……お子さんの事前対策は具体的にどのようなことをしましたか?

娘は0歳の頃から、英語の歌とNHKの『えいごであそぼ』を毎日欠かさず、私と一緒に見ていました。言葉ががわかるようになってきてからは「日本語ではない言語があること」「もうすぐマルタという国に行くこと」を留学の半年前から伝えて、心の準備を始めました。 マルタの美しい海の写真を見せて「ここで泳ごうね」と話したり、滞在予定のフラットから保育園までの道のりをGoogle Earthで一緒に見たりして、2歳児でもマルタでの生活を具体的にイメージできるように心がけました。 子どもは順応性が高いと言いますが、誰だって突然の変化には驚いてしまうはずです。いつから、どこで、どんな生活をするのかを事前に一緒にイメージできたことで、マルタ生活にすんなりとなじめたと思います。 日本のお友達や家族と一時的に会えなくなることだけは受け入れ難かったようですが「マルタでは、お昼後には保育園にお迎えに行くから、日本よりも長くパパとママと一緒に遊べるよ」と伝えると、娘なりに納得してくれましたね。

 

……早めの事前対策が功を奏したんですね。保育園はどのように選んだのですか?

子どもが気持ちよく過ごせることを一番に考えていたので、保育園は事前に確保しておきたいと思っていました。 幸い、語学学校とエージェントの現地スタッフが4か所ほど視察してくれて、予算などの条件に合う保育園を見つけてくれました。おかげでとても良い保育園に通えました。

▲稲富さん一家が滞在していた語学学校のフラット。基本的な家具や家電、調理器具、掃除用具は揃っている

 

……留学中の滞在先は、フラット(学校の寮)やホームステイなどがあると思いますが、どのような場所を選びましたか?

 

2〜3名用の2LDKのシェアフラットをワンフロワ丸ごと借りていました。家族留学ということで、そこは語学学校が考慮してくれました。子連れ留学の場合、他人との共同生活はお互いストレスになる可能性があるので、やはり貸し切りのプライベート空間が必要だと思います。

 

……1年の親子留学だと相当な費用がかかりそうですが、どのように捻出されたのでしょうか。

語学学校の学費、滞在費、航空券代、食費、交通費、通信費、近隣国への旅行代など含めて、家族3人で総額にして約800万円かかりました。 ですが留学費用は「支出」とは考えておらず「投資」だと思っています。英語ができるのとできないのとでは、生涯年収が変わります。私たちはまだ30代なので、長期的なスパンで考えると、留学費用は回収できると考えました。英語力の向上だけではなく、仕事の幅や働ける国など「生き方の選択肢を広げる」ことも目標だったんです。

 

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