シングルマザーとして認知症の母親を介護

── 戦争の犠牲者という言葉が胸にずしりと響きますが、大人になってからも確執があったお母さんが82歳で認知症になり、2年間、自宅で介護されました。当時、秋川さんは57歳でした。その後は施設に入所されますが、最初、なぜ在宅介護に踏みきったのですか? 

 

秋川リサ
シングルマザーの母と祖母(右)と3人暮らしだった秋川さん(左)。留守がちだった母に代わって、ほぼ祖母に育てられたという

秋川さん:母の認知症は、82歳で発症してから、あっという間に進行していきました。

 

当時の私は、認知症や介護のことはまったくの無知で、初めての世界です。認知症が始まってすぐに介護施設の手続きやケアマネージャーさんが必要だと気づいたわけではなく、何もかもどうすればいいかわからないうちに、あれよあれよと月日が経っていったんです。

 

── そうだったんですね。ケアマネージャーさんのことを知ったのは何かきっかけがあったのですか?

 

秋川さん:近所の方に相談したら、「まず、認知症の判定を受けることが必要で、そのためにはケアマネージャーさんとつながったほうがいい」と教えてもらったんです。私も、母と一緒に暮らしていくことを思うと不安でしかたなくて、行政の窓口に相談に行きました。

 

でも、特に介護施設に関しては、行政から「案内書をお渡ししますので、頑張ってください」と、言われただけでした。最近は相談者に寄り添った対応に変わっているらしいのでホッとしていますが、当時は助けてほしかったのに、突き放されたような感覚で。すごく寂しい気持ちがしました。

 

それに、私も働かなきゃいけない。一緒に暮らしていた娘も当時は大学を卒業したばかり。忘れもしません。行政の窓口の担当者が何も調べようとしてくれなかったから、娘が声を上げたんです。「じゃあ、昼間はママが働いて、私がおばあちゃんをみて。夜はママが寝ないでおばあちゃんをみることを望んでいるんですね。そして、私はキャバクラかどこかで働けとでも言いたいんですか?」って。行政はそれでも何も動こうとしてくれなかったけれど、娘のひと言は嬉しかったですね。

 

そして、母の認知症は、最初は要介護1だったのがどんどん悪化し、半年後には要介護3になっていました。