急にお腹が大きくなる妊娠中期~後期を中心に、お腹周りやふともも、お尻、バストなどに亀裂ができてしまう「妊娠線」。英語で「ストレッチマーク」ともいいます。
「特になにも対策していなかったけど、できなかった」という人から、「ケアしていてもできてしまった」という人まで個人差が大きいのが特徴ですが、現在妊娠中の人や、これから2人目3人目の出産を考えている人は、いつから予防を始めればいいのでしょうか?
ママたちへのアンケートも参考に、原因と対策を考えてみます。
目次
妊娠線のできる原因とは。産後も消えないって本当?
妊娠線は、妊娠中の体重増加やお腹が急激に大きくなることにより皮膚が引き伸ばされて起こります。
皮膚組織のなかでも一番外側の表皮は比較的伸びやすいので裂けてしまうようなことはありませんが、その下にある「真皮」はそこまでの柔軟性がありません。
引っぱられることで内部の組織が損傷してしまい、裂けた部分は表皮を透かして赤紫色に見えます。
産後に体型が戻れば表皮が縮んで妊娠線の色は白くなりますが、一度裂けてしまった真皮組織が元通りにつながることはなく、薄くはなっても完全には消えないことがほとんどです。
最近は妊娠線ができない人が増えている!?
今回、出産を経験したママにアンケートを取ってみたところ「妊娠中、妊娠線はできましたか」という質問に対し、「できた」と答えた人が23.5%、「できなかった」という人が76.5%。
なんと今回のアンケートでは、妊娠線ができた人は4人に1人しかいませんでした。
しかも、「妊娠線はできなかった」という人の3分の1は「特になにも対策していなかった」という結果に。
どうして人によって妊娠線のできやすさが違うのでしょうか?
それには次のような要因があると考えられています。
もともとの肌(真皮)の柔らかさ
生まれつき肌や髪の色などが人によって少しずつ違うように、真皮の細胞の密度や水分量なども人によって異なります。
もともと乾燥肌の人はより妊娠線ができやすいといえます。
また、年齢とともに真皮の水分保持量は低下していきますので、一般的には1人目よりは2人目の方が妊娠線ができやすい状態ともいえます。
季節による乾燥やケア不足
秋から冬にかけては汗をかくことが減り空気も乾燥しているため、夏場よりも肌が乾燥し、妊娠線ができやすい環境となります。
しかも寒い時期には重ね着や厚着をしたり急いで着替えを済ませるなど、じっくりボディをチェックする機会も少なくなるので、できかけた妊娠線に気付かないことも増えるでしょう。
初産かどうか
2人目以降の経産婦さんは、より妊娠線ができやすいといわれています。
年齢的な理由以外にも、前回妊娠線はできなかったものの引き伸ばされて弱くなった部分があれば、次の妊娠時に損傷しやすい状態になっているからだと考えられます。
体重増加のペース
妊婦さんではなくても、急に太ってしまった人の身体には「肉割れ」ができることがあり、妊娠線と仕組みはまったく同じです。
体重増加のペースが急に上がったり、後期に入ってお腹が急に大きくなったりと、急に体重・体型が変化したタイミングは妊娠線ができやすいため要注意です。
ボディケアの有無
「特にケアしていなくても妊娠線ができなかった」という人も実際にいるとはいえ、同じ体質や同じお腹の大きさなら、クリームなどで肌を柔らかくするケアをしていた方が当然妊娠線ができる確率も低くなるといえるでしょう。
ホルモンバランスの変化
妊娠中に分泌が増える副腎皮質ホルモンの影響で、真皮のしなやかさを保つ「コラーゲン」の生成が抑制され、弾力性が落ちた結果妊娠線ができやすくなる傾向があります。
妊娠線予防やケアはいつからするべき?
今回のアンケートで「妊娠線ができた」という人が妊娠線に気づいたのは、
- 8ヶ月
- 9ヶ月
- 産後
と、妊娠後期以降が多数派でした。
妊娠線は一度できてしまうと、薄くはなっても完全に元通りの状態にはなりません。
そのため、お腹が大きくなり始めるしばらく前から予防をはじめておくことが大切。
妊娠初期はつわりで体重も増加しにくいですし、体調が不安定な妊婦さんも多いので無理をせず、安定期に入ったらすぐ始めると良いでしょう。
また妊娠初期でも「食べづわり」などで体重が増えている人や経産婦さんはより早い時期から妊娠線ができるかもしれません。可能であれば、妊娠がわかったらすぐお手入れを始めても良いですね。
人によってはバストにも妊娠線ができるためマッサージは予防に有効ですが、刺激でお腹が張ることもあるので、あくまでも優しく行って下さい。
妊娠線の予防にはどんなクリームやオイルがおすすめ?
妊娠線は急速に皮膚が引き伸ばされて起こります。
妊娠線を作らないためには、急な体重増加に気をつけることと、できるだけ真皮が水分やコラーゲンで満たされた柔軟な状態に保つこと、内と外両側からの予防が必要になります。
外からのスキンケアはたまに行うのではなく、毎日少しずつ、クリームやオイルなどでうるおいを与え、マッサージで柔軟性を保つのがおすすめ。
妊娠線予防専用のクリームやオイルも市販されていますが、先輩ママたちは「専用」にこだわらず次のようなケアをしていたようです。
「市販の保湿クリームを妊娠初期から塗っていました」(Mさん・31歳・3歳児と1歳児のママ)
「いろいろ試したのですが、中で一番高価なクリームが妊娠で敏感になった肌には一番合っていたみたいです。正直出費は痛かったですが、2人産んでも妊娠線がでなかったので、結果オーライです!」(Tさん・40歳・中2と小6のママ)
「つわりの時は強い香りで気分が悪くなるので、無香料のベビーオイルを使ってマッサージしていました。産後も使えるしお値段も手頃でいいですよ」(Kさん・30歳・2歳児のママ)
なお、アロマオイルやハーブエキスの含まれたオイルやクリームには、妊娠中または妊娠初期には使用を控えた方がいいものもあります。使用する場合はかならず使用上の注意をよく確かめましょう。
妊娠線の予防まとめ
本来、妊娠線は出産まで赤ちゃんを育てたという勲章でもあり、悪いものではありませんが、「ビキニを着たい」など、見た目が気になってしまうこともありますよね。
最近では「赤ちゃんの分までたくさん食べなさい」等と言われることはなく、ほとんどの産婦人科では体重の増加についてしっかりと指導します。
妊娠線ができる人が過去と比べて減ったように感じるのには、そんな理由もあるかもしれませんね。
2人目以降のママはゆっくりとお肌の手入れをする暇もないかもしれませんが、お風呂上りにサッとクリームを塗るなど、できる範囲でぜひ妊娠線の予防を取り入れてみて下さいね。
文/高谷みえこ