働き方改革が進むなか、副業、フリーランス、リモートワークなど、さまざまな働き方が認められるようになってきました。

 

そして今、新たに本業を複数抱える「パラレルキャリア」という働き方が注目を集めています。


 

パラレルキャリアとは?


「パレレルキャリア」は、オーストリアの経営学者であるドラッカーが提唱した生き方の一つです。

 

「パラレル」とは「平行」や「並列」といった意味を持つ語。したがって、パレルキャリアとは「複数のキャリアを平行して磨く」と考えることができます。

 

ただし、この“キャリア”が指すものは仕事に限りません。ボランティアであったり、クラブ活動のようなものもキャリアに含まれます。

 

広義では、本業以外に何か活動をしていれば「パラレルキャリア」ということができるようです。

 

具体例としては、次のようなものがあてはまります。

 

・別企業に就職して本業以外の仕事を始める ・ボランティア活動をする


・自分の好きなコミュニティに参加する


・小説家を目指す


・歌手を目指す


・カフェをオープンする

 

パラレルキャリアは副業と違うのか?


本業以外に何か活動していることをパラレルキャリアというのであれば、副業と大きく変わらないように思えます。

 

副業とパラレルキャリアの大きな違いは、「目的」を何にするかという点ではないでしょうか。

 

一般的に、副業とは収入を目的として本業以外に仕事をすることを意味します。

 

一方でパラレルキャリアとは「精神面を充実させてくれる何かを得る」ことを目的とした活動を指します。

 

本業以外の仕事をすることで、結果的に副収入に繋がるという可能性はありますが、それは副次的なもの。本来の目的はあくまでもスキルアップや自己実現になります。

 

本業に閉塞感を覚えたときがチャンス


自分のキャリアをパラレルキャリアに切り替えるタイミングは、いつがよいのでしょう?

 

さきほども述べたように、パラレルキャリアの目的はスキルアップや自己実現。 現状の生活に不満や物足りなさを感じ、「自分の人生はこのままでいいんだろうか」と閉塞感を覚えてしまったときこそ、パラレルキャリアへの切り替えチャンスです。

 

もちろん、新しい人生として転職や副業を視野に入れる人もいることでしょう。 しかし、転職や副業となると、収入が確保できるかどうかを考えなくてはいけません。収入が前提となると、本当にやりたい仕事ができなかったり、現状よりも負担が増してしまう可能性があります。

 

だからこそ、パレレルキャリアという考え方が重要になってくるのです。 収入ではなくスキルアップや自己実現が目的なので、収入を前提にすることなく新しいことに挑戦することができます。何か新しいことを始めると、これまで知らなかった情報が入ってくるようになり、今までとは全く違う価値観が生まれ、視野が広がります。

 

それにより、閉塞感を感じていた本業を、新たな視点から見ることができるようになることも。結果的に、本業にもいい影響を与えることができるかもしれません。

 

パラレルキャリアの第一歩は自分を知ること


パラレルキャリアについて理解を深めても、結局自分が“何をやりたいのか”が見えていなくては意味がありません。 やりたいことを見つけるためには、まず自己分析をしてみましょう。

 

自分という人間が、過去にどのような人生を歩んできたのかを振り返ってみるところから、はじめてみるのがおすすめ。「あのとき、本当はあれをやってみたかった…」「実はこんなことに興味があった」という記憶が蘇ってくるかもしれません。

 

自分の心に素直に耳を傾けることで、眠っていた本来の気持ちに気がつくことが必要です。

本業と両立できるか検討することも忘れずに


自分という人間を理解し、やりたいことが見えてきたとしても、実際に実現可能かどうかはまた別問題です。

 

いくらやりたくても、残念ながらタイミングがあっていなかったり、力不足の場合もありえます。

 

やりたいことが見つかったら、行動を起こす前に、自分に何が足りていないかを把握しましょう。もし、補うべき部分があるのであれば、「努力をしてでもやってみたい!」という気持ちの有無を確認する必要があります。

 

多少苦労しても構わないという強い気持ちがあるのであれば、具体的な行動に移していきましょう。

 

本業との両立を考えたときに実現が不可能なのであれば、機が熟すまで待つという選択肢もOK。

 

無理に新しいことを始めた結果、本業がままならなくなってしまっては本末転倒です。両立できる見込みが立ってから行動を起こしても問題はありません。

 

収入が前提ではないといえ出費がかさむのはNG


いくら、パラレルキャリアが楽しく、充実しているからといって、出費ばかりかさんでしまう場合はパラレルキャリアの築き方として問題があるかもしれません。

 

パラレルキャリアは趣味ではありません。本業を並立させるというイメージです。収入を前提としてはいないといえ、何らかの形で成果を出していくことが重要です。

 

今現在の出費が、いずれスキルアップや自己実現に繋がるのであれば、それは無駄な出費とはいえないかもしれません。スキルアップを目的としてキャリアを並立している場合は、定期的に達成度を確認し、パラレルキャリアの目的を振り返ることがすることがおすすめ。

 

自ら行動しなくてはパラレルキャリアは始まらない


本業が企業に務める会社員や役所に務める職員であれば、基本的には上司から指示をもらい、仕事をこなすという流れになります。つまり、自分から発信しなくても仕事は成り立ちます。


 

しかしパラレルキャリアは、自分でやりたいことを見つけてスタートしなくてはいけません。自分で全てを担うことになるので、じっと待っているだけでは何も始まりません。

 

何かを始めようと思ったら、自分から積極的に情報を集め、何をやりたいのか周りに伝えることがポイント。 具体的に自分がやりたいことを伝えられると、賛同者を集めることができるかもしれません。そこで思わぬアイディアやアドバイスをもらえることも。

 

自分の世界を広げていくためにも、自己完結せずに周りとの関わりを深めていくことが重要になってきそうです。

 

パラレルキャリアは新しい自己実現の形


パラレルキャリアは本業以外に別の本業を持つことですが、新しく始めたことが巡り巡って元からの仕事の役に立つことも。

 

今の仕事だけでは自己実現が難しくても、別のことと合わせれば意外とスムーズになりたい自分になれるかもしれません。

 

色々な働き方が許容されるようになってきた今、ぜひ新しい自己実現の形としてパレルキャリアも検討してみてください。

 

<関連記事>

「35歳転職限界説」は現実かウソか?30代の転職は◯◯◯が物を言う

文/今野由奈