「ママはどこ?」と聞かれたら隠さずに答えたい

── いずれ迎える子どもの思春期について考えたりしますか?どんな家庭も子育てに正解はないので、そのつど悩んで対応することになるとは思いますが…。
タカフミさん:生理のことなど、いずれは男親に話しにくい内容が出てくるかもしれません。知識を蓄えておきながら、いざという時は周りの人に助けを求められる環境は作っておきたいです。いま通う保育園の先生やママ友は理解してくださっているので、今後は小学校の先生にも協力をお願いして、信頼関係を作っていきたいですね。ふだんから何でも話し合える家庭環境を整えたいですし、何か問題があったときも子どもと一緒に考えることができる土壌を作っていきたいですよね。
ハヤトさん:地域の助産師さんともつながりができているので、困った時は相談させてもらおうと考えています。家族のことは家族内で解決しようと考える方が多いと思うのですが、私たちはパパ2人の家庭ということを市役所や職場にも伝えて、こういった取材でもオープンにすることで、理解していただける方を増やしていこうと考えています。
ブログに書くことで「女性から子どもを奪うなんて悪魔の仕業だ」といった心ないメールが届いて傷つくこともありましたが…実際に私たちと関わってくれている方はみなさん、新しい家族の形として受け入れてくれる方がほとんどです。
タカフミさん:僕たちは男性カップルだから問題が突出して見えるかもしれませんが、異性の親子で起こる問題というのは、昔からシングル家庭や親が病気の家庭などでも起こってきたことなんです。でも男性同士、セクシャルマイノリティということで特に問題視されるのは、社会的な仕組みが整っていないことも原因だと思います。
── 娘さん、いまは3歳でかわいい盛りですが、いずれ「なぜうちにはママがいないの?」「お母さんはどこ?」といった問いかけが出てくるかもしれません。その際は、どんな答えを準備されていますか?
タカフミさん:最近はちょっとずつ、わが家と他の家庭の違いを認識し始めているので、「パパ2人の家もあるし、ママ2人の家もあるし、パパが1人だけ、ママが1人だけの家もある。おじいちゃんおばあちゃんと住んでいる子もいるし、いろんな家があるんだよ」という話をしています。
また、LGBTの子育てコミュニティ「にじいろかぞく」のピクニックに参加し、多種多様な家族と実際に触れ合う機会も作っています。そのうち、生物の成り立ちがわかってくると違う疑問が出てくるとは思うので、そこは子どもが理解できる範囲に応じて、あまり隠さずに話していきたいと思っています。
長年連れ添った女性カップルの場合「子どもは成人して、孫もいるおばあちゃんになってます」という方もいて、子どもの性格にもよりますけど、そういった先輩方の言葉が参考になりそうです。
── おふたりが看護師として専門分野があることも強みとなり、先の先のことも見通していらっしゃるのですね。お子さんの幸せや権利を大切にするために、細やかに気配りされているのがわかりました。
ハヤトさん:なーちゃんが幸せなら、私たちも幸せなんです。なーちゃんが生きやすいことがいちばん大切。だから彼女の可能性を狭めないように、やりたいことは何でもさせてあげられるような環境を整えて、全力で応援をしていきます。そしてこれまで通り、何か問題が起きたらそのつど正面から向き合っていくつもりです。
取材・文:富田夏子 写真:ハヤト、タカフミ