テレビ番組『千鳥の鬼レンチャン』の人気企画「サビだけカラオケ」に出演し、精度の高いものまねと圧倒的な歌唱力、そしてネガティブキャラでブレイクしたものまね芸人・針谷紀久子さん。「10レンチャンに成功して100万円獲得できたら、ひとり暮らしをしたい」と話した彼女は現在、49歳独身の実家暮らし。その肩書きに世間の目が気になりつつも葛藤があるそうです。
円満な実家暮らし「離れるメリットがない」

── 3月に出演した『千鳥の鬼レンチャン』で賞金100万円の使い道についてお話しされたとき「ひとり暮らしをしたい」とコメントされていましたよね。現在はご実家暮らしなのでしょうか?
針谷さん:はい、実家で母と一緒に暮らしています。私はOLを辞めてものまねの世界に入り、収入が不安定な仕事を選んだので、実家暮らしをすることで生活面を支えてもらってきた時期もありました。もちろん、今は仕事も軌道にのり、母のお金で食べさせてもらっているわけではありません。私も家にいるときは家のことをやりますし、お互いに支え合っている感じです。
── お母さんとは、すごく仲がいいそうですね!
針谷さん:そうですね。母は「家を出てもいいのよ」と、言ってくれますが(笑)。娘の私をすごく大切に思ってくれているようで「さびしいから家を出てほしくない」のが本音みたいです。お互いに親離れ、子離れができていないところはあるのかもしれません。私も母が心配だから一緒にいたい思いがあります。いつまでも居座って迷惑をかけているとか、すねをかじっているという感覚ではなくて、お互いに一緒にいたいと思って暮らしている円満な実家暮らしという感じですね。
── 一方で、ひとり暮らしをしてみたいという気持ちもあるわけですね?
針谷さん:私も今年で49歳です。今まで一度もひとり暮らしをしたことがなくて、人生経験のひとつとして、ひとりで生活してみたい思いがあります。実家自体がどこに行くにも利便性がいい地域にあるので、物理的に引っ越す必要がなかったのもあるのですが、ひとり暮らしをしたことがあるかないかで、話の引き出しがひとつ増えると思うんです。ありがたいことにお仕事も増えて頑張らなければいけない時期にさしかかり、今から5年ほどは、ひとり暮らしをして仕事に没頭するのもいいのかな、とは思っているんです。
母も今は元気ですけど、80歳を超えると、やっぱり何があるかわからないじゃないですか。だから、そばにいたい気持ちもあり、難しいところなのですが、母が元気な今だからこそ、ひとり暮らしをするタイミングかもしれないと。経験したうえで、また母のところに戻ればいいかなとも思っています。とはいえ、ひとり暮らしするとしても実家の近くに住みたくて。できれば、同じ最寄り駅の範囲で、スープが冷めない距離の徒歩圏に住みたいと考えています(笑)。
「49歳実家暮らし」と明かすのが怖かったことも
──「49歳で実家暮らし」ということで、世間の目が気になることもあるそうですね。
針谷さん:「子ども部屋おばさん」とか、「親の年金で暮らしているんじゃないか」とか、そういうネガティブなイメージを持たれるのではないかという心配もあり、私自身今までずっと「49年間実家暮らし」と人に言うのが、怖かったんです。『鬼レンチャン』出演時にこのことを明かしたときも、きっとネットで非難の声が上がるだろうと覚悟していました。そもそも、ネガティブキャラですから(笑)。
そうしたら「私も実家暮らしです!」とか、「実家暮らし、いいですね」とか、すごくポジティブなコメントをたくさんいただいて驚きました。事務所からも「むしろ実家だから安心しています」と言われ、芸人仲間からは「活躍を応援してくれる家族と一緒に暮らせることは一番幸せだよ」と言ってもらい、ありがたいことにそんなにネガティブにならなくてよかったんだと感じました。
「家族と仲が悪い」「自分の仕事が家族から認めてもらえていない」だったら、がんばれないと思うんですよ。私の場合、そういう確執がなかったから、実家にいられたんだと思います。小さい頃からものまねをしていたんですけど、母はその様子をすごく喜んでくれて。そういう両親や家族のおかげで今があります。世間的には家を出て独立するべきという風潮もありますが、私のような実家暮らしのカタチも知ってもらえたら。
ゾンビ映画好きなネガティブを好きになりますか?

── ひとり暮らしを始めるといろいろな環境も変わりそうですね。
針谷さん:ここ1年くらいで仕事が忙しくなり、かなり環境が変わってきました。いつも「私なんて」とネガティブになっていたのですが、仕事も増え、少しずつ自信を持ち始めて。人に見られることを意識するようになると、人って変わるんですよね。ポジティブさや社交性みたいなものも、少しずつ出てきたように思います。以前は食事会にもあまり出ませんでしたが、参加することも増えました。ひとり暮らしをするともっと世界が広がっていきそうですよね。
── 恋愛や結婚観などにも変化がありそうですか?
針谷さん:そうですね、ひとり暮らしでさびしくなると彼氏が欲しくなるかもしれません。この年齢になると、結婚歴がないということに対して、「どうして?」と思われることがあります。別に恋愛を拒んでいるわけではないんですよ(笑)。
たとえば「一度離婚しています」と言うと「ああ、そうなんですね」と納得される。でも「一度も結婚していません」と言うと「なんで?」って何回も聞かれるんです。そもそも、テレビで「ゾンビ映画大好き」「ネガティブです」って言っている人と結婚したい人いるのかなって思うと、結婚できる気がしないんですけど…。まさにネガティブ思考発動していますが(笑)。まずはひとり暮らしを達成して、仕事に励むことから変化を楽しみたいですね。
取材・文:加藤文惠 写真:針谷紀久子