おもちゃ・文房具から携帯ゲーム機・スマホまで、子どもが「みんな〇〇を持ってるから買って」とせがんでくることがあります。
買う・買わないは家庭ごとの判断となりますが、こんな時、世間のママはどんな風に子どもに返事しているのでしょうか?
今回は「みんな持ってるからといって買わないよ!」という時のママたちの返し例や気をつけたい点について紹介します。
みんな持ってる=欲しい
という心理は誰にでもある
子どもが他の子と同じものを欲しがるのはよくあること。
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アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインは、この心理を『バンドワゴン効果』と名付けました。
バンドワゴンとはパレードなどで楽隊の先頭を走る車のことで、大勢の人が音楽に惹かれて集まる様子を次のような商品購買意欲になぞらえたものです。
・行列ができているお店は「きっとおいしいのだろう」と感じて入りたくなる ・「人気No.1商品」「1分間に〇個売れています」「入荷待ち」と言われると欲しくなる ・周囲で話題になっているドラマは見ておかないとソンな気がしてくる
大人でもこのように感じる人は多いですが、毎日同じメンバーと顔を合わせて過ごす子どもたちが、より「みんなの持っているものが欲しい」と感じるのはある意味無理もないことかもしれません。
だからといって、何でも買い与えるわけにはいかないのも事実。親としてはどう答えるかが悩みどころとなります。
「みんな持ってる」ママの返しと注意すべきこと
幼稚園から中学生までのお子さんがいるママに聞いた、「みんな持ってるから買って」への返し方例と、その際に気をつけておきたいことを紹介します。
その1.「みんなって誰?」
もっとも多くの親が口にするのがこの 「みんな持ってるっていうけど、誰と誰?」 ではないでしょうか。
そして同じく多くのママやパパが言うのが 「よくよく聞いたら、みんなといってもせいぜい2~3人だった」 というもの。
たまたま数人の子の持ち物を見て、衝動的に子どもが「欲しい!」と思ったような場合、この返しはかなり有効です。
実際、連絡先の分かる親同士で確認したところ「え?うち買ってないよ」「うちも」ということは珍しくありません。
しかし、子どもの言う「みんな」とは「クラスの9割以上」などを意味するのではなく、その子がいつも一緒にいるメンバーのほとんど(または自分以外の全員)と考えた方がしっくりきます。
その視点で考えれば、「ほかの3人が〇〇の話題を始めると自分は黙るしかない、それが何日も続いている」というけっこう切実な状況であることが伝わってきます。
だからといって即買ってあげるべきというわけではありませんが、もし「みんなって誰?」と聞いてみて少ししか名前が出てこなかったとしても、「ほらね!ダメダメ」と切り捨てず、いったん立ち止まって子どもの置かれた状況を考えてみることは必要でしょう。
その2.「みんな持ってる以外で欲しい理由は?」
次に多いのは「みんなが持ってるから欲しい」ではなく、子ども本人がなぜそれが欲しいのか、買ってもらったら本当に喜んで使うのか…を問うという返し方です。
あるママは、こんな風に体験談を話してくれました。
「1年生の息子のクラスでキャラクターの下敷きや筆箱が流行った時期があり、みんな持ってるから欲しいと言われました。ちょうど参観だったので見てみたところ、みんなといっても5人くらい。息子が本当にそのキャラクターを好きだとも思えなかったのですが、”本当にそれが好きなら、下敷きだけなら買ってもいいよ。下敷きは1年くらい使えるけど、2年生になっても大事に使う?”と聞いてみました。すると、最初はうん!と答えましたが、次の日、やっぱり今のを使う、そんなに好きじゃなかったと言ってきました」(Aさん・37歳・1年生の男の子のママ)
そして、 「今後も本人のプレゼン次第ではOKすると思いますが、みんなが持ってるというだけの理由では買わないつもりです」 と話しました。
その3.「自分でやりくりしなさい」
「みんなが持っているからといって、そのたびに買っていては将来の金銭感覚が心配」と考えるママ・パパも多く、「自分でやりくりできる範囲で買いなさい」という返し方も挙げられました。
子どもがゲームソフトなどを欲しがった場合はお年玉やお小遣いをためて買わせる、高価なものでなければ早起きして犬の散歩を1週間担当するかわりに買う…といった提案をするママも多いようです。
返し4.「よそはよそ、うちはうち」
「よそはよそ、うちはうち」
ママやパパ自身、子どもの頃、しつこく食い下がった挙句にこう言われた…という人もいるのではないでしょうか。
金銭的なものから教育的なものまで家庭ごとの事情や方針があり、子どもはこれに対しては反論できないので、諦めることも多いと思います。
ただし、これを言う場合、親が肝に銘じておかなければならないことが1つあります。
それは、いったんこう言ったら、 「みんなは漢字テスト満点なのに、あなただけなんでこんなに間違うの?」 などの発言をしないこと。
子どもはこういった矛盾を敏感に感じ取ります。
いったん「うちはうち」と決めたら、都合のいい時だけみんなと合わせなさいと言わず筋を通すようにしましょう。
その5.「今はまだ必要ないよね」
携帯電話やスマホは、現代の高校生あたりでは必要不可欠と言っていいかもしれません。
しかし、小学生の子に「みんなスマホ持ってるから持ちたい」と言われると、ママもパパもかなり悩んでしまうでしょう。
通学や塾・習いごとの送り迎えなどで必要な場合はともかく、親から見て今は必要ないと考えられる場合は客観的に説明するしかない…という人が多いようです。
「スマホを持ったら、毎月何千円も払い続けなければいけないの。それでもどうしても必要なら仕方ないけど、今は習いごともママが送り迎えしているよね?友だちとメッセージを送りたいだけの理由では今は持たせられないの、と話しました」(Yさん・38歳・4年生の女の子のママ)
その上で、「中学校に入って1人で塾に行くようになったら」など、適切な時期を話し合うというのが王道といえるでしょう。
その6.「ルールが守れるなら」
子どもが何かを欲しがった時にできるだけ買ってあげたいというママ・パパは、自分自身の過去を次のように語ります。
「子どもの頃、自分だけおもちゃを持っていなくて仲間に入れなかった」
「クラスで流行りのゲームの話題に入れないので消極的な性格になった」
「いつも貸してと言っていたらイヤな顔をされたり、避けられた」
また、友だちのゲームを借りて遊ぶと、物珍しさから一緒にいる間ずっと借りっぱなしだったり、壊した・失くしたなどのトラブルが心配…と、迷惑をかけたくないから買うという声もありました。
こういった理由で何かを買い与える場合も、「ルールを守らせるチャンス」ととらえるママもいます。
「何も決めずにゲーム機を持たせ、あとでルールを決めようとしても遅いと思ったので、欲しがっているタイミングで利用時間や約束事を決めました」(Fさん・35歳・2年生の男の子のママ)
「中学生の娘がメッセージアプリの有料スタンプが欲しいと言ってきました。頭ごなしにダメ!と返さず、じゃあ次の期末テストでちゃんと勉強がんばって、1つでも100点取れたらお祝いに買ってもいいよというと、本当にしっかり勉強して100点取ってきました(笑)」(Kさん・42歳・中2の女の子のママ)
おわりに
「同じ物を持っていないからといって仲間外れにする方が人として間違っている、そんな子たちと付き合う必要はない」
という考えも理解できますが、いつも杓子定規にそれで通してしまうと、子どもは「何を言っても分かってもらえない」と思ってしまう可能性もあります。 反対に、 「仲間外れにされたらかわいそうだから、親から見て不要なモノでもやむを得ず買い与える」 ばかりでは、子どもも 「〇〇ちゃんは△を持っていないから仲間に入れなくていい」 という発想になりかねません。
もしそんな場面があれば、 「あなたがそう言われたら悲しくない?どんな気持ちがする?」 「△を使わずに遊ぶ方法も考えてみよう」 というアドバイスもぜひしてあげてほしいと思います。
地域や年齢など子どもを取り巻く状況、子ども自身がどう周囲と接しているのか…その都度よく考えてベストな判断をしていきたいですね。
文/高谷みえこ