手づかみ食べ

赤ちゃんの離乳食が進んでくると、スプーンで口に運んでもらうだけではなく、自分で食事を食べたがりますよね。 でも、まだスプーンやフォークは上手に使えないため、指先で持って口へ運ぶ「手づかみ食べ」の時期が必要になります。 今回は、手づかみ食べに適した時期はいつごろなのか・手づかみ食べを嫌がる子はどうしたらいいのかといった疑問や、おすすめの手づかみ食べメニューなどを紹介します。

目次

手づかみ食べ、いつから始めた?

まずは、先輩ママたちに、お子さんはだいたい何か月頃から手づかみ食べを始めて、いつごろスプーンなどの食器へ移行したのかを聞かせてもらいました。

 

「うちは9か月の終わりごろでした。マッシュポテトを丸めたものを離乳食に添えておくとつまんで口に入れるように。」(Nさん・27歳・1歳児のママ)

 

「8か月に入った頃かな?それより前の6か月・7か月頃からお皿の中身に興味を持って手をつっこむことが多く、こぼれてあたりがベチャベチャになるので、バナナや木綿豆腐など、柔らかい固形物を何か1品用意するようにしてました。」(Fさん・31歳・11か月児のママ)

 

「茹でニンジンのスティックなど、いちおう手づかみ食べさせようとはしているのですが、1歳過ぎてもあまり手を付けないですね。ためしにフォークで刺して渡すと口に入れるので、味がイヤなわけではないみたい」(Hさん・30歳・1歳1か月児のママ)

 

母子手帳には、9~10か月頃の赤ちゃんの離乳食のめやすとして、「歯茎でつぶせる固さ」と書かれています。

 

その程度の固さがあれば、手からこぼれてしまうこともなく、握りつぶしてしまうこともないので、この時期からがおすすめとされているのですね。

手づかみ食べ、させないと赤ちゃんの発達に悪影響?

おかゆに手を突っ込んでかきまわし、テーブルも床もベタベタに…。手に持った食べ物を床に落として遊んでいるみたい…。持たせてみたら、口にいれたもののうまく食べられず、ベーッと出してばかり…。そんなことが続くと、手づかみ食べなんて勘弁して~!と思ってしまいますよね。 しかし、手づかみ食べには、赤ちゃんの発達に欠かせないさまざまなプラス効果があるとされています。

 

  • 「食べ物を目で見る」「手や指でつかむ」「口へ運び入れる」という、目と手と口の一連の動き(協調運動)が発達する
  • 食器を使う動きへとスムーズにつながる
  • 「自分でやりたい」という意欲が発達する
  • 自分で食べるのを止めずに認めてもらうことで、その後、食に対してポジティブな価値観を持つことができる

 

など、手や口などの身体面と精神面の両方で赤ちゃんの発達につながるそう。

 

ベタベタになるからといって、食べ物に手を出してくる赤ちゃんにいつも「やめなさい」と言っていると、ある日突然「もう大きいからスプーンやお箸で食べなさい」と教えようとしても難しいということですね。 とはいえ、毎食掃除に追われるのでは食事時間がゆううつになってしまいます。

 

おかゆや汁物などはママの手元に持っておき、野菜スティックなど自由につかんでもそれほど汚れないものを専用のお皿に乗せておくなど、できるだけママがストレスを感じない方法で手づかみ食べに挑戦させてあげられるといいですね。

 

手づかみ食べ

せっかく用意しても手づかみ食べしない子はどうしたら?

いっぽう、せっかく手づかみ食べ用の食材を用意しても、なかなか手に取ろうとしない赤ちゃんもいます。 中には、バナナやかぼちゃなど手にベタベタとつく食材を嫌う子もいますので、月齢に応じて、軽くトーストしたパンの耳やおせんべい、さつまいもスティックなど、あまり手につかないものを選んで挑戦すると、ベタベタが苦手な子にとってはハードルが下がるかもしれません。

 

手につきやすい食材は薄焼き卵やシュウマイの皮などで包むという方法もおすすめです。

 

また、先輩ママによると 「1歳まではほとんど手づかみしなかったのですが、1歳1か月頃から急に自分で食べるようになりました」 という声も多く、時期がくると自然と手づかみ食べをするようになることも。

 

毎食でなくても、時々手づかみOKのメニューを出して様子を見るといいですね。

手づかみ食べはいつまでOK?スプーンも使えるようになるには

色々なメリットがあると言われる手づかみ食べですが、2歳が近づいてくると、今度は反対に「スプーンやフォークを使ってくれないかな」「いつまで手づかみ食べなの?」と心配になってきますよね。

 

ある保育園で、生後9か月から2歳までの子を対象に、手づかみ食べからスプーンやフォークへ移行した年齢を調査したところ、スプーンを使い始めたのは一番早い子で1歳2か月、一番遅い子で1歳7か月だったそう。 また、2歳時点でも食べさせてもらう必要がある子や手づかみで食べている子がいて、やはり個人差が大きいということが分かります。

 

現在では無理に手づかみ食べをやめさせなくても良いという考え方の方が主流となっていて、3歳頃までは手づかみと並行しながら少しずつ切り替えていけばOKと言われています。 それでも、やっぱり少しずつ練習を…と考えるなら、例えばホットケーキをフォークで刺したものを渡したり、ポテトサラダなど、スプーンに貼りつきやすい食材をのせて渡してみるなどの方法も。

 

ママが心配していても、意外とまだ同年齢の他の子も手づかみが主流ということもあります。保育士さんに園での様子を聞いてみるのもいい方法ですね。

野菜スティック、おにぎり…手づかみ食べ向けレシピとメニュー

ママたちに聞いてみたおすすめの手づかみ食材を紹介します。

 

  • 野菜を柔らかく茹でたもの(ニンジン、大根、さつまいも、かぼちゃなど)
  • 果物(バナナ、いちごなど)
  • おにぎり(ラップを利用し、一口大に小さく作る)
  • 豆腐ハンバーグやお肉のハンバーグ
  • お焼き(溶いた小麦粉に、野菜やチーズ、じゃこなど好みの具を入れる)
  • マカロニを薄い塩味や野菜スープでゆでたもの
  • ホットケーキ(好みでニンジンやホウレン草を混ぜる)

 

月齢に応じ、固さや味付けを加減してくださいね。保育園に行っている子は、園の給食やおやつを参考にすると、ちょうどいい固さの目安になるでしょう。

手づかみ食べ まとめ

筆者の娘は、ごはんをソラマメ大のおにぎりにして海苔を巻くとよく食べてくれたので、支援センターや持ち込みOKのお店で外食をするときにも持参していました。 お店のスタッフさんや、通りかかった他のお客さんによく「わあ、おもちゃみたい」「かわいいですね」と話がはずんだことを懐かしく思い出します。 手づかみ食べの時期も、気づけばあっという間に過ぎてしまいますので、工夫しながら親子で楽しんで食べられるといいですね。

 

文/高谷みえこ

参考:和洋女子大学大学院「保育所における乳幼児の手づかみ食べの発達過程およびその関連要因の分析」 https://wayo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1404&item_no=1&attribute_id=20&file_no=1