妊娠中、大きくなったお腹を支えるために腰を反らした姿勢が続くことで腰痛になってしまう妊婦さんは多いことでしょう。
ところが、中には、無事に出産を終えても産後も腰痛が続いたり、産後に腰痛が発症してしまう人も意外と多いそう。
今回は、育児の忙しさでつい見過ごされがちな「産後の腰痛」について、原因や対策を紹介します。
産後の腰痛の原因は?ぎっくり腰とは違う?
妊娠中や産後の腰痛は、それ以外の腰痛やぎっくり腰とは別の原因で起こるのでしょうか?
一般的な腰痛は、日常的に腰の関節や筋肉に負担がかかることで起こり、ぎっくり腰は前かがみになる・重いものを持ち上げるなどで腰に急激な力がかかった時に発症します。
あるママからはこんな体験談が。
「沐浴のときに、産まれたばかりの娘を抱きながら裸でギックリ腰になったときは、助けを呼ぼうにも無防備過ぎるし、娘をなんとかしたいしで、軽くパニックになりました」(Eさん・32歳・2歳児のママ)
実は、妊娠・出産がらみの腰痛には、いくつか特有の原因があるとされています。
ホルモンの影響
妊娠中は「リラキシンホルモン」と呼ばれるホルモンの作用で、骨盤周りの骨格や靭帯の結合がゆるむことで腰痛が起こります。
この腰痛は「骨盤痛」と呼ばれ、出産後は替わって「オキシトシン」というホルモンが分泌されるため、早期に回復すると言われていましたが、実際は他の原因も重なって回復が遅れるケースも多いことが分かってきました。
腹筋の衰え
妊娠中は腹筋が引き伸ばされるうえ、お腹に力を入れることが減るため、産後はかなり腹筋が衰えた状態が続きます。
産後もしばらくは腹筋に力が入らないので、色々な動きの負担が腰にかかりがちで、腰痛を引き起こすことがあります。
出産時の負担
自然分娩ではかなり足腰に力を入れていきむ必要があるため、お産のダメージで腰痛になることもあります。
無痛分娩では無駄に力を使わないので腰痛になりにくい、反対に麻酔の影響で腰痛になりやすいという説もありますが、現在の研究結果ではいずれも差はないという意見が主流のようです。
赤ちゃんのお世話によるもの
赤ちゃんのお世話では頻繁に抱き上げたり寝かせたりおむつを替えたりと、かがみこむ動作が非常に多く、夜間に添い寝したまま不自然な姿勢で眠ってしまうこともあり、これらも腰痛の原因と考えられています。
産後の腰痛を経験したMさん(30歳・1歳児のママ)は、
「赤ちゃんがベッドで泣いているのに、腰が痛くて私がハイハイするはめに…」
と泣くに泣けないエピソードを教えてくれました。
産後の腰痛対策いろいろ。ただし自己流はNG
ある調査によると、産後3ヶ月の時点で腰痛が続いている人を調べたところ、なんと80%近くが「腰痛がある」と答えたそうです。
多くのママが悩んでいる腰痛、少しでも解消する方法はあるのでしょうか?
まずは産婦人科や整形外科などで相談を
腰痛の中には、内臓疾患や何らかのトラブルがあり、それが原因となっているケースもあります。
出産後の検診時に腰の痛みがあれば、まずそれらの疾患やトラブルがないかをチェックしてもらいましょう。
産後数か月腰痛が続く場合も、自己流で処置をすると、トラブルを見逃したり腰痛がより悪化する可能性もあるため、整形外科などの医療機関を受診してから対策を始めることが大切です。
ストレッチ・マッサージ
ストレッチやマッサージは、医療機関で正しい方法を教わり、家でできるものはスキマ時間に少しずつ続けるのがコツ。
ママたちの中にも、プロに教わったストレッチが効果的だったという人がかなりいました。
「私はストレッチで腰痛が解消しました。やっぱりプロに腰痛の原因を見てもらうといいですよ。私は反り腰であることが分かったので、反り腰に効果のあるストレッチを教えてもらいました」(Nさん・36歳・4歳児と0歳児のママ)
「普段座っている体勢が多く、おしりが固いのが腰痛の原因だと整体で言われたので、椅子に座って体を屈伸するストレッチを教えてもらい、頻繁にやっています。じわ~っとおしりが伸びて気持ちがいいですよ」(Rさん・35歳・3歳児のママ)
産後の腰痛に、市販の痛み止めは飲んでもいい?
授乳中は、痛み止めなどの薬を飲みたくても母乳への影響が心配で迷ってしまいますね。
基本的には、以下の薬は授乳中でも飲めるとされています。
国立生育医療センター「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」
しかし、自己判断で腰痛だと思って薬で誤魔化していたら、思わぬ疾患が隠れていた…ということにもなりかねません。
こちらも、薬を飲む前に必ず医師に相談しましょう。
骨盤ベルトやサポーターは有効か
熱心な産院ではベルトやサポーターを用意してくれることもあるほど、産後の骨盤ケアは大切だと考えられています。
ママたちにも愛用者は多く、
「産後1年くらいは、サポーターの洗い替えがないと家事も育児も半分くらいのスピードでしか進まないほど頼っていました」(Kさん・33歳・5歳児と2歳児のママ)
という人も。
ただし、こちらも症状に合わないものを使用してしまうと逆に悪化する可能性もあるため、必ず医師や専門家に相談して選ぶようにしましょう。
産後の腰痛対策まとめ
出産後のママの体は、育児の忙しさでつい後回しになりがちですが、腰は体の要というくらい大切な部分。ぜひいたわって乗り切りましょう!
文/高谷みえこ