健康のために、ダイエットのために。何か運動を始めたい!と思っているママ達へ。 何か習いごとをする? いやいや、働くママにはそんなヒマはないのが現状…。 だからこそ、空いた時間に「サクっと」できるのが“時短ラン”。

時短ランとは、空き時間にママが片手間でできるランニング。 でも走るのって、ハードル高いのでは…?と思いきや、続けられるのは、実はコツ次第。 楽に、楽しく時短ランを続けるコツを元マラソンメダリストの市橋有里さんに聞きました。 今回の記事では、疲れにくい走り方について教えてもらいました。

 

特集INDEX

第1回 時短ランニング!サクッと走って健康管理

第2回 ランニングのストレッチは2種類ある【静的・動的】

第3回 初心者のための疲れにくい走り方【たったこれだけ!】

第4回 時短ランニングのウェア・アイテム選び!

  

楽に走れるコツ!フォーム以前に姿勢が大事


「走るときに大切なのはフォームと思いがちですが、その以前に正しい『姿勢』になっているのが大事!気がついたら猫背になってしまう…というママは、とくに注意です。猫背のまま状態で走ると、背中に負担がかかりやすくなって、すぐに疲れてしまいます。まずは、すっとまっすぐ立つ練習をしてみましょう」

 

走る前に、正しい姿勢でまっすぐ立つことから

かかとをつけて気を付けの姿勢をします。つま先は、拳2個分開けましょう。

 

そのまま、すとんとまっすぐ下に落ちるようなイメージでしゃがみます(かかとが上がってしまってもOK!)。背中が曲がっていると、前に倒れこんでしまうので、自然とまっすぐの姿勢を保つことができます。

壁にもたれて練習する方法

肩とおしりを壁につけて「まっすぐ立っている」姿勢を意識しましょう。

 

肩がつかなかったら、猫背になっている証拠!

フォームはここだけにこだわる


「背筋を伸ばして、基本の走る姿勢をととのえたら、フォームにも注目してみましょう。ただ、初心者のかたの場合はあまりフォームにこだわりすぎてしまうと、逆に疲れてしまいます。『ここだけ意識していると走りやすくなる』というポイントについて、見ていきましょう」

 

両脇は、拳1個分あける

「まず、腕をしっかりと振ることを意識して行ってみましょう。両脇は拳1個分あけて、ハの字になってるようなイメージを持ってください。疲れてくるとどんどん肩の力が入ってきがちですが、脇を開けておくことで肩をすとんと落とす体制をキープできます。その状態で、腕をしっかりと振るイメージで走りましょう」

腕をひくと足が勝手に出る

「腕は、前に出すのではなく『ひじを後ろに引く』ということを意識します。そうすると、足も勝手に前に出てきます。走って疲れてくると腕振りをやめて走っている方も多いですが、それだと足が出にくくなります。とにかく『腕をしっかり動かす』だけを意識していれば大丈夫です」

目線は、前に走っている人の肩ラインが目安

「走っているときに、じつは大切なのが、目線。基本は、まっすぐ前をみましょう。ただ、真正面を意識しすぎるとアゴが上がってきて呼吸がキツくなってくることもあるので、すこしアゴを引くようなイメージ。前を走っている人のちょうど肩あたりを眺めるようなイメージだとわかりやすいかもしれません。間違っても、下を向いて走らないことです。気持ちも落ちてきてしまいます」

 

足のあげ方については気にせず走る

「ももを高くあげることを意識して走ると足の可動域が広がるのですが、初心者の場合はそんなにペースアップして走ることもないため、足のあげ方については最初は気にしなくていいです。気にすることが多すぎるとそこに集中してしまいがちので、最初は『腕振り』と『視線』だけで十分。それよりも、楽しい気持ちを持つことを大切にしてほしいですね」

ほどけない!靴ひもの結びかた


「フォームのポイントをおさえて快適に走り出していても、靴ひもがほどけてきた…なんてことのないように、ほどけない靴ひもの結びかたを覚えておくと便利です」

 

普通の蝶結びを作る過程で、片方に輪っかを作ります

 

「輪っかにもう片方のひもをかけるとき、普通は1重のみにするところを、2重にするだけ!『イアンノット』と呼ばれる結びかたもありますが、それだと片方を引っ張るだけでは簡単に解けません。これなら、ひもを解くときも引っ張るだけでするっと抜けます。それでいて、ひもは外れにくいんです」

 

–––––走るときに気をつけるのはまず「姿勢」、それから「腕振り」と「目線」だけですね。これならできそうです!

次回の記事では、時短ランを楽しくするアイテムについて伺いました。

 

PROFILE

ランニングアドバイザー・市橋有里さん

1977年生まれ。22歳で世界選手権セビリア大会にて銀メダルを獲得し、世界大会のマラソン種目では史上最年少のメダリストとなった。2000年シドニーオリンピックに出場。 東京マラソン2007で現役を引退し、現在はランニングアドバイザーとして活躍。ゲストランナーとしての活動や、子どものかけっこ教室などを主宰している。一方で、料理好きが高じて料理サイトの連載を担当するなど、活動の場を広げている。

取材・文/松崎愛香 撮影/斉藤純平