グローバル化が進み、今や仕事のなかで外国語を聞いたり話したりする能力が求められることも珍しくなくなりました。
現在の仕事で外国語を使わないという人にとっても、今後のキャリアを築く上で語学力は大きな強みになります。 転職をする際にも、応募資格として「TOEIC800点以上」「語学資格を持っていること」などと、語学力を問われるケースもあります。
そこで、今回は働く世代におすすめの“本当に役立つ英語の資格”をご紹介したいと思います。
英語の資格にはどんなものがあるの?
これからは日本も国際化の時代。 今、英語学習や資格をめぐる制度は大幅に変わりつつあります。
数多く存在する英語に関する資格のなかから、日本で取得できる主な資格をご紹介したいと思います。
①TOEIC
アメリカのEducational Testing Service(ETS)と一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が運営するTOEICは、資格といっても合否があるわけではありません。
学生時代に受験したことがある方も多いかもしれませんが、試験の点数で習熟度を判断します。
最近では採用基準にTOEICスコア何点以上という項目を設けている企業もあり、就職や転職の際優位となる資格だと言えるでしょう。
②実用英語技能検定(英検)
文部科学省公認のこの資格は、公益財団法人日本英語検定協会により1963年に設立されました。
2018年度(2018/4/1~2019/3/31)の受験数は約386万人。 なかには学生時代に受験したという方もいらっしゃるかもしれません。
③TOEFL
TOEICの主催団体であるETSが運営しているTOEFLは、アメリカ、イギリス、フランスなど世界150か国、1万件以上の大学や機関がスコアを英語の習熟度の証明として認定しています。
英語圏の大学に留学したい人には要チェックな資格です。
④IELTS
公益財団法人日本英語推進協会とブリティッシュカウンシルが共同で試験の実施や広報活動を行っているIELTS。 140か国1200以上の会場で受験が可能で、1万件以上の機関が認定している資格です。
アメリカ、イギリスなどへの留学、イギリス、カナダ、オーストラリアへの移住などを考える人には最適な資格です。
⑤全国通訳案内士試験
観光庁の代行機関である日本政府観光局(JNTO)が主催する全国通訳案内士試験は、日本の英語試験としては唯一の国家資格です。
海外の人に日本を紹介するための試験ということで、語学だけでなく日本の地理・歴史、一般常識なども出題されるのが特徴です。
⑥日商ビジネス英語検定
日本商工会議所が主催する日商ビジネス英語検定は、商社などの海外取引のための実務&コミュニケーションを問われる資格。
「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能のうち、書く(Writing)ことを重視した試験内容が特徴です。
⑦ケンブリッジ英検
日本ではあまり有名ではありませんが、海外ではかなりのネームバリューを持ち、2万件以上の大学、企業、行政機関が認定し、世界130か国、年間500万人が受験しています。
海外の大学への入学、就学ビザ取得に優位となる資格です。
役立つ英語の資格はどれ?
前ページでは日本や海外で人気のある7つの英語検定をご紹介しました。
しかし、やはり気になるのは「どの資格をとるといいのか」ということではないでしょうか?
結論から言ってしまえば、「資格を取得する目的によって、役立つ資格は異なる」ということになります。
ここでは、7つの資格を4つの切り口で比較してみました。 みなさんの目的や、優先したいことを踏まえ、“役立つ”資格を見つけてみてください。
目的1:日本で就職・転職するときにアピールしたい
海外ではそこまで有名でないものの、日本では就職・転職に効果大と言われているのがTOEICと英検です。
英検なら2級以上(高校卒業程度)、TOEICなら650点以上が、履歴書への記載の目安となっています。
英検は4技能(聞く・読む・話す・書く)全てが出題されます。2020年4月より、専用の会場で専用のPCを使って1日で行うCBT(解答入力がキーボード)、S-CBT(一部紙での解答)方式が従来の形式に加わります。
TOEICは日常生活やグローバルビジネスを見据えた出題内容で、Listening & Reading Test(聞く・読む)とSpeaking & Writing Test(話す・書く)の2種類に分かれています。
この2つはいずれも就職や転職の際に役立つ資格です。
目的2:海外で暮らしたい
海外での就職や移住を考えているなら、海外での認知度が高いIELTSやTOEFLを受験するのがおすすめです。 また、前項目では紹介しませんでしたが、国連英検(国際連合公用語英語検定試験)という試験もあります。
IELTSはアメリカやイギリスへの留学や研修、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの海外移住申請に適していると言われています。
試験はアカデミックとジェネラルに別れており、Writing、Reading、Listening、Speakingの4つの試験から構成されています。 アカデミックは大学留学のための専門的知識が要求され、ジェネラルより難易度が高いのが特徴。
TOEFLはオーストラリアの学生・就労・技術永住ビザ申請に必要な言語能力の証明として使用可能となっており、試験内容は4技能全てが出題されます。
国連英検(国際連合公用語英語検定試験)は、中学生から受験可能で、特A~E級の6段階があります。
リスニングのポイントが高いことが特徴で、また国際協力、国際理解がコンセプトのため、問題には世界経済や政治などが出題されます。 国連職員など、国際公務員を目指す人にとっては必須の試験です。
目的3:できるだけ費用をかけずに英語の資格を取得したい
受験料だけで①~⑦までを比較すると、次のようになります。
1位:日商ビジネス英語検定 4,200円~(受験級によって変わります)
2位:実用英語技能検定 2,600円~(受験級・会場によって変わります)
3位:TOEIC(6490円)
4位:全国通訳案内士試験(11,700円)
5位:ケンブリッジ英検 9,900円~(受験内容・会場によって変わります)
6位:IELTS(25,380円)
6位:TOEFL(235米ドル(約25,380円:1ドル108円で換算)
*2020年1月現在の値(各運営団体のHP参照)
費用面を考えるのであれば、1〜3位の資格がおすすめです。 4位~6位までは受験だけで1万以上のためちょっとお財布には厳しい試験ですが、その分冷やかし受験では勿体ないので本気モードになれるかも知れません。
目的4:できるだけ受かりやすい試験を受けたい
1年に受験できる回数が多いほど、合格やスコアアップのチャンスがあるとみなして、7つの試験を比べてみました。
1位:IELTS:ほぼ毎週(会場や受験内容により違う場合もあります)
2位:TOEFL:ほぼ毎週(会場や受験内容により違う場合もあります)
3位:TOEIC:年10回
4位:ケンブリッジ英検:年4回(会場や受験内容により違う場合もあります)
5位:実用英語技能検定:年3回
6位:全国通訳案内士試験:年1回
日商ビジネス英語検定は実施機関ごとに随時日程が変わっていくようです。
総合的にチャレンジしやすい英語資格はどれ?
目的別に4つの切り口で比べてみましたが、比較的挑戦しやすく取得しやすい資格は、TOEICではないでしょうか。
日本での仕事や生活で役に立つ点や、合否ではなく点数であること、実施回数が多く受験科目も少なく、受験費用も安いTOEICは日本では抜群の知名度があるので、様々な場面で役に立つと言えそうです。
実務に即した英語が使えることをアピールしたいのであれば、日商ビジネス英語もおすすめ。 1級以外は実施回数が多く、受験費用が安価なので、チャレンジしてみて損はありません。
今年は英語の資格を取って、一歩進んでみよう
語学の資格は仕事において強みになるだけでなく、趣味や余暇でも生かすことができます。 また、転職やキャリアアップを考えていない人も、資格取得を通して新しい夢が見つかるかもしれません。
新しいことにチャレンジしてみたいと思ったら、英語の資格取得を考えてみてはいかがでしょうか!
【参照サイト】
IELTS:https://www.eiken.or.jp/ielts/
TOEFL:http://www.ets.org/jp/toefl
日商ビジネス英語:https://www.kentei.ne.jp/english
TOEIC:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/guide01.html
ケンブリッジ英検:https://www.cambridgeenglish.org/jp/exams-and-tests/
実用英語技能検定:https://www.eiken.or.jp/eiken/
全国通訳案内士試験:https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/
国連英検:http://www.kokureneiken.jp/
文/佐藤仁美