周囲の声に葛藤も「病気を理由に我慢する必要はない」
── しかし、街中に出ると周りの視線を感じることが少なくなかったそうですね。
村上さん:うちは子どもたちが小さい頃から家族でよく出かけていて、遊園地やプールなど、子どもが好きそうな場所にたくさん連れて行きました。でも、知らない人からジロジロ見られることは日常茶飯事でした。
何も言わずにマジマジと見てくる人もいれば、「ヤバっ!」「オバケみたい」「かわいそう」と言われることもあって。印象的だったのは遊園地に行ったとき。ハロウィンの時期でしたが、すれ違った人に「すごいね」って言われたんです。魂児の顔が仮装していると思われたみたいです。
また、知らない子どもが魂児を見て驚き、親に「見て見て!」と言った瞬間、親が「見ちゃダメ!」と言って遠くに連れて行くこともよくあります。子どもは病気とわからなくて聞いているだけだから、「何かの病気なんじゃないかな」と伝えてくれたらいいのにと思うんですけどね。
魂児に知らない人から見られることについて聞くと、「小さい頃から慣れているのでなんともない」「ジロジロ見られたら、こちらも意地悪でやり返すというか、バイバイとわざと手を振って返す」「友達に話をしてネタにする」と親の前では言っていましたが、やっぱりツラくて大変な思いをしてきたと思います。
── 病気を抱え、なかには家に引きこもってしまう人もいるかと思います。魂児さんはいかがでしたか?
村上さん:人に見られることはわかりきったことですし、魂児もそれで外に出たくないと言ったことはないですね。たしかに知らない人にジロジロ見られるのは親としても嫌ですよ。でもそれ以上に、家の外に出て、いろいろな体験をさせてあげたい。その気持ちのほうが勝っているのでどんどん外に連れ出しました。
魂児自身も小学6年生のときには病気についてみずから発信した動画を編集し、YouTubeにアップしています。私も自分のInstagramで家族の日常と一緒に魂児についても発信していますが、まずは病気を知ってもらうことが大切なのかなと思っています。知ってもらうことで、魂児がこの先もっと広い世界に出たときに生きやすくなるような気がするんです。
病気や障害があるからと言ってやりたいことを我慢する必要はまったくないし、親としても怖がらずにどんどん外に出てほしいと思っています。
取材・文:松永怜 写真:村上泰大