宿題をする小学生の女の子のイメージ

「低学年のうちは、お子さんの宿題をおうちで見てあげてください」 入学時、担任の先生から言われた人もいるかもしれません。

 

でも、「見る」「手伝う」って具体的に何をすればいいの?いつまで続けるべき?と疑問に思っている人もいるかもしれません。 今回は、小学生の宿題と親の役目について、今の小学校事情から考えていきます。

 

「宿題を親が見る」ってどういうこと?


筆者が小学生の保護者から聞き取りをしたアンケートでは、3人に1人がお子さんの宿題を「ほぼ毎日見る」、半数近くが「聞かれたときなど時々見る」で、ほとんど見ないという人は5人に1人という結果でした。

 

しかし『CHANTO』読者世代のママ・パパは、昭和後半か平成前半に小学生だった人が大半かと思います。

 

当時は、宿題で分からないことがあったら親やきょうだいに教えてもらう程度で、学校から「保護者が宿題を見てあげて下さい」と言われることは少なかったのではないでしょうか。

 

そのため、新入生のママたちからは、そもそも「宿題を見るというのはどういう状態を指すのか分からない」という声もときどき聞かれます。

 

どこまでが親に求められているのか考えてみたとき、「つきっきりで子どもが内容を完全に理解するまで責任を持つ」というのは、もちろん可能ならばやって悪いことではありませんが、塾や家庭教師の業務範囲になってきます。

 

日常、家庭で求められるのは、

 

  • 宿題をやったかどうかという事実を確認する
  • 質問されたらヒントやつまづいている点を教えてあげる
  • 答えの丸写しなどしていないかチェックする
  • 丸付けとやり直しのアドバイスなど、内容の最終チェックをする

 

このあたりを目指しているのではないでしょうか。

 

低学年なら、ママやパパが気にかけてくれているだけでやる気が出る子も少なくないので、ずっと隣に座っているのが無理でも、近くで家事をしながら様子を見てあげるのも良いですね。

 

「丸(マル)付けは親」に疑問?


学校にもよりますが、近年お子さんが入学してママやパパが驚くことのひとつに「宿題の丸付けを保護者が行う」というものがあります。

 

「丸付けは先生の仕事じゃないの?」

 

と思う人も多いかもしれません。これにはいくつか理由があるそうです。

 

学習習慣づけが大切

宿題は、「合っていようが間違っていようがやったら終わり」ではなく、どこが間違っていたかを確認し、自分の課題を発見、もう一度やってみて理解するところまでの流れが大切です。 これを1人でいきなりできるようになる子はごくわずか。学校でいくら重要性を話して聞かせ、納得したとしても、定着するまでにはやはり親の声がけやサポートが必要ということのようです。

 

担任の先生の時間的リソースを有効活用

今の小学校の先生はほんとうに忙しいと言われています。 毎日、数十人分の正誤を丸付けする時間のかわりに、児童たちのそれぞれの学習理解度や克服すべき点の把握、人間関係で困っている子のフォローなど、担任でないとできないことに時間を使うべきという考え方もあります。

 

子どものモチベーション

子ども自身にとっても、問題を解いた直後の方がプロセスを覚えているし、合っていたかどうかに対する関心も高いもの。次の日まで置いておくと、結果に対する関心も薄れ、もったいないという理由もあります。

わが子の学習態度や学力を共有

うちの子は、この学年で習得しておきたい学習内容を、どこまで分かっているのか。提出物や宿題などをきちんと出せているのか。 親は全くノータッチで、通知表の評価を見てはじめて知るよりも、日頃から宿題の丸付けやハンコ押しという形で関わっておく方が良いという狙いもあるといいます。

 

親子のコミュニケーション

音読を聞いたり、丸付けをきっかけに、今学校でこんなことをやっているんだね、といった会話や理解を図るという目的もあると言われています。 ただ、「もめごとになるくらいなら、別のことでコミュニケーションを取った方が親子ともにいいかも」というママの声もありました。

 

小学生の宿題はいつまで見るべきか疑問を抱くママのイメージ

 

小学生の宿題、親が見るのはいつまで?


では、低学年では声がけやチェックを毎日してあげたとして、いつまで続ければいいのでしょうか?

 

学年が上がった時や夏休み前の懇談会などで、「そろそろ宿題は自分で丸付けをするよう指導していきます」と先生から言われたり、おたよりで知らされることもあります。

 

しかし、「お子さんの様子を見ながら少しずつ自分でできるようにしていきましょう」と幅を持たせていることも多く、迷ってしまうかもしれませんね。 宿題は、「取りかかる」「問題を解く」「丸付け・答え合わせをする」「解きなおし、理解する」それぞれを1人でできるようになることが最終段階といえます。

 

といっても、なかなか簡単なことではなく、その子の性格や環境により「何歳まで」「〇年生まで」と年齢で区切れるものではないようです。

 

中には、「中学2年生になったので完全に手を離したら、全然できなかった」という体験談もありますので、何歳だからといきなり放置するのは避けた方が良いでしょう。

 

低学年のうちは解いている間そばにいて、だんだんと呼ばれたら見に行く、ママが半分まるつけをして後半は子どもに渡す、ドリルの答えをママが読み上げて子どもが丸付けをする、終わったころに見に行く…など、少しずつ1人でできるようにスモールステップで離れていくのがおすすめ。

 

「子どもにとってのベストな引き際」を常に意識しておきたいですね。

 

体験談からみる、正しい親の宿題の見かた


小学校のお子さんを持つママ・パパに、「宿題の見かた」で困ったこと、うまく行ったことについて聞かせてもらいました。

 

小学生の宿題の見かた・手伝い方の困りごと

「自分が昔習った内容と学校のやり方とが違うときがあります。子どもに指摘されて逆効果なんじゃないかと心配になることがありますね」(Eさん・40歳・5年生と1年生のパパ)

 

「親子だと、分からないところを説明しているうち、つい感情的になってしまいます」(Yさん・32歳・3年生のママ)

 

「どうしても理解度の遅れている子に合わせるので、簡単すぎて、もう少しやりがいのあることに時間を使いたい。中学受験を予定しているので切実です」(Wさん・39歳・4年生のママ)

 

「100点状態になるまでやらないといけないので、子どもが理解できていないと時間がかかってしまいます」(Kさん・35歳・1年生のママ)

 

「学校からも言われるので、宿題は?と声をかければやるのですが、声をかけないと自分から取り掛からない。言われてからやろうとして遊んでいるのが分かります。主体性のない子になってしまいそう…」(Uさん・37歳・2年生のママ)

 

子どもの宿題、こうするといい感じ

「やりなさい、ではなく、何時からやる?何時からやることになってた?一緒にやろうか?と、質問すると、自分で決めた気分になるのか、もめごとが少なくてすむ感じです」(Gさん・34歳・3年生のママ)

 

「親にとってはすぐ解けるのはあたりまえなので、なんで分からないのかとイライラしますが、そこはこらえて…答えをずばり言わないようにも気をつけてます」(Hさん・40歳・6年生のママ)

 

「漢字の書き方など、チェックしすぎると書き直しばかりでイヤになってしまうかもしれないと思い、ある程度は目をつぶるようにしていました。あまりひどければ先生がチェックしてくれますし」(Fさん・38歳・2年生のママ)

 

「最低1つはほめる(この字のハネが上手、昨日より〇が増えたね、この問題は間違えやすいのにできたんだ!すごい など)ようにしています」(Nさん・36歳・1年生のママ)

 

「はっきりいって毎日苦行ですが、高学年で苦労するより、低学年でしっかり習慣づけた方が後が楽と思ってなるべく叱らずつきあうように。2~3年は覚悟していましたが、意外と半年くらいで習慣付きました」(Sさん・42歳・2年生のママ)

 

まとめ


仕事・下の子・体調・介護など、時間が足りない中での宿題チェックは大変ですよね。

 

筆者は子どもの頃、愛情はしっかりかけてもらいましたが、学習面では親は完全ノータッチ。 5年生で算数が分からなくなり転がるように点数が下がったのですが、特に親は気付かなかったようで、高校受験ではかなり苦労しました。

 

そんな経験から、完璧でなくても、宿題を見てあげることはお子さんの様子を知るという目的では役に立つのではないかなと思っています。

 

文/高谷みえこ