小さい子にとって、ママやパパの言うことは絶対的真実に思えてしまうものですよね。
それを利用して、小さい頃に親から何かを信じこまされていた…という人はかなりの確率でいるようです。
今回は、子育て中のママ・パパに聞いたアンケート結果を中心に、全国共通「あるある」な親のウソや、思わずほっこりするエピソードなどを紹介します。
親のウソ&信じこまされていたこと【生い立ち編】
「ぼく(わたし)はどうやって生まれたの?」
突然子どもに聞かれて、言葉に詰まった…というママ・パパもいるのではないでしょうか。
子どもが「なぜ自分はこの世に存在するのか」と、命の不思議について考え始めた証拠であり素晴らしいことですが、なかなかストレートに話すのはためらわれるもの。
「わが家は正しい知識を教える」というのも教育方針のひとつかもしれませんが、保育園や幼稚園で周りの子に話したりする可能性も考えると…。
そこで、幼いうちはひとまず「コウノトリが運んできた」などのお話を教える人も多いでしょう。
ただ、なぜか日本では、どちらかというと子どもの反応を見て楽しむためのウソが多いようにも思えます。
小さい頃、
「橋の下で拾ってきた」 「川を流れてきた(桃太郎?)」 「おもちゃ屋さんで買った」 「ガチャガチャで出てきた」
…などの親の言葉を信じてショックを受けた人が全国に多数いる模様。
しかも、きょうだいがいる場合、先にだまされた兄姉から同じことを言われたり、自分も弟や妹を騙していたりという人も少なくありません。
子どもが衝撃の事実(ウソですが)を知って、驚く顔を見たいという誘惑にかられるのでしょうか…。
親のウソ&信じこまされていたこと【あるある編】
親が子どもに信じこませたいことは共通なのか、職場や友人の飲み会などで話題になると、誰かの体験談に思わず「私も!」と叫んでしまう人も。
ここではそんな「あるある」な親のウソを集めてみました。
ケース1:お年玉詐欺
この手の体験談でもっとも多いのが、親に
「お年玉は預かって貯金しておくからね」
と言われ、実際は生活費などに使われていたというもの。
成長後、私のお年玉は?と尋ねて、親が誤魔化しきれず発覚したという経験を持つ人は非常に多いようです。
ケース2:クリスマスプレゼントが届かない
また、時々聞くのが
「うちは仏教徒だからサンタさんは来ない」
と、クリスマスプレゼントがなかったという話。こちらもある程度成長して、友人が同じく仏教徒なのにプレゼントは届いていた、という話で気付くことが多いようです。
ケース3:ママの年齢詐称
こちらも非常に多いのが、母親が
「ママは28歳よ」
とサバを読んでいたという話。
「子供心に、ママはなんで毎年年が増えないんだろうと不思議に思ってました」
という声もよく聞きます。
なかには、さらに干支を聞くと「パンダ年」と答えるなど、完璧な偽装工作を施していたお母様も多かったようです(笑)。
ケース4:食材偽装
- カニ→カニカマ
- 松茸→エリンギ
- ウナギ→サンマの蒲焼き
など、いわゆる高級食材を安く手に入る食材で置き換えるのは食べ盛りの子どもたちを育てる暮らしの知恵ですが、かなり成長するまで本物だと思い込んでいた人もかなりいるようです。
ケース5:ルックス関連
特に女の子では、けっこう低年齢のうちから容姿を気にしだすことも多いもの。
「毛深いことを気にしていたのですが、ママもそうだったけどそのうち薄くなるわよって言われて待っていましたが、一向に薄くならず、就職を機に脱毛サロンに通いました」
「太めだった私に、両親も親戚も、女の子はちょっとポッチャリしている方がモテるからと言われ続けて育ちましたが、全くもってモテませんでした」
など、大人の方はだますつもりはなく本気で言っていたのかもしれませんが、言われた方はあとになって「その場しのぎ」「気休め」「本当のことを教えてほしかった」と怒りを覚えることもあるようです。
自分が親になってみると、すぐに改善できない外見の悩みでくよくよして過ごすより、今しかできないことに打ち込んでほしいという親心も理解できますが…複雑ですね。
親のウソ&信じこまされていたこと【しつけ編】
「早く寝なさい」といっても、はしゃいだりぐずったりしてなかなか布団に入らない子に向かって、「いつまでも起きてるとオバケがくるよ!」とおどかした経験のあるママ・パパは多いのではないでしょうか。
しつけや、子どもの生活習慣のために作り話をするのは昔から行われていたようです。
おへそやお腹は大切に
「スイカの種を食べると、おへそから芽が出てくる」
「おへそを出して寝ていると雷さんにへそを取られる」
「へそのゴマを取るとおなかが痛くなる」
など、おへそがらみのネタは昔からとても多いです。
消化の悪いスイカのタネをたくさん飲み込んでお腹を壊したり、寝冷えして風邪を引かないようにという親の愛情の表れかもしれませんね。
なお、おへその中は皮膚が薄く、お風呂のあとなど乾燥しにくいため、爪でゴマ(垢)を取ろうとして傷をつけてしまうと化膿しやすいといわれています。
夜に〇〇すると…
子どもの頃、
「夜に口笛を吹くと蛇が来る」
と言われた人もいると思います。
なぜ口笛? なぜ蛇?
と不思議にも思いますが、由来は諸説あり、近所迷惑にならないためとも、夜行性の蛇が本当に小鳥のさえずりと間違って家に入ってこないようにとも、昔は泥棒が夜間の連絡手段として口笛を使っていたからとも言われています。
他にも、
「夜に爪を切ると親の死に目に遭えない」
または
「朝に爪を切ると家族の誰かが死ぬ」
と言われていた人も。
昔は夜は薄暗い灯火しかなかったですし、朝出かける前にバタバタと爪を切ると、深爪の危険があるからだと考えられています。爪は休日にゆっくりお手入れするのがよさそうですね(笑)。
子どもに食べさせたくないものはこの作戦で
- チョコレートを「これは苦いお薬だよ」
- ウニやイクラなどの高級食材を「辛い」「苦い」「子どもには身体に悪い」
- コーヒーを「頭が悪くなる」
- 炭酸飲料を「骨が溶ける」
などと教えて欲しがらないようにさせるという、落語の「ぶす」をほうふつとさせるエピソードも色々あります。
もちろん予算的なこともあると思いますが、虫歯やカフェイン・アレルギーなどを心配してのことかもしれませんね。
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また、上記の逆バージョンで、「〇〇を食べると頭が良くなる」というものもあり、具体的には「パンの耳」「メザシの頭」「ネギ」など、子どもが残しがちな食材が挙げられました。
噛み応えのあるものをよく噛んで食べるのは脳によい影響があると立証されていますので、このあたりはある意味ウソではないかもしれません。
上記以外にも、バスの停車ボタンや、電車の扇風機ボタン、車の運転に関わる部品を、「押すと爆発する」と教えられて信じこんでいた人がたくさんいました。
昔は今よりもきょうだいの人数も多く、好奇心で触りたがる子にゆっくり言い聞かせていられず、手っ取り早くやめさせるために言われていたのでは…と想像がつきますね。
ほのぼの編
なお、今回、1歳~中学生のお子さんがいるママ・パパに、「子どものころ、親に信じこまされていたことはありますか?」と聞いてみると、
- はい…55%
- いいえ…45%
と、ほぼ半数ずつという結果でした。
なかには覚えていない人や今でも信じていて気づいていない人も含まれ、実際はもう少し「はい」が多いのかもしれませんが…。
一方、「お子さんに、あえて思い込ませていることがありますか?」という質問には、
はい…64% いいえ…36%
と多くなり、親の立場としては多くの人がお子さんにあえて何らかのウソをついているということになります。
しかし、その内容を聞いてみると、次のような心温まるものもたくさんありました。
「娘はぬいぐるみが好きなのですが、かわいがる一方で平気でふんづけたりしているので、大切にしてほしいと思い、〇〇ちゃんが寝たあと、ぬいぐるみたちは遊んでるんだよ、生きてるんだよって教えています」(Tさん・30歳・4歳児のママ)
「観察が上手だね、よく見るのが好きなんだね…と小さいころから言っていたら、自分でも”よく見るよ!観察上手でしょ?”と言い出して。絵を描いたり本を読む際にもじっくりと取り組むようになりました」(Hさん・38歳・2年生のママ)
「初めてのことに挑戦するたび”チャレンジして偉い!”とほめていたら、”僕はチャレンジが上手だからね!”といって、新しいことに取り組む自信がついてきたようです」(Uさん・37歳・6歳児のパパ)
「近くの国立大学の池にカモがいて、子どもがそのカモを見るのが大好きなので、”一生懸命勉強すると毎日カモさんに会えるよ!”と吹き込んでいます。まあウソではないですよね(笑)」(Kさん・33歳・5歳児のママ)
「4歳と2歳の息子たちは野菜嫌い。何度注意してもすぐ危ないことをするので、もしケガをしたら救急車で連れて行かれて入院しないといけなくなり、病院では野菜ばかり食べないといけない、と思い込ませています」(Mさん・32歳・4歳児と2歳児のママ)
いずれも、イタズラ心というよりは、お子さんに良かれと思って言っているものが目立ちますね。
おわりに
全国津々浦々、場所は違うのに、なぜか子ども時代に共通のネタで騙されていた人が多いのは不思議なものですよね。
当時流行したテレビ番組など、元ネタがあるのでしょうか?筆者もいつか調べてみたいと思っています。
文/高谷みえこ