私立・国立・中高一貫校など、首都圏を中心に中学校受験をする子どもは年々増加しています。

 

しかし中には希望の中学校に入れない子も当然います。

 

今回は、中学校受験をしたものの残念ながら不合格で地元の公立中学校に進学したお子さんのママたちに、当時の様子やその後のお子さんの中学校生活について話を聞かせてもらいました。

 

わが子が中学受験で合格できなかった時に、親としてどのような態度を取り、どんな声がけをすればいいのかも考えます。

目次

私立中学校に不合格、ママたちの体験談

Aさんは、自分自身が中学校から私立に通っていたこともあり、娘さんが幼い頃から私立中学校受験を考えていて小学校4年生から受験塾にも通わせていたそうです。

 

受験では4つの私立中学校を受けましたが、第一志望には合格できず、滑り止めで受けた中学校に行くかどうか迷った結果、地元の公立中学校に進学することに決めました。

 

「私は環境面から考えて私立を推したのですが、かなり自宅から遠いこともあり。遠い私立中に行くなら、近所の中学校に通って、時間に余裕ができるぶん高校受験に向けて勉強をがんばる…という娘の言葉が決め手でした」

 

がっかりしていたAさんとは対照的に、娘さんは入学式の日から元気いっぱいで帰ってきたそうです。

 

「小学校の〇ちゃんも〇ちゃんも同じクラスだった!一緒にバドミントン部に入る!と。友だちの力は大きいですね」

 

中学校生活を充実して過ごせた娘さんは、現在中学3年生。

 

部活に忙しい日々でしたが、中学受験で身につけた勉強の習慣が生きていて、内申(評定)点も偏差値も高く、当時目指していた中学校から目指す高校よりも偏差値レベルが高い高校を受験する予定だということです。

 

Aさんも

 

「本人の希望を聞いて公立に決めてよかったです。結果オーライとはこのことですね」

 

と話しています。

私立・国立・中高一貫校など、首都圏を中心に中学校受験をする子どもは年々増加しています。 しかし中には希望の中学校に入れない子も当然います。 今回は、中学校受験をしたものの残念ながら不合格で地元の公立中学校に進学したお子さんのママたちに、当時の様子やその後のお子さんの中学校生活について話を聞かせてもらいました。国立中学(中高一貫校)に不合格だった親子の体験談

Bさんは息子さんが国立大学の附属中学を受験しましたが不合格。荒れているという評判の地元の公立中学に行くことになり、春休みも連日ため息続きでした。

 

しかし、中学校では、未経験で入った吹奏楽部で楽器の楽しさに目覚め、メキメキと上達したそうです。

 

「けっこうレベルの高い部だったのですが、2年生ではパートリーダーに選ばれ県大会でもいい成績を残しました。結局、高校もブラスバンドの強い公立高校へ入学。勉強も学年トップクラスでここまで来られています。人生って先はどうなるか本当に分かりませんね」

 

Cさんのお子さんは、中高一貫校1校だけに絞って受験。

 

「将来のことを考えると、公立中学の学習内容で高校受験に勝てるのか不安だったので、中高一貫校を目指すことにしました。私立も考えましたが、3人兄弟で費用にも限りがあり。もし私立も選択肢に入れて進めた結果、あまり成績が伸びなくて、せっかくだから…とレベルが低めの私立に決めてしまうのは本末転倒だと思ったんです」

 

しかし、副教科の実技テストなどがふるわなかったためか、残念ながら不合格。

 

「調べてみると、私立は特待生制度などもあったので挑戦すればよかったと思いましたが後の祭りで。その時は親の方ががっくりしてしまいました」

 

その後息子さんがどうなったかというと、

 

「友達に受験することを話していたので、公立中学の入学式は気が重かったようですが、顔を合わせてあれ?と言ったあと、やったぁ!また一緒だとみんな喜んでくれて、その後は喜んで通っています。定期テスト前の勉強も、中学生になってはじめて取り組む子もいる中、息子は慣れたもので、今も高得点が取れています。挫折を経験してから人に優しくなれたのか、人間関係のトラブルもなく友だちが多いです」

 

と、「中学受験の経験は無駄になっていない」と話しました。

中学受験に不合格のとき、親がするべきことは

ただ、一部にはやはり「こんなはずじゃなかった」「あんなにがんばったのに、時間もお金もすべてをつぎ込んだのに無駄になった」という思いで過ごしている親子もいるようです。

 

合格するにこしたことはないのはもちろんですが、不合格でも結果オーライと感じている人とはどこがどう違うのでしょうか。

 

まずは、「こうすればよかった…」という声を紹介します。

 

「もう少し私立中学の範囲を広げて受けて、1校でも合格していたら気分が違ったかもしれません。実際に入学せず地元の公立に入ったとしても。やはり全部に落ちたというのが精神的にダメージが大きかったようで、自信回復に時間がかかっています」(Jさん・43歳)

 

「下の子はお兄ちゃんと同じ本命校に合格できず第2希望の中学に入学したのですが、親の方がショックを隠せなくて…子どもの方が私に気を使ってしばらくのあいだ笑顔もなくなってしまいました。前向きな言葉をかけてあげられなかったのを後悔しています」(Nさん・46歳)

 

反対に、早く立ち直り気分を切り替えて楽しく中学校に通っているお子さんの家族が、不合格と分かった時にかけた言葉は次のようなものでした。

 

「内心ものすごくショックでしたが、ここで動揺を見せたら子どもはもっと辛いと思い、残念だったね、精一杯がんばってたのはわかってるからね、とだけ言いました」(Tさん・45歳)

 

「子どもの残念だという思いは大切にしたかったので、かんたんに平気!切り替えよう!とは言えませんでしたが、人生のこの段階で思い通りにならなかったことにも意味がある、何でも叶うより大きく成長できると思うよ…と話しました」(Yさん・41歳)

 

「これが宝くじだったら外れたら何も残らないけど、今までがんばってきた経験と知識、考える力…たくさんのことが身についた!だから、どんな結果でも失敗とか外れはないんだよね、と子どもと話しました」(Fさん・44歳)

 

「がんばったね、以外ほとんど何も言いませんでした!立ち直るのは子ども自身だから、横から余計なこと言わず、サポートだけしようと思い」(Tさん・42歳)

おわりに

中学受験に不合格で地元の公立中学校に進学したお子さんのその後は予想通りでしたか?それとも意外なものだったでしょうか。

 

中学受験に合格してもできなくても、それは人生の小さなステップです。その後の人生の方がはるかに長く、まだまだどんな方向にでも伸びていくことができます。

 

中学校生活は、子ども自身とって納得がいくのが何より大切。

 

そして、それは、親の方がいつまでも結果にこだわってくよくよしなければ、意外とすぐに叶うのではないでしょうか。

 

文/高谷みえこ