赤ちゃんを育てるママの多くが持っているであろう「抱っこ紐」。
背中でバックルを止めるタイプがほとんどですが、なんと、ここ最近、バスやエスカレーターなどで後ろから近づき、バックルを外して赤ちゃんを落下させようとする非常に危険な行為が連続しているとしてテレビなどでも報道されています。
今回は、SNSなどで明らかになった犯人の手口と、赤ちゃんへの被害を未然に防ぐための工夫を紹介します。
命の危険も…「抱っこ紐外し」という信じられない行為
2019年9月、SNSで、
「バスの中で抱っこ紐で赤ちゃんを連れたママの背後に、50代の女性が近寄り、抱っこ紐のバックルを外した。赤ちゃんが落ちそうになり、ママがあわてて支えると畳んでいたベビーカーが倒れ男性にぶつかった。男性はちゃんと支えておけと怒鳴り、犯人の女性はそれを見て笑っていた。ママは泣いていた…」
という投稿が拡散されました。
これに対し、
「一歩間違えば赤ちゃんの命にかかわる、信じられない」
「救急外来で働いていますが、赤ちゃんは1メートルの高さから落ちても死んでしまいます」
「妊婦や赤ちゃん連れのママなど弱いものいじめをする社会はひどい」
「前にも似たような投稿を見たことがある。常習犯かも?」
「私も毎日抱っこ紐を使っているけど、怖くてバスに乗れない」
といった怒りや恐怖を訴えるコメントが相次ぎました。
しかも、「バックル外し」行為はこの1件だけでなく、神奈川県の他の市営バスや、都内や大阪のデパート、エスカレーターなどでも複数起こっているとのことです。
同じ人間がやったのか別々かはわかりませんが、その行為はイタズラや迷惑行為にとどまらず、「殺人未遂」といえるもの。
犯人は捕まっていませんが、その気になれば誰でもが行えるため、ベビーカーでは行きづらい場所への外出や、赤ちゃんが泣いたときの対策に抱っこ紐を愛用しているママたちにとっては本当に恐怖だといえます。
SNS・TVで紹介された「抱っこ紐外し」対策
こういった手口がニュースで話題になると、模倣犯が出てくるのも心配なところ。
この事件を取り上げたテレビ番組でも、出演者たちが「悪いのは、100%、バックルを外すなどということをやる側であり、お母さんたちが対策を考えないといけないのは本来おかしな話ですが」と前置きしつつ、赤ちゃんの命を守るために注意を促していました。
具体的な自衛策として考えられるのは次のような方法です。
バックルにゴムなどを取り付け、1ステップで外れないようにする
一部の抱っこ紐には安全用のゴムループがついており、ゴムを外す→バックルを外す、と2ステップでないと外せないようになっています。
こういった装置がついていない抱っこ紐でも、ヘアゴムなどを片側のバックルに通し、留めた後に反対側にゴムをかけておけば、パチンとバックルを外されてもすぐに取れてしまうことがありません。
このニュースを聞いて、
「育児は1秒でも惜しいほど忙しいから、ゴムがついているのに使っていなかった。これからは使うようにしなきゃ」
というママの発言も相次ぎました。
カーディガンや上着、リュックでバックルを隠す
抱っこ紐の上から、上着やリュックをつけてバックルを隠してしまう方法です。
赤ちゃんをベビーカーやおむつ交換台に下ろすときにはいちいちリュックを下ろし上着を脱ぐなど手間がかかりますし、荷物が多い時は大変ですが、人混みに出かける時には念のため対策した方が良いでしょう。
そのほか、100円ショップなどで売られているスーパーの手提げが手に食い込まないようカバーするグッズを、抱っこ紐のバックル部分に巻き付けるという方法も。
公共交通機関では、壁に背中をつけて立つ
バスや電車に乗る時、座席が空いていても、じっと座っていると赤ちゃんが退屈しやすいためあえて立って外を見せたりあやしている…というママも多いでしょう。
その場合は、できるだけ車両の中心ではなく、背後に人のいない壁に背をつけておくことが推奨されています。
ただ、過去には、降車時にベビーカーを広げようとしてかがんだ時に背後からバックルを外されたという体験談もあるので、これだけでは安心とはいえず、他の方法と合わせて対策する必要があります。
外れない形式の抱っこ紐を選ぶ
これから抱っこ紐を購入したり買い換えたりするのであれば、次のような構造なら、背後からのバックル外しを予防できます。
- 前バックルのタイプ
- 背中で紐を交差させてからバックルを留めるタイプ
- 赤ちゃんの座る部分と本体がつながっていて、背中のバックルが外れてもすぐ落ちないタイプ
- もともとバックルがなく、両肩に幅広い布を通すなどして抱っこするタイプ
慣れないと装着に時間がかかるなどのデメリットもありますが、こういったタイプを検討するのもひとつの方法ですね。
おわりに
育児はただでさえ大変なうえ、ほとんどのママは、周囲に迷惑をかけないように必死で努力し神経をすり減らして外出しています。
しかし、人間は誰でも赤ちゃん時代があり、みんなに見守られ、時には迷惑をかけて初めて大人になれるもの。
自分も赤ちゃんだったことを忘れて攻撃に走る人や、弱い立場の赤ちゃん連れのママに嫌がらせをして憂さ晴らしをする人があちこちにいるような世の中は、1日も早く改善したいと心から願います。
文/高谷みえこ