5月10日に大学無償化法が成立しました。2020年の4月から支援が始まることになるのですが、その内容は大学や専門学校といった高等教育に関して無償化するというものです。近年は大学進学のために奨学金を受け、その奨学金の返済で苦しんでいる社会人も多くいるので、良い法案ではあるのですが、その支援を受けるためには、制限があり、一定の所得以下である必要があります。


気になるのは、実際に支援を受けることができるかどうかということになりますよね。

■大学無償化法とは?

5月10日に成立した大学無償化法とはどういったものでしょうか。 まず、国や自治体が授業料や入学金を減免します。さらに、生活費などに充てることのできる給付型奨学金が支給されます。この奨学金は返済が不要となっています。 自宅から通える学生であればよいですが、地元を離れて進学する学生にとっては生活費も重要です。そのため、家庭の事情で地元以外への進学をあきらめなければならなかった学生にとっても朗報といえるのではないでしょうか。もちろん、進学自体をあきらめなければならなかった学生にとっても朗報ですよね。 財源となるのは消費税となっているため、2020年4月からの支援が始まるためには、2019年10月からの消費税10パーセントが実施されなければなりません。 現状では2019年10月からの消費税は実施されそうですが、まだ先送りになってしまう可能性がゼロというわけではないので、今のところ不透明な部分も多そうです。 また、対象となる学校にもいくつか要件が設定されています。財務諸表が公開されていたり、理事等に外部の人材が登用されているなどです。定員の8割を割っている大学なども対象外となるようです。

■対象者の条件は?

どんな支援があったとしてもその対象とならなければ意味がありません。誰もが対象となるわけではないので、気になるのは対象者の条件ではないでしょうか。 申請すれば誰でも受けられるものではなく、高校在学時の成績はもちろん、高等学校がレポートの提出や面談等によって学習意欲や学習状況を確認します。 さらに、世帯の収入が大きく影響することになり、基本としては住民税が非課税になる世帯が対象になります。住民税が非課税となるためには、家族構成も影響してくるので、一概に年間の所得だけで決まるわけではありません。 本人と両親、加えて妹か弟一人であればおよそ270万円が非課税の収入額となります。この家族構成であれば、270万円までの収入であれば満額が支援されますが、270万円~300万円となると3分の2、300万円~380万円になると3分の1が支援されるといった段階的なものとなっています。 そのため、境界付近となると、1万円の収入の差で支援の額は大きく変わってしまうことになるのです。 文科省の試算では、支援を受けることのできる対象者は約75万人となっています。進学率が80パーセントになると、その費用は約7600億円となる見込みとなっていますが、こういった使い道であれば、異論を唱える人もそれほど多くはないのではないでしょうか。