引っ込み思案な子

「うちの子、初めての場所ではなかなか溶け込めないのよね…」 「思いきってやってみればいいのに、チャレンジできなくて…」

 

など、わが子の引っ込み思案なところが気になるママやパパは意外と多いようです。

 

今回は、「引っ込み思案な子」はなにが原因なのか、克服させるべきなのか、ぐっとこらえて見守るべきなのかといった疑問について、現役ママ&パパの声もまじえて考えていきます。

うちの子の「引っ込み思案」ここが気になる


まずは、4歳~12歳のお子さんを持つママ・パパに、「お子さんのことを”内気””引っ込み思案””シャイ”だと思いますか?」とたずねてみたところ、

 

  • 当てはまる…31%
  • どちらかといえば当てはまる…39%
  • どちらでもない…7%
  • どちらかといえば当てはまらない…15%
  • 当てはまらない…8%

 

と、なんと7割の人が、わが子は「引っ込み思案」だと感じているという結果になりました。

 

どのような時にそう思うか、状況を聞いてみると以下のような声が聞かれました。

 

「地域のイベントでゴミ拾いをしました。最後にジュースやパンがもらえるので、列に並んでくるよう促したのですが、なかなか行かず私にくっついて”行けない…””1人じゃ無理…”と言うばかり。結局みんながもらい終わって、余りを配っている時にやっと行けました」(1年生の女の子のママ)

 

「参観に行ってみると、授業中、答えがわかっていても手を上げないんです。お店で注文するときも自分で声を出すくらいなら”ほしくない”と言うし、習いごとの発表会も嫌がります。目立つことがとにかく苦手なようです。就学前はそんな様子もなかったのですが…」(2年生の男の子のパパ)

 

「小さい時から、知らない場所に行ったり、知らない人がいたりするときは、基本的にわたしの足にまとわりついていました」(3年生の男の子のママ)

 

「家の中と人前での姿が違いすぎて…家では大声で歌ったり踊ったりするのに、支援センターや友人宅にいくといつもモジモジしてしまいます」(4年生の女の子のママ)

 

やはり多かったのは

 

  • 授業中に発言できない
  • 慣れない場所や初対面の人には、モジモジして親の後ろに隠れてしまう
    (人見知り・場所見知り)

 

というもの。

 

どうやらこれが内気な子のママ&パパの二大お悩みのようです。

「引っ込み思案な子」は何が原因?親に似たのか?


続いて、「お子さんが引っ込み思案なのは、何が原因だと思いますか?」と聞いてみました。

 

すると、こちらも「生まれつき」という回答が78%と、多くの人がもともとの性格だと考えていることが分かりました。

 

その他の理由としては、「母親に似た」66%、「父親に似た」33%(複数回答可)と、自分自身も小さい頃は内気だったというママ・パパも相当数いました。

 

一方、祖父母世代から言われることのある「一人っ子だから」を理由に挙げた人は0%でした。

 

一人っ子が珍しくない今の時代、積極的な子もいればおとなしい子もいるのが当たり前。

 

また反対に、きょうだいで1人だけが引っ込み思案な性格というケースや、保育園でたくさんの同世代の子と一緒に過ごしていても内気という子もいて、「引っ込み思案」は環境よりも本人の気質だという考えが主流のようです。

 

「引っ込み思案な子」への保護者の対応


幼児から小学校低学年頃に、自分から友だちの輪に入れなかったり、授業中にまったく手を上げられなかったりする姿を見ると、親としては将来が少し心配になってしまうかもしれません。

 

しかし、「お子さんの内気な性格を直したい(変えたい)ですか?」という問いには、55%と約半数の人が「変えられないと思う」「無理に直す必要はない」と答えました。

 

「自分も小さい頃、人前で話したり目立つのが苦手で。親から叱られてつらい思いをしたので、子どもには無理強いしないようにしています」(4年生の男の子のママ)

 

「今の姿だけを見て焦らなくても、成長につれて変わっていくのではと思っています」(1年生の女の子のママ)

 

「特に直すための手段はとらず、現状では”いつでもママとパパはあなたの味方だよ”ということを伝え続けるようにだけはしています」(6年生の女の子のママ)

 

実際、小さい頃に引っ込み思案だった人に話を聞くと、学校生活のどこかのタイミングで人前でも発言できるようになったり、自分からクラスメイトに話しかけるようになれた…という人も少なくありません。

 

また、就職してからは、決しておしゃべりではないけれど必要なことはきちんと伝えられているという人がほとんど。

 

とはいえ、親としては、

 

「体調が悪い時や、親がいない場所で、困っている時にそれを周囲に伝えられるようになってほしい」

 

「失敗を恐れずに一歩踏み出すためにはどうしたらいいのか」

 

「自分らしさを発揮してのびのび育ってほしい」

 

などの思いもやはりあるもの。何かいい方法があれば知りたいですね。

 

これについては、次のような接し方や声がけが有効だと言われています。

自信をつける

小さい頃は引っ込み思案だったものの、ある時点から積極的になったという子は、ちょうどその時期になにかを成し遂げて、それが自信につながったとよくいいます。

 

新しく何かができるようになったときはもちろんですが、「今年になって1回も歯磨きを忘れずにできてるね!」「いつもボールをしっかり見て蹴っているね!」など、毎日できていることをたくさん見つけましょう。

 

そして、他の子と比べてではなく、以前のその子と比べ、ともに成長を喜んであげて下さいね。

 

小さなことでも積み重なると自信がつき、少しずつ自分の思いを出したり、本来の力を発揮したりできるようになるはず。

長所にスポットを当てる

「引っ込み思案」は、思案という文字が含まれていることからも分かるように、行動に移す前によく考える、思慮深いという長所でもあります。

 

想像力や思考力が豊かだからこそ、「もしこんな失敗をしたら恥ずかしい」という感情が生まれるともいえます。

 

また、人を押しのけて自分の欲求を通すことも時には必要かもしれませんが、なかなかできないのは優しさの表れでもあります。

 

こういった長所の方にスポットを当てていると、周囲から「積極性がない」「もっとハキハキしなきゃダメ」などと言われたときも、影響を受けすぎることなく、ぶれずに子どもの姿を捉えることができるでしょう。

失敗したことを責めない

失敗は誰でも必ずするもの。

 

ですが、失敗そのものを責めると、次からは叱られることを恐れてますます動けなくなってしまう子もいます。

 

過去の記事「自己肯定感を高めるには」でも紹介しましたが、失敗した時に必要なのは、叱ることではなく、「どうフォローするか」「次はどうすればうまくいくか」を考えること。

 

子どもには「失敗する権利」があり、失敗はまたとない学びのチャンスということを伝えてあげて下さい。

 

https://chanto.jp.net/childcare/education/125544/

子どもの自信がつくようにサポートを


実は筆者も小学校2年生まで、ほとんど自分から誰にも話しかけることができれず、発表会でも絶対に前に出たくないという性格だったんです。

 

しかし当時の担任の先生がとても温かく見守ってくれたことで、少しずつ自分を出せるようになり、今ではすっかり講演やイベントの司会なども楽しくこなせるようになっています。

 

今回、多くの親御さんが「引っ込み思案も個性」と考え、温かく見守っていることも分かり安心しました。

 

記事内で紹介した「引っ込み思案な子への接し方」は、内気な子や消極的な子だけに向けたものではなく、どんな子にも前向きに取り組む力をつけてくれます。

 

子ども自身が萎縮したり、「引っ込み思案な自分はダメだ」と思うことなく、少しずつ自信をつけていけるようにサポートしていきたいですね。

 

文/高谷みえこ