共働き世帯が増えた昨今では、小学校の子どもが下校後に1人で習いごとや塾へ行くことも珍しくありません。 居場所の確認やお迎えの連絡のため、低学年でも携帯電話やスマホを持たせる必要に迫られているママも多いのではないでしょうか。
ただ、携帯やスマホの料金プランやサービス内容は相変わらず複雑で、何ができて何ができないのか、年間にかかる費用はいくらなのか…などが分かりにくいという声も少なくありません。
そこで今回は、2019年前半の時点で、「キッズ携帯」とキッズ向けのスマホの機能の違いやかかるお金などを比較。できるだけわかりやすくまとめてみました。
キッズ携帯やスマホ、いつから持たせる?
内閣府が実施している「青少年のインターネット利用環境実態調査」の、平成30年調査結果(速報)によると、0歳から9歳の低年齢層の子ども2274人のうち、なんらかの形でインターネットを使っていたのは1242人で約59.6%でした。
ただ、これには学習用タブレットやゲーム機も含まれるため、連絡用の携帯電話やスマホだけに限って見てみると以下のような割合となります。
- 携帯電話や「子供向け携帯電話(いわゆるキッズ携帯)」を持っている子…約10%
- スマートフォンを持ち歩いている子…約2~3%
あれ?10人に1人しかキッズ携帯を持っていないの?と思われるかもしれませんが、データには0歳から入学前の小さな子も含まれているため、小学校低学年に限るともう少し所持率は高いと思われます。
「ママやパパのスマホで動画を見る」など日頃からスマホに触っている子は1064人と多いのですが、本人の連絡用に持たせる場合、9歳以下ではスマホよりキッズ携帯を持たせているという家庭が5倍ほど多い結果となりました。
6年生まで含めた小学生全体になると、自分専用のスマートフォンを持っている子は35%と増えていて、中学生では78%、高校生では99.4%。
つまり、小学校低学年では、連絡のために持たせるのはキッズ携帯が主流で、10歳以降、少しずつスマホ所持率が上がっていくと考えられます。
キッズ携帯とスマホはどう違う?できることとできないこと
「キッズ携帯は小さい子にも安心」というイメージがありますが、実際にスマホとはどこが違うのでしょうか。それぞれの特徴を確認してみました。
キッズ携帯にできること
「キッズ携帯」の大きな特徴は、機能が限られていることと、安全管理にポイントが置かれていることです。 小さな子が1人で操作できるようボタンの数が少なく、たいてい画面のひらがな表示に従って選んでいけば電話をかけられるようになっています。通話は親が登録した相手としかつながりませんが、110番や119番などへは発信できるようになっています。
「メール」と呼ばれる機能もありますが、これは一般的なEメールとは違って「SMS(電話番号をを利用したショートメッセージ)」であることがほとんどです。
また、GPSで子どもの現在の居場所が分かる機能や、紐をひっぱると大きな音の鳴る防犯ブザー機能はキッズ携帯ならではのもの。携帯会社により、防犯ブザーが鳴らされた時、車や電車など高速で移動していることが分かった時は保護者宛に通知が来るなど、万が一の連れ去りなどに対応している機種もあります。
そのほか、専用のアプリをインストールしたり別料金のオプションを契約すると、「緊急時はプロの警備員が現場へ急行する」「子どもが携帯本体から離れると警報が鳴る」など、安全のための機能が次々に追加されています。
子ども向けスマホにできること
いっぽう、スマートフォンはインターネットやEメールが基本的にはすべて使えるのが特徴です。
とはいえ、小学生の子に高額なスマートフォンを持たせたり、いきなり誰とでもメールやSNSでつながれるような環境になるのは心配ですよね。
以前は、お店の人にすすめられるままスマホを子どもに持たせたところ、
「いつのまにか動画やゲームをたくさんダウンロードして、1か月のデータ容量を1日で使い切った」 「裏の学校掲示板にクラスメイトの悪口を書き込んで大問題になった」 「残酷な画像が掲載されているサイトを見てしまいショックを受けた」
などのトラブルが多発したため、学校などでも、インターネットやスマホの使用について指導する時間を設けるようになりました。
しかし、お店や学校、家庭でいくら指導しても上記のようなトラブルは防ぎきれない可能性があります。
そこで、2017年頃からキッズ携帯と同じように通話やインターネットのフィルタリングを強化し、各種アプリ・インターネット・SNSなどの機能制限もできる子供向けのスマホが各社から登場しました。 キッズ携帯同様にGPS見守り機能や非常ブザー機能がついているのはもちろん、歩きスマホを警告してくれる機能までついている機種も。
キッズ携帯にはない「カメラ機能」や、高学年になるとそろそろ友達同士で使う子が増えてくる無料通話アプリが利用できるのが、子供向けスマホの大きな特徴です。
また、知育アプリや子供専用の動画サイトなど、保護者が許可したものだけを使用できるように設定できるため、使い勝手は非常に良いといえます。
とはいえ、無料通話アプリは「軽い気持ちでグループから仲間外れに」「ステータスメッセージに悪口を書く」「食事中もスマホを手放さない(依存)」など、SNS特有のトラブル例が非常に多いもの。
小学生の子に利用させる場合はじゅうぶんに使い方を話し合い、最初のうちは保護者がときどきトーク内容を確認するなどの決まりを作っておく方が安心でしょう。
キッズ携帯と格安スマホはどっちが安いの?
キッズ携帯は、本体価格が1万円~1万5000円、月々の料金は500円~1000円程度のものが多い印象です。
ここに有料のオプション契約をつけると、それぞれ月額数百円ずつ上乗せされ、月700円~1200円程度払っているという人が多いでしょう。
キャンペーンや家族でプランに加入することで割引きになることもありますが、途中で解約すると本体割賦の残金や違約金を請求されるため2年間は解約できない、いわゆる「2年縛り」のことがほとんどです(2019年6月現在)。
大手携帯各社でも、子ども向けスマホを扱っているところがありますが、もともとスマホ自体が高価なため月額料金も高くなりがち。格安スマホなら…と考えるママやパパもいることと思います。
格安SIMと子供向けスマホ本体をセットで販売している会社のプラン例を見ると、本体料金25000円に加えて、音声通話なし(無料通話アプリのみ利用)なら月額1000円から用意されています。
キッズ携帯と比べると、カメラやインターネット、SNS、各種アプリから使いたいものだけを選んで使えるため、お得に感じるかもしれません。
ただ、塾など音声通話でしかかけられない先へ電話したい…という場合、別途料金が必要で、その場合は月々1950円となり、キッズ携帯よりはやや割高となります。 また、現在は大手各社のキッズ携帯と同じく2年縛りが存在しています。
2019年5月、携帯電話の2年縛りを禁じる「改正電気通信事業法」が参議院本会議で成立し、秋には実施される見込みのため、今後は各社の料金設定も変わる可能性があるでしょう。
まとめ
筆者の娘たちの場合、長女の時は「中学生でスマホを持つのは早いのでは?」という考えのママが多かったのに比べ、次女の時は5年生のクラス懇談で同じ話題が出ました。
子どもがスマホや携帯電話を持ちはじめる年齢はますます早まっているように感じます。
必要に迫られて持たせることに決めた場合も、お子さんの年齢や生活パターンにより「わが家ではどんな使い方をするのか」をよく考えて決めることが大切ですね。
文/高谷みえこ
参考:内閣府「平成30年度 青少年のインターネット利用環境実態調査調査結果(速報)」 https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h30/net-jittai/pdf/sokuhou.pdf