勉強している女の子

子どもの教育費、どう貯めればいいのか不安な人も多いと思います。教育費を貯める手段として、学資保険を検討している人もいるのでは? そこで、学資保険とはどういうもので、どんなメリットはあるのかご紹介します。

 

学資保険とはそもそも何?しくみは?


学資保険はその名の通り、子どもにかかる教育資金の準備をするための保険です。通常の保険のように、毎月決まった金額を掛金として拠出していくことで、子どもの進学にあわせてさまざまな準備金や満期保険金を受け取ることができます。 貯金と同じように毎月決まった金額を貯めていくと考えれば、イメージがつきやすいかもしれません。

 

では、学資保険と貯金では何が違うのでしょう? その大きな差は、親に万が一のことがあったときに現れます。学資保険の場合、契約者である親に何かあった場合、それ以降の保険料の払い込みが免除となります。保険料を払い込まなくても、保障内容はそのままなので、教育資金が確保できるというしくみです。

 

基本的には大学の費用をまかなうために組み立てられた保険が多いですが、小中学校や高校に入学するときにお祝い金がもらえることも。

 

学資保険を選ぶとき、注目したいのは「返戻率」です。 「返戻率」とは、払い込んだ保険料の総額と実際にもらえるお金の総額の割合のこと。返戻率が100%ということは、払い込んだ保険料の総額ともらえるお金の総額がイコールだということです。つまり、返戻率が105%だと、払い込んだ保険料よりもちょっと多くお金が受け取れるということになります。

 

子どもの学費、いくら必要? 


授業中に手をあげる女の子

 

学資保険を活用すれば、計画的に子どもの教育費を貯められるわけですが、そもそも子どもの教育資金はいくら必要になるのでしょうか?ここでは、子どもの教育費としてどのくらいかかるか、幼稚園・保育園から大学まで見ていきましょう。

 

幼稚園、保育園にかかる費用は約23万〜60万円

公立の幼稚園でかかる費用は、年間約23万4000円

*1   教育費や給食費、幼稚園外の活動費用を含めても年間23万円ほどで収まる結果となっています。一方、私立の幼稚園の場合は約48万2300円と公立の倍以上かかるとされています。

 

 保育園については、子どもが一人の場合の月額利用料の平均値は2万2970円となっています。ボリュームゾーンとしては2万円以上3万円未満の人が最も多く、月額3万円未満でおさまっている人が全体の8割を占める結果となっています。

*2 

 

ただし、認可外の場合はちょっと事情が違ってくるようです。同調査によると、認可外保育施設における月額利用料の平均額は3~5万円がもっとも多くなっています。事業所内保育施設では比較的安く3歳~6歳児では1~3万円未満がもっとも多い結果となりましたが、0歳~2歳児は3~5万円未満が最多に。このように、認可外の保育施設の場合は年間60万円ほどかかるケースもめずらしくないようです。

 

ちなみに、2019年10月からは3~5歳児にかかる幼稚園、保育所、認定こども園等の利用料を無償化する「幼保無償化」が始まる予定です。0歳~2歳までの子どもについては、収入制限などがあり、一部の子どもたちが対象となります。こちらも保育園や幼稚園を利用する親にとってはうれしいニュースなので、チェックしておきましょう。

 

小学校、中学校にかかる費用は合わせて約80万円から

公立の小学校の場合、年間32万2000円の出費となります。一方、私立小学校の場合はその約3倍にあたる年間152万円8000円という結果に。中学校については、公立なら年間47万9000円。私立なら年間132万7000円となっています。

 

小学校と中学校の9年間を公立で過ごす場合、約340万円あれば十分といえそうです。しかし、私立に通う場合は小学校の6年間だけでも920万円ほど、中学校で400万円ほどかかることになり、合計で1,320万円ほどかかる計算に。子どもを私立に入学させる可能性がある場合は十分な貯蓄が必要となります。

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高校にかかる費用は私立だと300万円を超えることも

次に、高校にかかるお金を見ていきます。公立高校(全日制)の場合、年間45万1000円となり、3年間で135万円前後。私立高校(全日制)の場合は年間104万円となり、3年間では300万円以上かかることになります。

*4しっかりお金を貯めておかないと日々の生活が苦しく感じることがあるかもしれませんね。

 

大学にかかる費用は公立文系なら4年間で約230万円

大学の場合は、公立と私立で大きな差があるだけではなく、文系と理系、さらには学部学科によっても学費に大きな差が出てきます。公立の大学の場合、文部科学省令によって授業料の年額が535,800円、入学料が282,000円、検定料が17,000円と、標準額が定められています。つまり、初年度は80万円前後、そのあと3年間は年間50万円程度となり4年間トータルで230万円ほどの費用がかかる計算となります。

 

私立大学の場合、文系では授業料と施設設備費を合わせて年間約93万円がかかります。入学料が初年度に約23万円なので4年間で合計約400万円のお金が必要に。理系の場合はさらに高くなり、授業料と施設設備費合わせて年間約129万円、入学料が約25万円。4年間で約550万円かかる計算です。医歯薬系の学部だと年間の授業料と施設設備費だけで約372万円。入学料は約105万円なので、6年間通えば約2,340万円が必要となります。

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学資保険のメリット・デメリット


小学生の下校風景

保育園・幼稚園から大学まで通った場合、どれくいらのお金が必要になるか見えてきたかと思います。学資保険に加入することを考える際には、学資保険のメリットとデメリットについてもおさえておきたいですよね。 メリットとしては、下記のようなポイントが挙げられます。

 

・返戻率が高いものを選べばお金がふえる

・計画的に、かつ確実に子どもの教育資金を貯めていくことができる

・生命保険料控除を受けられる

・親に万が一のことがあった場合の後ろ盾となってくれる

 

返戻率が高いものを選べば、その分お金をふやすことができます。また、親に万が一のことがあったときにも役立つというのは安心。 逆にデメリットとしては次のような点が挙げられるでしょう。

 

・用途が限られている

・原則固定金利なのでインフレに弱い

・返礼率が低いものだとほかの方法で貯蓄した方がいい場合がある

 

用途が限られているからこそ、教育資金をしっかり貯められるというメリットもありますが、いざというときに解約すると元本割れを起こす可能性もゼロではありません。また、基本的には金利は変わらないので契約したときと同じ金利水準です。つまり、インフレーションには弱い金融商品と言えそうです。

 

学資保険は誰にでも必要なもの?


学資保険は必ずしも必要というわけではありません。経済的に余裕のある人や確実に子どもの教育資金を貯めていける、という自信がある人にとっては必要ないでしょう。

 

しかし、今回見ていただいた教育費は、あくまでも平均の値をとったもの。親に万が一のことがあったときだけでなく、子どもが留学や大学院進学を希望するなど、イレギュラーなことが起きる可能性もあります。 そんなとき、お金が理由で子どもに夢を諦めさせたくないという方は、確実に教育資金を貯めていける学資保険を活用するのもひとつの手です。

 

ぜひ、自分にあった学資保険を探してみてくださいね。

 

<参照サイト>

文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」

文部科学省「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

文部科学省「平成29年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」

 

<註>

*1、*3、*4:「平成28年度子供の学習費調査」(文部科学省)

*2:「平成27年 地域児童福祉事業等調査の概況」(厚生労働省)

*5:「平成29年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」(文部科学省)

 

文/大塚ちえ