出産から16年。今初めて明かす父の本音

── 魂児さんには兄姉がいますが、ふたりには魂児さんの病気について、どのように説明してきましたか?

 

村上さん:魂児がうまれたとき長女が4歳、長男が2歳でしたが、普通に病気の説明をしたと思います。それ以降もとくに魂児の病気について家族で話し合うこともほとんどなかったですね。長女、長男が魂児に何か配慮する必要もないですから。

 

ただ、魂児が中学1年生のときに長男が中学3年だったので、親としては同じ校内に長男がいてくれるのはちょっと安心した部分はありました。だからといって長男が何かするわけではないですけどね。魂児はお兄ちゃんが大好きで、よくお兄ちゃんの洋服とか真似していますね。長女はしっかりしていて面倒見がよくて、長女がやりたいと言ったことを、魂児もよく一緒にやっていたと思います。

 

今は魂児が思春期になったのでちょっと大人びてきましたが、魂児はみんなにかわいがられていたし、いつも話題の中心に魂児がいましたね。

 

── 子育てで意識してきたことはありますか?

 

村上さん:3人の子どもたち全員に言えることですが、ひとりになっても困らないように、自分のことは自分でできるように意識して子育てをしてきました。魂児には高校を卒業したらひとり暮らしをしてほしいと、本人にも何度も伝えています。

 

今は助けてもらうのが当たり前だと思っているような瞬間をよく見ますが、1回ひとりで生活して、苦労も含めて経験してほしいなと思うんです。実際、長女は20歳、長男は18歳ですがひとり暮らしをしています。魂児もすでに乗り気みたいです。

 

── 魂児さんが生まれて16年が経ちます。今、どんなことを思いますか。

 

村上さん:今まで誰にも言ったことがなくて、今回初めて言うんですけど。魂児が生まれたときに、妻が「健康に産んであげられなくてごめんね」とずっと泣いて過ごしていたんです。私も泣きたい気持ちもありましたが、自分が泣いてしまったら産まれてきた子があかん子になってしまう。でも、そうじゃない。魂児が産まれてきたことは必ず意味があるはずだ。そんな思いでこの16年間過ごしてきました。

 

この先も乗り越えていくことはあると思いますが、家族とともに一緒に頑張って生きていけたらと思っています。

 

取材・文:松永怜 写真:村上泰大