小学生の間では一般的に、運動神経のいい子や、コミュニケーション能力の高い子など、いわゆる「目立つ子」が中心人物になりがち。そういう子どもを頂点に「スクールカースト」が築かれることもしばしばあります。おとなしい子どもや運動が苦手な子どもなどは、それだけで「最下層」に置かれることも。わが子から「自分は底辺だ」と告白された先輩ママたちが、子どもに自信を取り戻した実話です。
自分は底辺!?自己肯定感が低い我が子へかけた言葉
学校以外の世界では「底辺」なんかじゃない!(郁子さん/42歳/研究職)
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小5の息子は超がつくインドア派。勉強が大好きで、いつも本を読んでいます。そんな息子のクラスでは、運動ができる子や自己主張できる子が主導権を握っていて…おとなしい息子は、自動的にスクールカーストの底辺へ。
「休み時間や放課後に運動場で遊ぶのがいやだ…」と悩んでいましたが、「悪いことはなにもしていないのだから、堂々としていなさい」「休み時間に外で遊ぶという決まりはないのだから、自分の好きなことをしていいよ」と伝えました。
それでもまわりの目が気になってしまうようなので、放課後の塾を増やして「遊びを断る口実」を作りました。すると息子の成績はどんどん成績アップし、学校のなかでも一目置かれる存在となったのです。
勉強で自信をつけたのと同時に、塾という「学校以外の世界」では「自分は底辺なんかではない」と実感したことが大きかったと思います。「学校がすべてではない」と教えらてたことで、救ってあげることができたと思います。
家庭をとことん「安心できる場所」に(真紀さん / 38歳 / 看護師)
息子が3年生になったとき「ぼく、スクールカーストの底辺なんだ」と告白されました。
3年生にもなると、運動が得意な子がクラスの主導権を握るようになり、体育が苦手な息子は「運動オンチ」という扱いに…それから徐々にクラスのなかで「いじられポジション」になったようです。
聞いたときは私もショックで落ち込みましたが、一番つらいのは息子です。でも下手なアドバイスは、息子を否定することにもなりかねなかったので、とにかく息子の言い分を全肯定しながら話を聞いたのを覚えています。
せめて家のなかではリラックスさせてあげようと、休みの日の夕飯は息子の好きなカルビ丼やオムライスを作り、食事の時間には笑いがあふれるよう努力しました。
「安心できる場所」があったことが良かったのか、3年生の1年間をなんとか無遅刻無欠席で乗り切り、4年生になるとクラスも変わって、親友ができたようでホッとしました。
みんなと仲良くしなくてもいい(洋子さん/43歳/銀行員)
娘が「カースト底辺認定」されたのは、小学校4年生のとき。おとなしい性格の娘は「周りのコミュニケーション能力の高い子と、どう接すればいいのかわからない」と悩んでいました。そんなある日「学校で仲良くできないと、どうなると思う?」と聞いてみたんです。
すると娘は「大人になってもひとりぼっちになる…」という答え。そんな風に考えていたなんて、驚きました。私自身、いまおつきあいがあるのは、上京してから大学で仲良くなった子ばかり。小学校時代の友だちとは連絡も取っていません。
そこで卒業アルバムを見せ「仲良かった子はいたけど、いまでは誰の連絡先も知らないよ」と。私の小学校のは8クラス。これだけ大勢いたのに、誰ひとり連絡先を知らなかったことに娘は驚いていました。
「無理してみんなと仲良くしなくていいと思うよ」と伝えると、長続きする友情を築くことは、そう簡単ではないとわかったよう。形だけの面倒なつきあいはやめて、気の合う友だちと仲良くしているみたいです。
子どもの気持ちや考えを否定せずに寄り添おう
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いくらアドバイスでも「あなたのここがダメなのよ」と子どもを否定する発言はNG。「なんとかなる」という気休めも、「大人にはわかってもらえない」と、子どもに反感を抱かせてしまいます。まずは、子どもの気持ちや考えを否定せず、最後まで聞くようにしてみませんか? 家庭でも習い事でも、自分をありのまま受け入れてもらえる場所がきちんとあれば、きっとまわりとの関係もうまくいくはずです。
ライター:矢島みさえ