フォロワーが51人から3万人近くになって

針谷紀久子
7か月間の引きこもり生活ではゾンビドラマ『ウォーキングデッド』にドはまりして、全169話を視聴

── それで、あえてポジティブな発想を抑えて、ネガティブ思考で挑まれたのですね?

 

針谷さん:はい。『鬼レンチャン』で歌う曲の練習をすると一度もミスせず、すべて100%成功していました。ですが、そのことを口に出して言うと失敗の引き金になると思って。だから1曲目からネガティブな思考で歌っているわけですが、8曲目まで成功するとやっぱり欲が出てくるんですよね。

 

人間って不思議です。収録中に「絶対10レンチャン成功させます」と、自分の口で宣言してしまうほどポジティブスイッチが入ってしまったんですよ。次第に夢が膨らみ「鬼レンチャンを全曲ものまねで達成」の称号をもらいたい気持ちにもなって。

 

ましてや、最後に挑んだ10曲目は、とくに自信のあった緑黄色社会さんの『恥ずかしいか青春は』でしたので、ポジティブ針谷が発動したわけです。そうしたらいきなり、歌詞の最初の6文字目で音程がズレてチャレンジ失敗に。ゾンビのフラグ通りです(笑)。オンエアを見たら私「やっぱり」って顔をしているんですよ。そして再認識しました。夢を語ったから喰われた「ゾンビドラマは正しかった」と。

 

──「ゾンビのフラグにとらわれず人生を変えたい」と、鬼レンチャン目前でポジティブ針谷を発揮した途端、失敗して再びネガティブキャラにへ戻ってしまったところで放送は終わりました。ですが、オンエア後、結果的にそのキャラクターがおもしろいと、ブレイクすることに。出演して心境の変化などはありましたか?

 

針谷さん:残念ながら『鬼レンチャン』のチャレンジは失敗してしまいましたが、多くの反響をいただいてフォロワーさんが増えました。そのときは400件ほどのコメントや、同数近いDMをいただいて。読んでみると、すべてポジティブなコメントばかりで悪口がいっさいなかったんです。正直、奇跡だなと思いました。

 

ものまねをしていると、やはり「似ている」「似てない」ということで評価されてしまいますから、否定的な反応が怖くてこれまでエゴサなどもしてこなかったのです。でも今回テレビ出演させてもらい、素の自分で受け入れてもらえたことが、すごくうれしかったです。ゾンビ好きを知ってもらい、いつかゾンビ作品にも出てみたいという欲も出てきました。私は、結局ポジティブなのかもしれませんね(笑)。

 

── たしかに、意図的にネガティブでいることで高望みせず目の前のものに丁寧に向き合われてきた針谷さんは、ただただ謙虚でポジティブな方なのではないでしょうか?

 

針谷さん:そう考えるとポジティブでもあり、ネガティブでもあるのが私ですかね。どちらも本当の自分ですね。ちなみに、ものまねショーをやるときは私、とても明るいんですよ。だから、テレビで私の存在を知り、ショーに来た方からは「二重人格なんじゃないか?」と言われたりもしますが、そんな性格を皆さんにおもしろく楽しんでもらえたらありがたいです。

 

取材・文:加藤文惠 写真:針谷紀久子