働く小学生のママにとって悩ましいのが子どもの忘れ物。
体操服やプールの用意などを忘れて授業に参加できなかったり、宿題を忘れてばかりで通知表に「△」をつけられてしまったり…。
本人の学業成績に関わることならまだしも、給食エプロンなど他の子に迷惑のかかる忘れ物や、暑い時期に水筒を忘れて登校したりすると、ママは仕事に遅れそうになりながら届けにいく羽目になることも。
今回は、ママを悩ませる子どもの忘れ物問題について、先輩ママの体験談も参考に、対策を考えてみます。
【体験談】小学校で忘れ物が多い我が子に対する悩み
まずは先輩ママたちに、お子さんの忘れ物エピソードを聞かせてもらいました。
「ランドセルを置いて出ていこうとしたので慌てて呼び止めたら、ランドセルを背負って、手に持っていた習字セットを玄関に置いていきました」(Eさん・38歳・4年生の男の子のママ)
「学校帰りに、暑いから道端でお茶を飲んで、足元に鍵盤ハーモニカと手提げ袋を置いてきたみたいです。名前を見て近所のおじいちゃんが届けてくれました」(Sさん・35歳・2年生の女の子のママ)
「宿題をやり忘れる、やったのに家に忘れる、持っていったのに提出し忘れる…何段階忘れるのかとため息です」(Kさん・40歳・5年生の男の子のママ)
「夏休み前、懇談会で学校に行き、子どもの席に座ってふと引き出しを見ると、奥の方に提出期限のとっくに過ぎたプリントがくしゃくしゃに何枚も…。落とし物の箱にも、息子の鉛筆や定規が複数入っていました」(Nさん・34歳・3年生の男の子のママ)
「教科書や宿題の忘れ物、傘や持ち物をなくすのがひどくて、物の大切さをこんこんと言い聞かせても、きつく叱っても、その時は分かった、がんばると言うのですが、忘れてもあまり危機感がないんですよね。上の子はこんなことなかったのに」(Hさん・42歳・中学1年生と小学3年生の女の子のママ)
先輩ママの忘れ物防止テクニック
「ちゃんと時間割しなさい、と口で言うだけではうちの子の場合いっさい役に立たないので、徹底的に具体的にチェックすることを目指していました。玄関ドアがスチール製なので、マグネットシートに習字道具、体操服、リコーダーなどイレギュラーな持ち物を書いて貼りつけておき、玄関を出るときにちゃんと持っていたらシートを箱に戻す…というのはけっこう有効でしたね」(Tさん・42歳・6年生の男の子のママ)
「子どもの小学校は、子どもの自立を促すという理由で、忘れ物をしても親が届けてはいけない決まりになっています。いざという時は届ければなんとかなると思うと親子ともにチェックが甘くなりますが、決まっているとこちらも必死になるので、時間割は過保護かなと思いつつ、前日夜に子どもと一緒にやり、朝も出る時にさっと確認します」(Iさん・36歳・3年生の女の子のママ)
「うちの長女は、4年生くらいから1人で時間割を揃えるようになりました。卒業間近なある日、娘と話していて知ったのですが、なんとすべての教科書をランドセルに詰めて毎日通っていたそう!娘曰く、変に入れ替えると忘れるから、だそうですが、どうりで毎日ランドセルがパンパンで重そうだったわけですね…」(Mさん・40歳・中学2年生と小学5年生の女の子のママ)
子どもの時間割、いつまで親と一緒に確認すべき?
多くの小学校では、1年生の入学後しばらくは親子で時間割を揃えるよう、先生からも話があることと思います。
でも、「そろそろ1人で時間割をさせて下さい」と言われることは意外と少なく、「いつまで親が一緒に見なければいけないのか」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
忘れ物をさせないことは大切だけど、高学年になっても一緒に時間割をしていては子どもの自立を阻害してしまうのでは?という心配もありますね。
筆者は娘が小学生の頃、いつ本人に任せればいいのか目安が知りたくてクラス懇談会で質問したことがあります。
その時の先生の答えは、 「こればっかりは、その子によってまったく違います」 でした。
早い子は1年生でもほとんど忘れ物をせず自分で持ち物を揃えられるし、6年生でも軽くチェックしてあげた方がいい子もいるとのこと。
「きょうだいでも1人ずつ違うので、育て方のせいではないんです。その子に合った関わり方をしながら、少しずつ手を離していって下さいね」
先生によって考え方は違うかもしれませんが、このような感じの答えをいただいた記憶があります。
小学生の忘れ物は親の責任なのか
ときどき、「子どもの忘れ物は親の責任」という言葉を耳にします。 たしかに、図工や書写などの授業で道具を忘れてくる子が多過ぎると、指導ができないために予定を変更して作品作りを延期するケースがあるそうです。
わが子が毎回のように忘れ物をして授業の進度に影響を与えてしまうのは親としても申し訳なく、「やはり親が責任を持つべき?」と思ってしまうかもしれませんね。
「責任」というと言い過ぎかもしれませんが、他の子に迷惑をかけるような忘れ物が続くようなら、しばらくは子どもが時間割を終えた後チェックをしてあげるくらいの関わりは必要なのではないでしょうか。
「恥をかいたら自覚する」は半分正しく半分まちがい
子どもが忘れ物をしないように持ち物チェックなどのサポートをしている親の姿を見て、パートナーや祖父母から「放っておいて忘れ物をさせればいい、恥をかけば自覚して忘れ物をしないようになる」とアドバイスされることがあります。
実は、これは当たっている場合とそうでない場合が。
たしかに、たまに忘れ物をする程度の子であれば、一度恥ずかしい思いをしたことが強烈な印象となって、以後忘れ物をしないよう気をつける可能性は十分あります。 しかし、いくら忘れ物をして叱られてもやっぱり忘れ物をしてしまうタイプの子も一定数いて、その場合は恥をかけばかくほど「なんて自分はダメなんだ」と落ち込み、自己肯定感が低くなるばかり。 こういう場合は、放っておいて何度も恥をかかせるよりも、忘れ物をしないための工夫や持ち物チェックの練習などをひたすら繰り返す方がよい結果を生むといえます。
また、仮にあえて忘れ物をさせて自覚を促すとしても、親はわが子がどの程度忘れ物をしているのかを知っておくことは必須です。
いつも他の子に借りてばかりだったり、授業に支障が出たりしているのに、何も対策を取らず「自分が困れば懲りるだろう」と放置しておくのでは、子どもの学校での居心地が悪くなりかねません。
子供に寄り添った対応を心がけよう
今回、ママたちの話を聞いていて印象的だったのは、「周りの子と比べると忘れ物の多さに呆れることもあるけれど、いつの間にか回線がつながるようにできることが増えてくる」という声でした。
それまでは、忘れ物を叱るよりも、どうすれば忘れ物を減らせるか工夫していくことに力を注ぐのが良さそうです。
ママは忘れっぽいのに子どもはしっかり者だったり、親子揃ってうっかりしていたり(筆者)、親子ともにきっちりしていたり…と性格は本当に人それぞれ。
わが子に合った「忘れ物の減らし方」を見つけて、毎日できることから取り組んでいきたいですね。
文/高谷みえこ