。

 

しかし、こちらも全国一律ではなく、特に学童保育は急に朝から勤務可能なスタッフが確保できないなどの事情で、1年生の子どもの居場所がなく、親が仕事を休まざるを得ない…という地域も出ています。

 

次に、アンケートで分かったママ・パパたちの懸念と、どのような対処を取っているのかを紹介していきます。

 

心配なこと1「勉強が遅れるんじゃ…」

通常であれば3月15日前後に卒業式、24日頃に修了式のある学校がほとんどですが、3月2日の時点では、中3・高3をのぞいては、年度内の単元がまだ終わっていない学校が多いのではないでしょうか。

 

新学年までにどう追いつけばいいのか、到達度はどうやって測るのか…を、多くの保護者が心配しています。

 

「娘が6年生です。卒業式(規模縮小)以外は休校ですが、まだ若干終わっていない教科や、まとめテストが実施されておらず、このまま中学に進学して大丈夫なのか心配です。私も分かる部分は教えますが、どこまで進んだのか子どもに聞いてもいま一つ要領を得ない。中学入学後に、3月分の補習をしてもらえるといいのですが…」(Jさん・会社員・愛知県)

 

「娘は2年生です。宿題があるにはあるのですが、1か月以上もかかるようなものではなく、テレビにゲームにひたすらだらだらしそうな予感。心配なので私もパートの出勤日を減らして娘と一緒に活動する時間を増やし、メリハリのある生活をしようと思ってます」(Fさん・パート勤務・千葉県)

 

休校中の学習の進め方については、各学校や塾などで検討後、今後、順次連絡があるはずです。

 

また、経済産業省のサイトには、休校期間中、無料で利用できる学習サービスの一覧がまとめられていますので、お子さんの年齢や好みに合ったものを利用するのもおすすめです。

 

経済産業省「新型コロナ感染症による学校休業対策『#学びを止めない未来の教室』~learning innovation~」

https://www.learning-innovation.go.jp/covid_19/page/3/?fbclid=IwAR3FsXLqtJvCmkldMOt0KYflCN42bewTltyuGFkJUZqHztI-MFEQL1Qqu80

 

また、科学が好きな子はもちろん、そうでない子もゲーム感覚で楽しめそうなコンテンツを集めた以下のようなサイトもオープンしています。

 

科学技術広報研究会 臨時休校対応特別企画「休校中の子供たちにぜひ見て欲しい科学技術の面白デジタルコンテンツ」



https://sites.google.com/view/jacst-for-kids/home

 

心配なこと2「運動不足と体力低下」

「長男が中2、次男が4年生です。基本的に休校中は不要不急の外出は禁止ですよね。外で身体を動かせないのでストレスがたまるばかりか、体力も低下してしまいそう…。長男はサッカー部なのですが、部活の練習も休止なので、体力や技術が落ちてしまうと春以降のレギュラーが取れないと心配で。毎日、人の少ない場所でランニングや自主練習をするそうです」(Mさん・団体職員・愛媛県)

 

「うちの子は小学3年生なので留守番はできそうですが、家にこもったままでは気も滅入るし、体力低下が気になります。できるだけ、人の少ない時間にお散歩したり縄跳びしたり、親子で身体を動かせる遊びを取り入れていきたいです」(Hさん・パート勤務・大分県)

 

心配なこと3「火事や犯罪に巻き込まれない?」

「ネットで、小学生の子どもが留守番できないなんてしつけがなっていない、甘やかしている…という書き込みを見かけました。でも昔は祖父母もいて、近所の人と顔見知りで、地域の見守り効果がありましたが、今は万が一のことがあっても誰も気付かないことが多いですよね」と言うのはAさん(パート勤務・東京都)。

 

「息子たちは小学校2年生の双子ですが、やっぱりテンションが上がるとカギもかけずに出ていくこともありますし、宅配便は出なくていいと言ったのに、私が帰ってきたと思ってガチャッと開けてしまったことも…その子の性格によりますが、低学年のうちは、1日ならともかく、長期間子どもだけで留守番させるのには不安があります」

 

心配なこと4「淋しい…という子どものメンタル」

年齢的に1人で留守番ができる小学校中~高学年の子でも、日中ずっと1人きりでは淋しいだろうと心配なママも多いようです。

 

「娘は4年生。仕事はある程度休めそうなものの、私立中学の受験を考えているので収入が減るのはできるだけ避けたいんです。でも、学校だけでなく塾もお休みとなってしまい、友だちとも会えないので、子ども自身が毎日朝から晩まで1人で過ごすのは不安だと言います。仕事を減らして一緒にいてあげるのがいいのか、言い聞かせて1人で過ごさせるのがいいのか…」(Sさん・公務員・福井県)

 

「活発な盛りの小5の次男。友だちと遊ぶのも原則禁止なので、家の中で暇を持て余して暴れそうで、私まできっとイライラしてしまうのでしょう…週1日くらい、しっかりマスクや手洗いするのを条件に登校することってできないでしょうか」(Nさん・自営業・大阪府)

 

上記については、現在、いったん休校が決まったものの希望する児童生徒を受け入れるよう取り組みを始めた自治体もあります。今後の動きを注視したいですね。

 

心配なこと5「仕事を休める?収入はどうなるの?」

子どもの勉強や健康・メンタル面はもちろん大切ですが、心配だからそばにいてあげようと思っても仕事が休めるかどうか…と心配する人も多くいました。

 

「リモートワークや時差出勤、在宅勤務…小さい子がいる社員には助かる制度ですが、上層部は育児も家事も専業主婦の妻にまかせっきりだった男性ばかり。想像できないからそんなことにお金をかけるわけがなく今に至っています。テレワークや在宅勤務がしたいと申し出ても、そんなシステムはないと言うでしょうね。今回のような時に対応できない会社では、優秀な人は転職、人手不足の中、新卒も来てくれないでしょう」(Kさん・会社員・東京都)

 

「夫の職場では毎日の体温測定が義務になりました。今は何ともありませんが、リモートワークできる職ではないので、仮に夫が感染して出勤できなくなったり、会社の業績が悪化して収入減になったら困りますよね…私が今以上働くしかないですが」(Eさん・フリーランス・福岡県)

 

現在、大手企業を中心に、子どもの休校で有給休暇を使い切った社員への特別休暇や、休校が解除されるまで何日休んでも給与が出るといった制度が設けられてしています。

 

しかし、なかなかすべての保護者が安心して家で子どもといられる環境ではなく、

 

「休んで業務が遅れたり、子どものいない他の社員に仕事を替わってもらったりが長期化すると、評価が下げられたり、退職せざるを得なくなるのではないかと…」(Yさん・会社員・北海道)

 

と心配して休めず、低学年の子どもを1人で留守番させざるを得ない人もいます。

 

「パートなのでなんとか休みは取れましたが、その分収入が減ってしまい、ローンの支払いをどうしようかと頭を抱えています」(Wさん・神奈川県)

 

この収入減の問題については、3月2日に新しく支援制度が発表されました。

小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保 護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規・非正規を問わず、労働基準法上の年次有給 休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金を創設。

正社員だけではなく、派遣やパートなどの非正規雇用でも、休校・または風邪症状で欠席した小学生の子どもを家で面倒を見るため休んだ社員には、賃金の全額(ただし上限8330円)分の助成金が国から会社に給付されます。

 

なかには「雇用保険に入ってないから…」などの理由をつけて社員を休ませず、助成金だけを受け取ろうとする悪質な会社があるとも言われていますが、非正規雇用でも、雇用保険に入っていなくても、すべての給与所得者に適用されます。

 

ただし、この制度では自営業やフリーランスで働く人は対象外となります。自営業や在宅ワークでも、小さい子の面倒を見ながらできない仕事も当然あるため、休業を余儀なくされる人も。

 

これについて国は「緊急貸し付け・保証枠として5000億円の確保の措置を講じる」としましたが、「単に借金させるだけじゃないか」「会社員はもらえるのに、なぜ自営業だけ返さないといけないの?」という批判も集まっているため、今後別の動きがあるかもしれません。

 

このほか、困った点としては

 

「小学生や幼稚園もお休みしているところもあるなか、保育園登園はありがたいのですが、わが子の感染も心配で迷っています。低学年のお子さんがいて困っている保育士さんもいるので、なるべく私も休みを取って保育園を休もうと思っています」

 

といった声や、

 

「園が自由登園になり給食が中止。出勤前にお弁当を作るため、さらに睡眠時間が短くなりました」

 

「紙おむつが買えないととても困ります。買い占めや転売をする人は見つけ出して厳罰に処してほしい」

 

などの声もありました。

 

おわりに

今回のアンケートから見えてきたのは、「子どもたちの感染拡大防止や、リスクの高い人へ知らないうちに感染させないために、休校やむなしとは思うけど…いろいろ大変!」というママ・パパたちの嘆きでした。

 

子どもたちの心身のケアや学力維持のため、今回の記事も参考に、正しく最新情報をチェックしていきましょう。

 

文/高谷みえこ

参考/新型コロナウイルス感染症対策のための小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業について(通知)https://www.mext.go.jp/content/202002228-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
NHKニュース 臨時休校要請も「休校せず」の小中学校は295校(2日時点)|https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200302/k10012310281000.html
小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度の創設)https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000601848.pdf