母が授けた「お守りのような」もうひとつの言葉

ヨシダナギ
西アフリカのニジェールに行ったときに少数民族の人たちと撮影

── 離婚後はお母さんが家を出たそうですが、母と娘の関係性は変わりましたか?

 

ヨシダさん:離婚して母が家を出て行った手前なのかわかりませんが、あまり私に干渉しなくなりました。今は何かあれば連絡しますし、ちょうどいい距離感で付き合えていると思います。それに、母から言われた言葉でもうひとつ印象的な言葉があるんです。

 

── どんな言葉ですか?

 

ヨシダさん:母は私のことを「特別かわいくもない」と言いましたが、逆に自分の強み、「武器」も教えてもらいました。母から「うまく話せなくてもいいから、いつもニコニコしていなさい。あなたの笑顔はすごく愛嬌がある。その笑顔は絶対おじさんには刺さるから。将来、あなたに優しくしてくれて、あなたに仕事やお金を落としてくれるのはおじさんだから、これぞと思ったおじさんには笑顔で接しなさい」と。

 

その言葉をずっと覚えていて、自分の顔の造形が気に入らなくても、笑顔でカバーすればいいと思ってここまでやってこれた部分もあります。個性のある私のことを受け入れてくれる人が、きっといるだろうって。今は世界中の少数民族のもとを訪れていますけど、アフリカでもアマゾンでも変な人と思われたらこっちのものだと思ってしつこくニコニコしています。

 

母の言葉は一部を切り取るとセンセーショナルに聞こえますが、ちゃんと「あなたは自分の娘だからかわいいけど」という前置きがありました。そして、「あなたの笑顔はすごく愛嬌がある」という言葉は、お守りみたいになって、私の人生をうまく回してくれているような気がしています。

 

取材・文:松永怜 写真:ヨシダナギ