〝孫ブルー〟という言葉をご存知ですか? 孫が生まれるのは嬉しいことで、きっとかわいいに違いないのはわかっている。でも孫の育児に協力するとなると、辛かった自分の育児体験を思い出してしまったり、自由がなくなることで憂鬱になることです。実の娘でも言いづらい、祖母たちの本音をお聞きしました。
■やっと手に入れた自由なのに …(恵子さん/64歳/専業主婦)
娘がふたり、息子がひとりいます。それぞれが進学・就職・結婚などで家を出て行き、私も定年退職をしたので、30年ぶりに「子どものいない生活」を手に入れました。最初こそさみしかったものの、好きなように出かけられたりインテリアや庭をいじったり、楽しいことばかりでした。 そんなときに、長女から「妊娠した。里帰りするからよろしくね」と連絡がありました。孫の誕生は心から祝福したいのですが、電話を切ってふと部屋を見回すと、観葉植物や絵など、この先子どもが歩き始めたら危険なものがたくさん。 次女や長男のところにも、いつ子どもができるかわかりません。お盆休みには庭でバーベキューをして、年末年始は孫にお年玉をあげて…と楽しい生活が待っていることもわかります。でも「あれも片づけて」「これも捨てて」と、考えていると涙があふれてきました。 悠々自適な生活は、もうこの先訪れることはないのでしょうか。また誰かの都合を気にしながら生きなければならないのか…と思うととてもつらいです。つかの間でも自由を手に入れてしまったからこそ、孫の誕生を全力で喜べない自分に戸惑っています。