おしゃれな家具や雑貨がうれしい価格で揃う、イケア。近くに店舗がなくたって、掘り出し物に出会いにたまに“訪れたい欲”、ムクムクと湧いてきませんか?
そんなイケアに惚れ込んだひとりが、「イケアマニア」と呼ばれる森井ユカさん。 イケアのデザインやおもしろさに惹かれ、『IKEAマニアック』『IKEA FAN BOOK』の2冊の本を出しました。
今回は、森井ユカさんのオフィス兼ご自宅を訪問。 ご自宅にある愛用のイケアやイケアのあれこれについて、たっぷりと話を伺ってきました。
知らなかった!イケアの雑学
イケアに惚れこみ、イケアを知り尽くしている森井さん。イケアの気になるあれこれについて教えていただきました。
なぜこんなに安いの?
「まずひとつは、シンプルな理由です。イケアはアイテム一つひとつの素材や製法に合わせて、世界中で最もコストがかからない場所で生産をしています。また、一度に作る数がかなり多いため、単価を落とすことが可能になります」 さらに同じ商品でも、いろいろな場所で作られている場合も。例えばロングセラーのじょうろ「IKEA PS 2002 199円(税込)」は、世界のあちこちの工場で生産されているため、タグを見るとどこ製かがわかっておもしろいのだそう。
「次に、輸送の際に多く積みこめるフラットなパッケージにしているのも安さの理由。それにより、運搬にかかる費用を大幅におさえることができます」 私たちがイケアで買い物をするときに倉庫から取り出しているのは、生産地から輸送されたときと全く同じ状態。お客さんが購入してはじめて、製品の形に組み立てられます。そのため、人件費の大幅ダウンに成功しているのです。
優れたデザインはどうやって生まれるの?
イケアのプロダクトデザインは「デモクラティックデザイン」の考え方に基づいているとか。デモクラティックとは「民主的な」という意味をもつ単語で、つまりは「みんなのための」デザインであるべきという考え方です。
「デモクラティックデザインの哲学として、優れたデザインとは『形』『機能性』『品質』『サスティナビリティ』『低価格』の5つが満たされているもの、という考えかたがあります。この5つを満たしているものだけが、イケアでの販売を許されるというわけです」
品名についてるのってブランド?何?
イケアの商品には、すべてスウェーデン語の品名がついています。これってブランド名?と不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。
「こちらは、『商品を番号で管理するだけでなく、呼び名をつけて覚えやすく』という発想からつけられた、“愛称”のようなものです。例えば、本棚には北欧の男の子の名前、テキスタイルには北欧の女の子の名前、照明にはスウェーデンの地名…と、なんとなくアイテムを想像できるような名前がつけられています。イケアの商品への愛が感じられますよね」
いいものに出会うルールは?正解は「即買い」
巡回ルートもほぼ決まった広大なイケアの店舗で、いい買い物をするためのルールについて聞いたところ、森井さんの答えは「即買い」とのこと!
「イケアでは常時1万種類もの商品が店頭に並んでいますが、そのうちの4分の1は毎年入れ替わり続けているそうです。ロングセラーのものもあれば、売りきり終了のアイテムのほうが圧倒的に多いので、『次に来たときに買おう』と思ってもその時点ではなくなっている可能性が高い。『いつでも買える』ではなく、『いま買わないともう買えないかも』という、モノとの出会いを大切にできるのは、買い物のワクワクにもつながりますよね」
アイコニックなブルーバッグは、年間300万枚作られる
イケアで購入した商品を入れるには、キャリーバッグ「FRAKTA」を99円で購入。いまでこそ、キャリーバッグをレジで購入するのは当たり前となってきましたが、イケアが日本に登場した13年前の2006年では、まだ珍しいスタイルでした。
「このFRAKTA、キャリーバッグにとどまらず、世界中ではこれを使っていろいろなものにリメイクするのが密かに流行中。私ももちろん参戦!こちらは、絶対にスマホをなくさないビッグサーモンのiPhoneケースです。中に荷物は入りません、iPhoneを入れるだけのものです(!)これだけケースが大きければ、絶対にスマホを無くさないですよね(笑)」
これは、ユニーク。インスタグラムで「#frakta」とタグ検索すると、ユニークなFRAKTAのリメイクの数々を見ることができます。
「雑貨が大好き」森井ユカさん
最後に、森井さんの立体造形作家や雑貨マニアとしてのご活動について、少し伺いました。
雑貨がこの上なく好き
昔から雑貨が大好きだったという森井さん。 「一人っ子だったからなのか、一度気に入るとそればかりを集めるという収集癖がありまして。オタク気質なんですよね(笑)」 好きが高じて、それにまつわる著書も多数。日本の47都道府県のご当地スーパーをめぐって好きなものをあつめた本や、日本のみならず世界のスーパーマーケットをナビゲートしたものも。雑貨好きにはたまらないラインナップばかりです。
イケアのいろいろが詰まった2冊
イケアについてまとめた本は、『IKEAマニアック』『IKEA FAN BOOK』(ともに河出書房新社)の2冊。ただイケアの商品の羅列だけにとどまらず、イケアのあれこれについていろいろな角度からアプローチした内容。 「イケアの何が好きかって、“おもしろいから”なんです。スタイリッシュな北欧デザインやその安さももちろん好きですが、思わず『何これ?!』と声をあげてしまいそうなアイテムやイベントがあるのが、好き。美しいだけでなく、人を驚かせたり楽しませたりできるというのは、デザインにおける真骨頂だと思います」 この2冊、イケアファンは必見です!
ネコの“造形”が公園で簡単に完成!? ネコカップをプロデュース
立体造形作家の森井さんが最近手がけたのが、こちらの「Neko Cup(ネコカップ)2,970円(アッシュコンセプト )」。 「ネコの何とも言えないまるみが大好き。型を作ればいろいろなところでネコのこの“まるみ”をつくることができるということで(笑)作成してみました。砂遊びに海に持っていけば、ネコが無限に作れます!チャーハンの型などの使い方もできそう。いろいろなところに“ネコの癒し”を生み出してください」
ユニークな視点でのイケアについてたっぷり教えてもらったところで、次のお休みは家族でイケアを訪れるのも、いつもとはまた違った目線で買い物ができて楽しそうですね!
PROFILE 森井ユカさん
取材・文/松崎愛香 撮影/田尻陽子
※掲載商品は森井ユカさんの私物です。すでに完売している可能性もありますので店頭へのお問い合わせはご遠慮ください。※文中に記載の価格や完売状況は編集部調べです。