小学校の担任に不信感を持ったら

小学校の担任の先生は、子どもにとって、毎日の大部分の時間を共に過ごす非常に身近で重要な存在。 ベテランの先生から新任の先生まで、日々大勢の子どもに目を配り、学習や人間関係などの面倒を見てくれてありがたいはず…ですが、まれにどうしても子どもと合わない、不信感がある…というママの声を耳にすることがあります。

 

そんな時はどうすればいいのか、実際の体験談も参考に、子どもが安心して学校に通うために親としてできることを考えてみました。

 

「担任の先生への不信感」が生まれるとき


小学生、とくに低学年の子どものほとんどは、担任の先生は勉強や社会的な行動を教えてくれたり、学校生活で困ったときに助けてくれる頼もしい存在と感じ、期待しています。

 

ところが、中には「どうも担任の先生の対応に納得がいかない」と感じることが。

 

もちろん、誰から見ても指導力不足が明らかであったり、子どもへの接し方などに改善が必要と見なされた場合は、担任を外れ、「指導改善研修」を受けて改善を図ることもあります。

 

しかし実際には、そこまで問題が表面化することはまれ。

 

トラブルがない時は保護者も大きな不満はないものの、何かあった時に「その対応はおかしいのでは」と不信感が生まれるようです。

 

あるママはこんな風に話します。

 

「1年生の息子が友だちを叩いたと先生から電話がありました。初めてのことだったので、驚いてとにかく謝り、息子を叱りましたが、次の週もまた同じことがあったんです。すぐに息子を叱る前にいちど事情を聞いてみたところ、たしかに叩いたが、実はその前に相手の子が背中を蹴ってきたので、悔しくて叩いてしまったと。しかも、蹴ってきた原因は、その子がみんなが並んでいた遊具の順番を抜かして、息子が注意したことが気に入らなかったから…とのことなんです」(Wさん・36歳・2年生の男の子のママ)

 

さらに、

 

「次の週に参観があったので、その時に、実は…と先日の話をしましたが、“あー、そうかもしれませんが、叩くのは良くないので”と。当日、ちゃんと双方に事実確認していたのかどうかは答えてもらえませんでした」

 

Wさんの息子さんは少し口下手なタイプで、幼稚園時代から口でやり込められると手が出てしまいやすいという面があったため、引け目を感じて強くは言えなかったそうですが、

 

「幼稚園では、少なくとも先生が双方の言い分を聞いてくれ、なぜそうなったのかという経緯を理解した上で叱ったり、言い聞かせたりして下さっていました。小学校ってこんなものなのでしょうか…?」

 

と疑問を抱いています。

 

「合わない」「相性が悪い」せい?ポイントを見極めよう


ただ、上記のように、対応に不信感を抱いてしまうような先生は、たいてい他の保護者からも同じような声が上がっているもの。

 

いっぽう、複数の保護者から「いい先生」という話を聞くにも関わらず、わが子は家で不満を口にしていたり、ママから見て対応に疑問を感じる…という場合は、もしかして「合わない」または「相性が悪い」だけなのかもしれません。

 

ここでは、子どもと担任の先生がタイプ的に合わないと感じた場合、それでもなんとかなるのか、それとも注意しておくべきなのか、見極めるポイントを解説します。

 

ママの体験談①「最初は合わなかったけどうまくいきました」

「1年2年の担任はとても優しい女の先生で、娘も大好きだったようです。ところが3年生からは、声が大きく何でもズバズバ言うタイプの男の先生で、娘はすっかり怖がってしまい…」

 

と話すのは、Hさん(33歳・3年生の女の子のママ)。

 

「1学期の個人懇談で、娘の直すべき点をいくつも指摘され、私の育て方が悪かったのか、いいところは全然見てくれないのかと、すっかり落ち込んでしまいました」

 

「でも、口調は厳しいけれど、リコーダーの練習がうまくいかない時はずっと一緒に練習に付き合ってくれたり、娘が隣の席の子にちょっかいを出されている時はすぐ気付いてくれたりと、決して突き放すだけではなかったんです。夏休みに娘からそれを聞き、2学期からは娘も慣れてきたようで、怖いとは言わなくなりました」

 

課題や改善点をさりげなく相手に伝えられる人と、ズバッという人がいるのはどこの世界も同じ。

 

「悪い点を1つ伝えるときは良い点を3つ伝える」などの工夫は、「ソーシャルスキル」として教育学や研修にも取り入れられているので、もちろんそうしてくれるのがベストです。

 

しかし、仮にズバッと言うタイプの先生でも、しっかりと子どもを見てくれた上での指摘であれば、参考にさせてもらうという気持ちで受け止めれば良いのではないでしょうか。

 

ママの体験談②「長男と次男、同じ先生でしたが…」

現在6年生と4年生のお子さんがいるKさん(41歳)は、きょうだいで同じ先生の担任を経験したそうです。

 

「長男の時は、今日も先生が〇〇君を怒っていて怖かった、とよく話していました。長男は穏やかでのんびりした性格なので、自分に向けられた叱り声でなくても萎縮してしまい、忘れ物をして叱られたくないので、2回も3回も時間割を見直したりしていて。私も厳しい先生だな~と思っていました。」

 

ところが、少々やんちゃな下のお子さんの時はかなり印象が違ったそうです。

 

「低学年の時は、あまり叱らない担任の先生で、よく言えば優しく、悪く言うとちょっと頼りない印象でした。ところが、今の担任の先生は、悪いことをしたらビシッと叱ってくれるし、休み時間も一緒に走り回って遊んでくれて、次男は先生が大好きと言っています。好きな先生の言うことなら聞くという感じで、授業態度もぐんとよくなりました」

 

叱るべき時にしっかり叱り、叱らなくていいことまでいちいち叱らないのがベストですが、先生の性格や世代、クラスの雰囲気などで若干幅が出ることがあります。厳しさの許容範囲ギリギリのところにいる子はストレスを感じやすいかもしれません。

 

同じ先生でも、その子の性格によって、「厳しすぎる」と「熱心で助かる」、見方が変わってしまうこともあるのですね。

要注意なのはこんな時!

上記のように「相性」の範囲なら良いのですが、少し注意しなければならないのは、「学校に行きたくない」「どうせ先生は何を話しても聞いてくれない」という言葉が出たときです。

 

先生も人間ですし、子どもは発展途上なので当然完璧ではありません。

 

好き嫌いや合う合わないがあるのはしかたのないことと言えます。

 

しかし、それを子どもたちの前であからさまにしたり、気に入っている子とそうでない子の扱いに差をつけたり、名指しで注意する、その場を見ていないのにこの子が悪いと決めつける…などは、放置しておかず、何らかの手を打つ必要も出てきます。

 

 

ママやパパが親としてできることは


残念ながら担任の先生とわが子の相性があまり良くないとき、また、子どもの発言や親からみて担任の対応に不信感が残るときは、何か親としてできることはあるのでしょうか?

 

子どもの気持ちは受け止める

子ども自身が、「先生に理不尽に叱られた」「言い分を信じてもらえない」などの不満を訴えてきたら、「あなたも悪いんでしょう」と頭ごなしに否定せず、まず十分に言い分を聞いてあげましょう。

 

そして、「傷ついたね」「信じてもらえないのは嫌だよね」と気持ちを受け止めてあげて下さい。

 

ただ、子どもは意図的にせよ無意識にせよ、ママを悲しませたくない・心配をかけたくない・失望させたくない…といった理由から、都合の悪い部分をはっきり言わないことがあります。

 

そういう時も、この子は嘘をついているというスタンスでなく、 「もし誤解なら、お母さんから先生に伝えてあげるからね。だけど、もし心当たりがあるなら正直に話してね。」 と、話しやすい雰囲気を作る工夫をしましょう。

 

その後であれば、「そういう時はこう言ってみよう」「時には大声で意見を言うことも大事だよ」など、大人としてのアドバイスも子どもの心に届くはず。

 

先生へは、「苦情」ではなく「相談」や「状況報告」で

子ども本人や、周りの友だちや保護者から客観的な状況を聞き、日頃の様子などから判断しておそらく真実を言っていると思える時は、一度先生に伝える方がいい時もあります。

 

その場合も、いきなり苦情という姿勢では、たとえ事実でも伝わりにくいため、最初はあくまでも「状況報告」や「相談」という気持ちで連絡を取りましょう。

 

友だちとのトラブルであれば、

 

「子どもから話を聞いたのですが、適切にフォローできるよう、先生から見ての状況も教えていただけますか」

 

「子どもが〇〇の件でかなり落ち込んでいるので、私も励ましていますが、学校でも少しだけ様子を見ていただけますか」

 

先生の対応に納得がいかない点や疑問な点がある場合は、

 

「この指導は、どういう意図でして下さったのか教えていただけますか?家庭ではどのように話してあげれば良いでしょうか?」

 

など、過去のことを責めるのではなく、未来に向け、子どもにプラスになる方向で相談するのがポイントです。 手段として、連絡帳がいいのか、電話がいいのか、直接出向くべきか…は、学校ごとのルールや内容の大小にもよりますが、一般的には、あらかじめ日時を約束のうえ直接出向いて話すのがもっともきちんと対応してもらえる可能性が高いでしょう。

 

冷静に話せる自信がない・感情的になりそうという人は、手紙を書くのもおすすめ。日頃カッとしやすい人は、一晩経ってから読み返してみるとなお良いですね。

 

お願いするときは「具体的に」「できること」を

担任の先生の対応に疑問や不満があるという時でも、少しの工夫でこちらの思いが伝わりやすくなることもあります。

 

「うちの子は少しこういうところがあるので、よろしくお願いします」

 

と言うだけで、適切に気を配ってくれる先生もいますが、そうでない先生ももちろんいます。

 

特に、新1年生では、保育園や幼稚園の手厚さとギャップを感じるママが多いです。

 

ほとんどの先生は一生懸命子どもの気持ちを汲み取る努力をして下さいますが、察してもらうのを期待し過ぎず、

 

「〇〇が少し苦手なので、できる範囲で声かけしていただけますか?それでもできない時は知らせて下されば家でも働きかけます」

 

「〇〇ということがあったらしいので、その時周囲にいた子に話を聞いてみて下さい」

 

というようにお願いしたい点を具体的に伝える方が、先生もできること・できないことを判断しやすいのでおすすめです。

 

もちろん無理なお願いはしないようにしましょう。

 

「こんなことを言うと、モンスター・ペアレントと思われるのでは…?と心配して何も言えません」というママもいますが、わが子だけが優遇されるよう求めるのがモンスターペアレンツ、そうでなければ、「小さなことでも知らせてくれたほうが助かります」という先生も多いものです。

 

合わない担任が持ち上がりだったら…?


残念ながら、あまり相性の良くない担任の先生が持ち上がりと分かっている場合、2年目のタイミングで役員をしてみるのもひとつの方法です。

 

役員の仕事で学校に出向いたとき、参観日などのよそ行きでなく、普段のクラスや子ども、先生の様子を見ることもできますし、話し合いの機会を作ってもらうほどではないちょっとした相談なども、廊下で出会った時に聞くことができて、意思の疎通がはかりやすくなった…と話すママは本当にたくさんいます。 仕事や介護、下の子が小さいなどの理由で役員はちょっと…という人も、クラス懇談などにはできるだけ出席しましょう。

 

意外と連絡事項をマメに書いてくれている、子どもたちが笑顔で過ごせている、などプラスの発見があるかもしれません。

 

まとめ


筆者の次女は、小学生の頃クラス替えで担任が変わるたびに、日々の作業の進め方や小テストの採点基準、注意のしかたなどを「去年の〇〇先生の方がよかった~」と愚痴を言っていましたが、年度が終わる頃には「今の先生が一番!」と毎年のように言っていたことを思い出しました。

 

人にはいろいろなアプローチがあるもの。

 

本質的に問題がある時はともかく、子どもの性格的に担任の先生とあまり合わない時でも、それを通じて「多様な考え方や物事の進め方を学ぶ機会」とプラスに捉えられるといいですね。

 

文/高谷みえこ

参考:文部科学省「指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドライン」