女の子3人組

女性3人で行動していると、いつの間にか2人が盛り上がり、残りの1人がポツンと取り残される…。大人でも時々見かける光景ですが、子どもの世界では、世間体や建前が存在しない分、あからさまに「仲間外れ」が起こることがあります。

 

女の子特有ともいわれるこの行動、なぜ起こるのでしょうか? わが子が1人ぼっちになった時、親としてどんな言葉をかければよいのでしょうか。

 

今回は、現役のママ・パパの体験談もあわせて「女の子3人組」の実態と対応策を紹介します。

女の子の3人グループ、遊びの様子と仲間外れの実態は…


まずは、4歳~10歳の女の子を育てているママ・パパに「お子さんが女の子3人で遊んでいるとき、1人が仲間外れになることがありますか?」とたずねてみたところ、

 

・よくある 25% ・たまにある 50% ・まったくない 25%

 

と、まったく仲間外れの状況がないのは4人に1人という結果でした。 具体的な状況としては、

 

「双子の娘と近所の同級生の3人でよく遊んでいますが、今のところそういった状況はありません」(4歳の双子のパパ)

 

「保育士さんに聞いた、娘の園での様子です。3人で遊んでいたはずの2人がいつの間にかおままごとを始めてしまい、1人になった側は、”一緒に遊んでいたのに…”と不満を持ちつつ、今さら”入れて”とも言えずモヤモヤしてしまうとのこと。たしかに微妙な気分ですよね」(4歳児のママ)

 

「うちの子は1人遊びが好きなのか、女の子3人でままごとで遊んでいると思ったら、いつのまにか娘は1人でお絵描きや塗り絵を始めています。自分からなのか、仲間外れの結果なのか分かりませんが…」(2年生のママ)

 

「10歳(小学4年生)を過ぎた頃から、女の子のあいだでの仲間外れを見かけることが増えました。きっかけはタレントの誰が好き・嫌いといったちょっとした意見のぶつかり合いで、みんなと意見が合わないと、しばらくその子がぽつんとすることがあるようです。うちの子は周りに合わせているようですが、それも良いのか悪いのか…難しいですね」(5年生のママ)

 

低学年の子でよく聞くのが、下校時や教室移動時、3人のうち2人が先に手を取り合って先に行ってしまう、追いかけるとまた逃げるというもの。

 

強く「やめて!」と言えない子や、やり返せないおっとりした優しいタイプの子がターゲットになることが多く、する側は、特にその子との間にもめごとや問題もないのに面白半分で逃げることが多いようです。

 

また、「1対1で遊ぶときは普通なのに、3人になると急に仲間外れや意地悪を始める」という話もよく聞きます。

 

小学校中学年を過ぎてくると、その場のノリで意地悪をするというより、一定期間2人が結託したり1人がもう1人を誘ったりして、ヒソヒソ話や無視をするなど「仲間外れ」の域を超えるような状況も。

 

あるママが聞いた話では、仲間外れにする側の子は、こんな風に理由を語っていたそうです。

 

「以前、別の子に仲間外れにされたことがある。誰かと2人でべったりくっついていればとりあえず1人になることはないから、3人組の1人を締め出そうと思ってしまった」

 

と、なりゆきではなく、明確な意図があってやっていることが分かるとともに、その子もまた過去に傷ついており、仲間外れが連鎖していることがわかります。

 

男の子ママ&パパに質問

「3人組で仲間外れはありますか?」答えは…


参考のため、男の子の親にも「3人組で1人が仲間外れは男の子でもよく起きますか?」とたずねてみたところ、全員が「女の子と比べると、ほとんどない」という回答でした。

 

そう思う理由としては、

 

「女の子のようにグループを作って遊ぶというレベルまで発達していない。偶然同じウルトラマンのフィギュアを手に持ってたからぶつけ合うというぐらいで、一緒に遊ぼうと言ってスタートしているわけではないので、誰かが満足したら自然解散する」(4歳児のパパ)

 

「男の子は、技の見せあいやかけっこなど、”一人で出来る遊び”を集団でやっていることが多いなと見ていて思います。誰か一人だけ仲間外れということがないかわりに、女の子のおままごとのようにみんなで協力して一つの遊びをするということも少ないです」(2年生のママ)

 

と、同じ年なら精神的に女の子より幼いことや、遊び方の違いなどからきているようです。

 

最近の脳科学では、いわゆる「男性脳」「女性脳」という区別はないという考えが主流になってきています。

 

しかし、昔から男女の行動の違いとしてよく言われるのは、男の子は「モノ」に関心があり、遊びの中で重視するのは「勝つこと」や「手に入れること」、対して女の子は「ヒト」に関心があり「共感」を重視する…というもの。

 

男の子はその時その場で遊ぶという目的が達せられればいいので、ケンカはあっても仲間外れは起こりにくいのに対し、女の子は、目の前の共感を維持するために、意見や好みが合わない相手を排除しようとすることがあるといわれます。

 

 

子どもの性格別【女子3人組仲間外れ問題】の対処法

どうアドバイスする?


もし、わが子が3人組で仲間外れにされていると分かったら、どう対処するのがベストでしょうか?お子さんのタイプによって、どう声をかけると良いのかは多少異なります。

 

必死でついていくタイプの子には

しょっちゅう仲間外れにされても、「でもAちゃんたちと遊びたいから」と、一生懸命ついていくタイプの子がいます。親の目から見ると「そんな意地悪されてまで一緒にいることないのに!」と言いたくなりますよね。

 

でも、子ども自身が本当にその子たちと遊びたいなら、大人目線では見えない何らかの魅力があり、今はそれが本人に必要な時期と考えて見守りましょう。

 

家庭でできることは、悲しかった気持ちには共感してあげる、自分がされてイヤだったことは人にしないでおこうねと話すことくらい。そうしているうち、いずれ子どもの価値観が変わり、別の友だちを見つけるかもしれません。

 

反対に、毎回仲間外れにされて辛いけれど、離れるのが怖い…という子には、「自分が苦しむ相手と無理に一緒にいる必要はない」ということを伝え、もしもママが子ども時代に意地悪な子と離れて新しい友だちを見つけた体験談などがあれば、ぜひ話してあげて下さい。

 

習いごとやサークルなどに参加して、学校以外で話す相手を作るのもおすすめ。もしそこで直接友だちができなかったとしても、子どもの世界はぐっと広がります。

 

また、自分に自信がないために、「Aちゃんたちと離れたら誰も相手にしてくれないのでは…」と不安で、強く文句を言えずに我慢しているケースもあります。

 

この場合にはぜひ自信をつけてほしいので、家では意識的に本人が日頃がんばっていることを見つけてほめたり、失敗や欠点ばかりにフォーカスするのをぐっとこらえて「そのままでOK」という気持ちで接するようにしましょう。

 

無理に人に合わせるのが苦痛なタイプの子には

学生時代や大人同士でも一定数、「どこに行くにも一緒」というベタベタした付き合いが苦手なタイプの女性がいます。

 

子どもも同じで、常に「次は何して遊ぶ?」と相手の意向を確認して終始一緒に過ごす子もいれば、「今はお絵かきしたいから」と、自分の欲求に正直な子も。

 

周りに似たタイプの子が多い・合わせるタイプの子に好かれている…などで、運よく平和に過ごせることも十分あります。

 

しかし、わが道を行くタイプの子がたまたま3人組になり、2人がいつも一緒に行動したいタイプだと、気付けばひとり孤立してしまうことも多々あります。

 

本人がなんとも思っていなければそれはそれで良いのかもしれませんが、多くの場合は「1人はちょっと淋しいけど、したくもないことを無理にするのはもっとイヤ」と思っていることが多いようです。

 

ママやパパが、こういったお子さんと似たタイプの性格なら、「何もかも合わせる必要はないけれど、本当に1人がイヤなら、お友だちが何して遊びたいかも聞いてみたり、誘われたら一緒に遊んでみると楽しいかもしれないよ」などと話してあげられるでしょう。

 

もしママやパパが正反対の性格で、いつも周りとの協調を優先してきたタイプなら、お子さんの心情が理解できずにヤキモキしたり、「あまり勝手なことばかりしちゃダメ」と叱ったりするかもしれません。

 

しかし、それを選ぶのは最終的にはお子さん自身。話には耳を傾けつつ、長い目で見守ってあげてほしいと思います。

 

女子3人組の仲間外れ、大人はどこまで介入する?


わが子が仲間外れにされたり、いつの間にかポツンとしているのを見ると、親としては本当に胸が締め付けられますね。

 

そして「うちの子に欠点があるから…?」「仲間に入れてもらえるよう介入した方がいい?」と考えてしまいますが、それは時と場合にもよります。

 

もちろん、この機会に子どもの言動やふるまいを見つめなおし、直すべきは直すのも大切。

 

例えば、「鬼ごっこをしていてつかまりそうになると、いつも勝手にルールを変えてしまう」など、子どもながらに「あの子はずるい」とシビアに評価されることはけっこうあります。

 

でも、どんな子にも長所と短所があり、合う合わない・お互いの「好き」の度合いの温度差・独占欲の強さなど、子ども同士の関係にもさまざまな要素があり、仲間外れにされる子にいちがいに落ち度があるとは限りません。

 

近所の子やクラスの子の顔ぶれなどには、正直、運もあります。

 

親から見ると歯がゆいこともありますが、これも学びのひとつ。親がわが子や周りの子を変えようと必死になっても、最終的には本人が解決する力を身につけていかなければ、高学年や中学校で困ってしまうかもしれません。

 

家でママやパパにできることは、一緒に好きな遊びに熱中したり、お菓子作り・スポーツなどその子の好きなことを一緒に楽しんで、心を満たしてあげることではないでしょうか。

 

保育士さんや担任の先生には状況だけは伝えておき、いきなり介入してもらうのではなく、まずは様子を見てもらうようお願いするのがよいと思います。

 

ただし、次のような場合は、「いじめ」に該当する可能性が非常に高いので、すぐに園や学校に連絡し、何が起きているのか確認することをおすすめします。

 

  • 子ども本人からSOSが出た
  • 夜、眠れていない
  • 「学校に行きたくない」と言う
  • 3人組ではなく、集団で仲間外れや無視されている

 

まとめ


女の子3人組で1人が孤立するというのは、永遠のテーマのひとつかもしれません。 ただ、子育てを経験した多くのママが話してくれたのは、「子どもは経験から学び、1人でも自立して生きる力や、本当に気の合う友だちを作る力を身につける」ということ。

 

いじめなどに発展しない限り、親にできることは少ないかもしれませんが、いつも子どもの一番の味方として成長を支えていきたいですね。

 

文/高谷みえこ

参考:PNAS”Sex beyond the genitalia: The human brain mosaic”