小児の発熱症状を医学的に考えるとき、「生後3か月未満」と「生後3か月以降」に分けて考える必要があります。それぞれの時期の子どもでの「発熱」の考え方と原因、受診の目安について、小児科医が解説します。
「生後3か月未満」の発熱について
生後3か月までは、熱が出ることは少ないとされています。これは母親から胎盤を通して移行した「免疫グロブリン」という、ウイルスに対しての抗体によるもの。 とはいえ発熱がまったくないわけではなく、大半は何らかのウイルス感染による「かぜ症候群」であることがほとんどです。 また、この時期は免疫が未熟であるため、一定数の割合で重篤な細菌感染症に至ることがあります。
生後3か月未満おいては、次のような要因で発熱するという報告もあります
(※1)。 ●菌血症(きんけつしょう)血流内へ細菌が入り込むことで全身に菌がめぐる疾患 ●細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)
頭蓋骨と脳・脊髄の間にある髄膜が感染する疾患 ●尿路感染症
尿道から侵入した細菌が、膀胱や腎臓に感染する疾患 ●肺炎
肺胞や周辺組織に細菌やウイルスが感染する疾患 これらの感染症は、いち早く治療を受ける必要があります。38度以上の発熱があれば、夜間であっても急患診療所を受診しましょう。
「生後3か月以降」の乳幼児発熱について
生後3か月を過ぎると、かぜをひく頻度が高くなります。また、発熱による悪寒や体力消耗、熱性けいれんなどの症状がみられることも。 ただしその一方で、発熱によって免疫の働きを高め、生体の防御力が強まるとも言われています。 つまり生後3か月以降の発熱には、良い影響と悪い影響があり、すべてのケースで解熱が必要となるわけではありません
(※2)。