「発達障害」については、著名人が自身の発達障害について公表するなど、メディアでも目にすることが増え、認知度も上がってきています。近年、その概念や診断基準が変わってきていることがも、身近に感じるようになった要因のひとつかもしれません。精神科医で発達障害の大家・本田秀夫先生の講演内容をもとに「発達障害とのつき合い方」をまとめました。

 

 

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「自閉スペクトラム」は就学前児童の5人に1人

 

「発達障害」の概念や診断、治療はここ40年で大きく変化しています。 以前まで使われていた「広汎性発達障害」という分類はなくなり、いまは「自閉スペクトラム症」の中に「自閉症」や「アスペルガー症候群」などが含まれます。

 

臨機応変な対人関係が苦手、自分の関心ややり方、ペースの維持を最優先させたいなど、強いこだわりがある「自閉スペクトラム」。 有病率は0.1〜0.3%と思われていましたが、最近では就学前児童の5%といわれています。 100人いれば5人、1000人いれば50人…この数に対し、みなさんはどう思われるでしょう?

 

「自閉スペクトラム」があっても、社会的に問題がなければ「自閉スペクトラム症」とは呼ばず、治療や介入が必要のないケースも多くあります。 また「自閉スペクトラム」と「注意欠如障害(ADD)/注意欠如多動性障害(ADHD)など、それぞれが軽度でも合併することで、障害が顕性化することも見られています。