「小学校3年生までが子育て世帯のお金の貯め時」などとよく言われます。
2019年からは幼保無償化もスタートし、さらに貯め時の幅が広がりましたが、実際小学校ではどのくらいの学費・教育費がかかるのか、知らない人も意外と多いようです。
そこで今回は、公立と私立の小学校それぞれに年間かかる学費の目安と、実際に小学校にお子さんが通っているママ・パパの「こんなことにお金がいるとは…!」という生の声もお届けします。
公立小学校の学費は月&年間いくら?
文部科学省が2年ごとに行っている、「子供の学習費調査」平成28年度の結果によると、公立小学校の学習費の平均は、年間32万2310円でした。
月ごとに家計簿をつけている人なら、1か月あたり2万6859円となりますね。
公立小学校では授業料や教科書代はかかりませんが、上記の約32万円には、絵の具・リコーダーや校外学習のバス代といった学習費、ランドセルや文房具、PTA会費などの活動費、そして給食費が含まれています。
さらに内訳を見てみると、「学校教育費(=学校内で使うお金)」が約6万円なのに対し、「学校外活動費」は約21万円になっています。
学校教育費は基本的に学校ごとに一律ですが、学校外活動費の21万円には塾や習い事などが含まれますので、実際の金額は家庭の方針によりこれよりも多かったり少なかったりします。
私立小学校の学費は月&年間いくら?
いっぽう、同じ調査で私立小学校でかかるお金の平均を見てみると、こちらは年間152万8237円と、公立小学校の5倍近くかかっていることがわかります。
授業料無料の公立小学校と異なり、私立小学校では授業料が年間約46万円かかっているほか、学校納付金と寄付金を合わせて年20万円以上、独自のカリキュラムによる語学教育や理科の実験・芸術鑑賞などにも費用がかかる傾向があります。
また、制服代は平均約3万円で公立小の10倍となっており、遠方から通学する子も多いため、通学費も年間4万円ほどかかっています。
さらに「学校外活動費」も61万3022円と公立の3倍近くなっており、「芸術文化活動」に約10万円、「スポーツ・リクリエーション」に約87000円、教養に約9万円と、カリキュラムの充実をはかっている私立小学校に通いつつも、さらに学習塾や習いごとを複数かけもちしている子が多いことがうかがわれます。
現役小学生ママに聞いてみた「意外とかかる、こんなお金」
今回は、赤ちゃんや保育園児のいるママ・パパに、「小学校では年間いくらくらい教育費が必要か把握していますか?」と質問したところ、
- だいたい把握している…10%
- 把握していない…90%
と、ほとんどの人が学費・教育費について把握していない状態でした。
しかし、「園児時代と入学後、どちらがお金のかかるイメージですか」という質問には、
- 園児時代の方がお金がかかりそう…45%
- 小学校の方がお金がかかりそう…55%
と、約半数ずつに意見が分かれました。
「園児の方がお金がかかる」と思う理由としては、
「オムツやミルクなど、小さい子の方が消耗品費がかかると思います」(Sさん・32歳・1歳児のママ)
「2歳までは保育料無償化の恩恵がないので、わが家の場合、月に数万の保育料が2年以上続きます。3歳からはラクになりますが、入学までに計120万程度の保育料を払う計算になるので、けっこうお金は出ていく感覚です」(Yさん・29歳・0歳児のママ)
「実際にお金がかかるというわけではないのですが、私は時給で働いているので、子どもが病気で休むと月の収入が減ってしまいます。小学校になると病気で休むことも減ると思うので手取りが増えると思います」(Yさん・33歳・3歳児のママ)
などが挙げられました。
また、「小学校の方がお金がかかる」と感じた人や、「こんなことにお金が必要とは」と感じている人に具体的に聞いてみたところ、次のような経験談が寄せられました。
「毎月、教材費という名目でに3000円集めています。年間で36000円とけっこうな額ですが、夏休みも集金するなんて、何に使うの?とちょっと思ってしまいます」(Rさん・35歳・2年生のママ)
「体育のジャージや制服類が意外に高いです。給食費も年々上がっています」(Kさん・34歳・4年生のママ)
「学年ごとに、裁縫セットや彫刻刀など買わないといけない教材も多いです。うちは北海道なのでスキー学習があるのですが、2回の授業のためにスキーセットを買うのも痛い出費です。よくスキーに行く人ならいいですが…」(Eさん・40歳・6年生と3年生のママ)
「林間学校や修学旅行などが終わると写真が販売されるのですが、集合写真800円、個別写真150円など、複数買うとけっこう高額で。でもわが子が写っているとつい買ってしまうんですよね…」(Hさん・36歳・5年生のママ)
小学校の学費まとめ
日本の教育費、特に私立学校の学費や、公立の学校に通うだけでは学習がカバーできず塾などに通う場合の費用がかかりすぎることは以前から問題になっています。
幼保無償化がスタートし、手元に残ったお金をどう使いどう貯金するか考えるにあたっては、小学校でかかる費用の目安が分かっていれば計画を立てやすくなりますね。
筆者も実は娘の幼稚園時代に学習費調査を依頼されて協力したことがあります。
当時は何の役に立つのかと思いながら書いていましたが(笑)、これからお子さんが小学校入学を迎えるママ・パパの参考になれば幸いです。
文/高谷みえこ