子どもにとって、両親の言動は成長に大きな影響を与えます。以前ネット上では「親に肯定されて育った人」についての議論が白熱していました。“肯定されて育つこと”にまつわる様々な意見を見ていきましょう。

肯定されて育った人たちの体験談

子育て中の女性は、「否定されて育った子どもの話はよく聞くのですが、肯定されて育った人のお話も聞きたいです」と前置き。その後「やっぱり自信を持てるんですか? もしかしたら良いことだけでなく、プライドが高くなったり打たれ弱くなったりするものでしょうか?」と質問を投げかけました。

 

この疑問に、肯定されて育った人から様々な声が寄せられています。 「何事もポジティブに考えられるようになった気がする」「自己肯定感が強いので、周りの評価でへこむことがないと思っています」と、前向きな人間になれたという答えが。また「周りの人と円滑にコミュニケーションがとれて、困った時も助けてもらいやすい」など、肯定されて育つことが人生にプラスに働いた人もいるようです。

 

そのほか「親に肯定されたことで勉強を頑張れた」という声もあり、人格形成だけでなく子どものやる気を引き出す効果もあるよう。「チャレンジに失敗しても、家という“帰る場所”があるから安心できた思い出がある」「受験勉強の時に両親が辛抱強く応援してくれたので、最後まで心が折れなかったです」という意見も上がっていました。

 

プライドが高くなりすぎて困った実体験

肯定されたことに恩恵を感じる人がいる一方、お悩みを抱える人も。寄せられた経験談の中には、「社会にでた時、低すぎる自分のレベルを知って自信を失った」「ずっと褒められてきたので、ムダにプライドが高くなってしまって悩んでる」などの声が。両親から褒められてきた分、否定されることへの耐性がない人は多いのかもしれません。

 

肯定する教育に対しては、「肯定して育てることには賛成だけど、なんでも肯定すればいいわけじゃない」という見解を示す人もいます。「“肯定”が“過剰なおだて”になってしまうと、社会へ出た時に自分への扱いに戸惑ってしまう」「全てを褒めるわけじゃなく、褒めるときにとことん褒めるとかバランスを見極めた方がいい」という声が多数ありました。

 

また肯定されて育ってきた人に対して厳しい声も。「なんでも認められて育っているので自分を甘やかしやすい」「無駄に自信家になってしまう恐れもある」など、行き過ぎた自己肯定は他人から悪く映ってしまうケースがあるようです。

 

子どもを褒められる親は少ない!?

以前ほめ写プロジェクトが、4歳から12歳の子どもを持つ親に「子と親の自己肯定感に関する調査」を実施しました。調査によると、子どもの自己肯定感を重要だと考える親は94.5%。子育てで何を伸ばすことを重視しているかという質問に対しても、「他人を思いやる気持ち(29.9%)」に続き「自己肯定感(14.0%)」が2位にランクイン。大多数の親が、自己肯定できる子に育って欲しいと思っているよう。

 

しかし「子どもの自己肯定感を高めるために意識して行っていることはあるか?」と尋ねたところ、58.5%の親は「意識して行っていることはない」と回答。自己肯定感が大事だと思いながらも、実際に行動している人は少ないという実態が明らかになりました。

 

続いて「子どもを叱るのと褒めるのどちらが苦手か?」と質問すると、「ほめる方が苦手」「どちらかと言うとほめる方が苦手」と答えた人が半数以上という結果に。ネット上でも「褒めて育てたいものの、褒めるポイントがわからない」「自分が褒められ慣れてないから、言葉に詰まる」との声がありました。子どもを褒めたくても、どう褒めていいかわからない親が多いようです。

 

子どもにとって両親から「肯定」されることは成長への支えになるもの。褒め度合いに気を配って、自己肯定感を伸ばしていきたいですね。

 

文/河井奈津

参照/ほめ写プロジェクト「子と親の自己肯定感に関する調査」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000037115.html