「就職氷河期世代」「団塊世代」「ゆとり世代」など、世代にはそれぞれの時代背景を象徴する名前がつけられています。
最近では、「ゆとり世代」の下に「さとり世代」と呼ばれる世代が出てきました。 欲がなく、合理的で冷めていると言われるこの世代を部下や後輩に持つ方も増えてきたのでは?
そこで今回は「さとり世代」とは何なのか、またさとり世代を部下に持つ方へ、さとり世代との接し方をご紹介します。
そもそもさとり世代とは?
まずはさとり世代がどの世代を指すのか確認しておきましょう。
さとり世代は2013年の流行語大賞にノミネートされた言葉の一つで、ゆとり世代の次の世代といわれています。
何年何月生まれ以降は「さとり世代」といった定義はありませんが、1990年代前半生まれをさとり世代とするのが一般的です。
2019年現在でいうところの、20代半ばより下の若者は「さとり世代」といっていいでしょう。
「さとり」の言葉の意味は?
さとり世代の「さとり」は、漢字にすると「悟り」もしくは「覚り」と書きます。
これらの言葉は、はっきりと物事を理解する・隠されているものに気付くといった意味です。
ゆとり世代が大人に守られていたのびのびと育っていた一方、さとり世代は世の中の仕組みを理解し、気付くことに長けているのが特徴とされています。
世の中の仕組みを理解した上で、無駄なことや不必要と判断したものに対しては、労力をさくことを避ける傾向があるようです。 言い換えれば、本当に必要なものは何なのかを上手に取捨選択できる世代とも言えます。
さとり世代の後輩とうまく付き合うために気をつけたい3つのこと
私たちの同世代や年の近い後輩とは少し違う「さとり世代」。 そんな彼らと良好な関係を築くためには、いくつか気をつけたいポイントがあります。
ポイント1 精神論で頭ごなしに否定しない
私たちの上司は、どちらかというと「部下をたくましく育てるために厳しくする!」という人が多かったように思います。
このような指導方法がハマる人もいますが、さとり世代にはあまり刺さらないといってもいいでしょう。
「もっと頑張ればもっとよくなる!」「気合でなんとかしよう!」というような、精神論に基づいた漠然とした指示ではなく、ロジカルに説明することが重要です。
間違いを指摘する際も「なんでこんなことができないの⁉︎」というような感情的な言葉は避けましょう。
まずは「なるほど、そういうやり方もあるよね」と受け止めたうえで、「だけど、○○をするためには△△をやってからのほうがスムーズだよ」というように、具体的な方法を教えた方が理解度が高まります。
ポイント2 プライベートを尊重する
「飲みにケーション」という言葉には私たちも「なんだかな…」と思うことがありますが、さとり世代の多くは私たち以上にこの文化に違和感を抱いています。
よかれと思って飲み会や食事に連れていっても、「終業後に上司と飲みに行くなんて息が詰まる!」と、彼らには逆効果なのです。
だからこそ、無理に終業後に付き合いを強いるより、「もう帰っていいよ」と帰宅を促してあげるようにしましょう。そのほうがかえって心を開いてくれるかもしれません。
また、相手との関係性にもよりますが、距離を縮めようとして私生活について色々と聞くのもあまりおすすめできません。 さとり世代と呼ばれる世代は、仕事とプライベートをきっちり分けている人が多いため、仕事に直接関係がないプライベートな情報を開示させられることを嫌がる傾向があります。
何気ない雑談のつもりで休日の過ごし方や趣味などを聞いてしまうと、予想以上に嫌がられる可能性も。 一気に距離を縮めようとせず、徐々に会話の幅を広げていくようにしたほうが、余計なトラブルを巻き起こさずに済みます。
ポイント3 マニュアルの方が喜ばれる
「いつでも質問してね」と気遣うのはいいですが、実はこの方法、さとり世代は苦手とする人も多いようです。
というのも、彼らは私たちが思っている以上に先輩や上司に気を遣っています。「もし今声をかえて迷惑に思われたら…」と考え、尻込みしてしまうことも珍しくありません。 そのため、質問するタイミングを上手につかめずに、時間だけがすぎてしまうことも。
いつでも質問できるような環境を整えておくのはいいことですが、困ったり迷ったりしたときに参照できるマニュアルを作成しておきましょう。 何かあったときに1人でも進められるようにしておいた方が、お互いにとって効率的です。
そして時間の合間に「何か分からないことある?」とこちらから聞いてあげると、仕事もスムーズに覚えられて、コミュニケーションも適度に取れるようになります。
さとり世代の特徴とは?
前ページではさとり世代と接する際に気をつけるべき3つのポイントについてご紹介しました。
では、なぜこのようなポイントを気をつけるといいのでしょうか? それは、さとり世代の特徴に大きく関係しています。
ただし、これからご紹介する特徴は、さとり世代と呼ばれる人すべてに当てはまるとは限りません。
あくまでも話題の一つや、今の若者はこんな傾向があるんだな、くらいの参考にとどめておくようにしましょう。
特徴1 物欲がない
さとり世代に多く共通するのが、物欲がないということ。
バブル世代は車やマンションや飲食など、多くのことにお金を掛けてきました。
しかし、バブル崩壊後に生まれたさとり世代は、基本的に生まれてからずっと「不景気」と呼ばれるなかで育ってきているため、贅沢をするという文化に触れていない人がほとんど。 さらに、阪神淡路大震災やリーマンショック、東日本大地震など、経済や社会ががらりと変わるような大きな出来事を知る世代でもあります。
そのため、一種の諦観を身につけていて、自分の身の丈に合った範囲の生活を重視し、物や食事にお金をかけることを望みません。
もちろん若くてお金がなく、無駄遣いをできないという面もあると思いますが、そもそも何かを欲しいと思いにくい世代だとされています。
物欲の有無は仕事と関係ないと思うかもしれませんが、物欲が仕事のモチベーションにならないということでもあります。 「(高いものを買うために/高いものを食べるために)辛くても仕事を頑張ろう!」というようなマインドを持つ人が少なく、精神論による指導が響きにくいのです。
特徴2 意外と気遣い屋
欲がなく冷めた態度のさとり世代に「最近の若者は」と周囲はイライラしてしまうかもしれません。
しかしさとり世代の若者は、ゆとり世代が上の世代にたたかれていることを知っているので、上司世代のいら立ちにとても敏感です。
そのため、彼らなりに上司を気遣おうと、目立った行動をしない傾向があります。
特徴3 一人で過ごすのが好き
「20代半ばの若者は付き合いが悪い」とつい愚痴をこぼしてしまうこともあるでしょう。
しかし先ほどもご紹介したように、さとり世代の彼らはそれなりに気を遣っているため、休日は誰にも気を遣うことなく、自然体の自分でいたいのです。
その結果として、休日は表に出ず自室でゴロゴロ、食事もデリバリーやファストフードで手軽に済ませるといったスタイルを選ぶんだとか。
特徴4 頭の回転が速い
幼いころからパソコンやスマホが身近にあったさとり世代。
情報が手に入りやすい環境で育っているので、幼少期から大量の情報をさばくという経験をつんできています。
そのため頭の回転が速く、情報処理能力に長けています。
とくに子供の頃からさまざまなデジタルデバイスに囲まれて育っているため、
世代によって一括りにできるものではないけれど…
さとり世代とのギャップに悩んでいる方はヒントがつかめたでしょうか?
世代を一括りにして「この世代は全員こう!」と決めることはできませんが、世代によって共通する特徴や、ある程度の傾向があります。 アプローチの方法を間違えて、不要なトラブルを招いたり、人間関係が破綻してしまってはもったいないですよね。
「さとり世代だから」と頭ごなしに否定せず、適切なアプローチ方法でコミュニケーションをとることができると、仕事でもしっかり能力を発揮してくれるはず。
部下や後輩と良好な関係を築いていくために、今回の記事を通してコミュニケーション方法を探ってみてはいかがでしょうか?