子どもが風邪を引いた後、治ってからも「ドロッとした鼻水が続く」と気づいたことはありませんか? 自然に症状が治まっていくこともありますが、慢性的な副鼻腔炎に進行すると、日常生活や学業などに支障を来す可能性があり、なかなか厄介です。子どもの副鼻腔炎の特徴と注意点を、詳しく解説します。
「副鼻腔炎」が起きるところ
副鼻腔炎は、鼻や頬、額にある「副鼻腔(ふくびくう)」と呼ばれる空間に炎症が生じる病気です。 「副鼻腔」には、前頭洞・篩骨洞・上顎洞・蝶形骨洞の4種類があり、それぞれ左右にひとつずつ存在しています。 このいずれかに炎症が生じる病気が「副鼻腔炎」で、炎症が悪化すると副鼻腔内に膿が溜まっていきます。
副鼻腔炎の原因と症状
●副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎の原因は、狭い空間である副鼻腔が詰まって細菌が増殖してしまうこと。 副鼻腔は鼻の中と「自然口(しぜんこう)」と呼ばれる穴でつながっており、副鼻腔内で産生された粘液などは鼻の中に排出されています。 この自然口は非常に小さな穴で、鼻炎や咽頭炎などの風邪をひくと、粘膜が腫れて自然口が塞がってしまうこともあります。 すると副鼻腔内で産生された粘液が排出できず、副鼻腔内の圧が高まり、さらに細菌が増殖することで炎症が悪化するのです。
●副鼻腔炎の症状
副鼻腔炎の主な症状は、頑固な鼻づまり、顔や目の奥の痛み、頭痛、歯痛などです。 また副鼻腔内に溜まった粘液が漏れ出すと、ドロッとした鼻水が出たり、のどの奥に落ちて咳が出るといった症状が見られることも。 常に頭が重く、ぼーっとした状態が続き、注意力や集中力が落ちる、日中に眠くなるなど、日常生活に支障を来す症状が出ることも少なくありません。
子どもが副鼻腔炎になりやすい理由
副鼻腔炎の元々の原因は、鼻の中の粘膜の炎症。子どもは風邪をひきやすく、自然口もとても狭いため、副鼻腔炎を発症しやすいのです。 副鼻腔炎を早く治すには、抗菌薬などによる治療を続けることと合わせて、とにかく副鼻腔内の膿が混ざった鼻水をできるだけ多く出すこと。 そのためには適度に鼻をかむことが大切です。しかし、子どもはうまく鼻をかむことができない上に「鼻すすり」をして鼻水を溜めてしまいがち。 子どもは副鼻腔炎を発症しやすく、さらに治りが遅くなりやすい理由はここにあるのです。
副鼻腔炎の重大な影響とは?
副鼻腔炎は長引きやすいのが特徴です。発症して3か月以上経つ副鼻腔炎を「慢性副鼻腔炎」と呼びますが、発熱などの症状がないため軽く考えられがちです。 ですが副鼻腔に炎症が生じた状態が長く続くと、日常生活や学業などに支障が出るだけでなく、顔の骨の成長にも悪影響があると考えられています
(※1)。また、鼻の粘膜に長くダメージが加わることで匂いを感じにくくなったり、目や脳にも炎症が波及するケースも報告されています。 子どもの副鼻腔炎は放っておくと慢性化して様々な影響を及ぼすことがありますので、長引く鼻水の放置は禁物。 風邪が治まった後も鼻水や咳が1週間以上続くときは、小児科や耳鼻科を受診して、正しい治療を受けるようにしましょう。
<参考>
(※1)広島県耳鼻咽喉科医会「子どもサポーターズ」
文:成田亜希子