「強いですね」と人に言われるけれど

── 壮絶な幼少期から上京後の挫折まで、さまざまな苦しさに直面されてきました。それでも、こうして歩き出せたのはなぜだったのでしょう。

 

清水さん:幼い頃から厳しく叩き込まれた、空手の館長の教えが大きかったと思います。館長からは「どれだけ悔しいことや悲しいことがあっても、その怒りをそのまま他人にぶつけるな」と教わってきました。「だったら、このやり場のない怒りも悲しみも、全部かみしめて、生きる力に変えていこう。そうできたら、私は強くなれるんじゃないか」。そんな思いが根っこにあります。

 

こう話すと「強いですね」と言われることもありますが、そんなことはないんです。弱い部分もたくさんありますし「本当の強さって何だろう」と立ち止まって考えることも。それでも誰にも頼れず息を潜めていたあの頃の自分に比べれば、少しずつ自分の足で立てるようになったのかなと思います。

 

── かつては「一刻も早く離れたい」とまで思い詰めていたご家族との関係にも、変化があったのでしょうか。

 

清水さん:母が倒れたことをきっかけに、父も真面目に働くようになってくれて、あれから祖母からも離れることができて、今はふたりで仲良く暮らしてるみたいです。私も今ではすごくいい関係を築けています。私の活動もすごく応援してくれているんです。過去の出来事が全部帳消しになるわけではないですけど、あの頃はみんな心に余裕がなかったんだと思っています。あのまま憎み合って終わらなくてよかったなと。今は父と笑い合えるようになったので、それだけでもすごく救われていますね。

 

取材・文:西尾英子 写真:清水あいり