「いざとなったら奨学金」は危険!! 老後資金との両立がカギ

 

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もちろん、中学や高校から私立だったり、留学すれば、これでも足りません。子どもの望みは最大限叶えてあげたいという気持ちはわかりますが、親はどこまでも負担すべきなのでしょうか。前野さんも、「打ち出の小づちはない」とズバリ。

「いざとなったら奨学金という手もあります。ただ、これを利用したくても難しい場合もあるんです」

たとえば、4人家族で、親の収入が夫婦で1100万円以上だと、日本学生支援機構 の奨学金は利用不可。教育ローンを組む際も、親の収入額の上限があり、共働き家計はこれらにひっかかる可能性が高いのです。共働きを続けるのであれば、「借りればいい」という安易な発想は危険です。

さらに共働き家計は、習いごとなども多く、小さな頃から教育費をかけがち。加えて出産年齢の高齢化もあり、教育費と老後資金を貯める時期が重なるケースもあります。「大学が終わってから、老後資金を貯め始めるのでは遅い」、と前野さんも指摘します。

「せっせと習いごとをさせ、よい教育を受けさせたとしても、老後資金が確保できていければ、子どもの就職後、『親への仕送りを頼む』など、かえって迷惑をかけることになりかねません」

教育費は長期戦。最初に使いすぎることなく、ペースを温存しながら、老後資金の準備と並走して走り切る持久力こそ必要です。

 

ライター:のざわやすえ
出版社での編集を経てフリーに。ライター・エディター活動の一方で、主婦雑誌で培った知識をもとに「暮らし方アドバイザー」として、整理収納や家事タスクのアドバイスでも活動中。また、趣味のソーイングではオーダー業も。働きながら育てた一男一女は、この春から高2、高1に。