生まれつき髪の量が少ない・薄い、1万人に1人の先天性乏毛症のあまもあみさん。周囲と自分は違うと感じながらも、弱音を吐かずに強い自分を演じてきました。そんなあまもさんがホッとできるのは、普通に接してくれる周囲の人々の存在でした。
ミニスカ、ルーズも髪の毛が薄いせいで…

── 生まれつき髪の毛の量が少ない疾患・先天性乏毛症に悩まされてきたあまもさん。年頃にはヘアアレンジなどのおしゃれができず、悲しい気持ちになったこともあったのではとお察ししますが。
あまもさん:小さいころからおしゃれが好きだったので、中高校生のときはスカートを短くしたりルーズソックスを履いたりしていました。でも、どんなにおしゃれをしても鏡や集合写真などを見ると、髪の毛が少ないので頭皮が透けていて、どうしてもそこに目がいってしまう…。今でもそのころの写真は怖くて見られず、封印してあります。
中学生のときに自分の症状について知りたくて、パソコンで検索したことがありました。そうしたら、自分に似た髪の毛の人の写真がたくさん出てきたんです。その写真は目の部分が隠されていて病院の症例写真のような感じでした。自分以外にも同じような髪の子がいることを知らなかったから「怖い」と感じてしまい、そこからは自分の疾患についてあまり知ろうとしませんでした。
── 幼少期からすでに先天性乏毛症だとわかっていたのでしょうか?
あまもさん:幼稚園に入る前から髪の量が少なく、髪が薄いせいで、周りの人が私の頭を見ているとは感じていました。数十年前は病院に行っても病名がわからず、先天性乏毛症という病名がわかったのは最近のことです。
両親は私の髪のことをとても心配していて、「女の子できっとおしゃれをしたいだろうからなんとかしてあげたい」と、小さいころからいくつもの病院に連れて行ってくれました。病院に行っても髪の毛が少ない原因はわからず、薬を塗る、電気治療、アレルギー検査など、両親はいろいろな治療を試してくれましたが、ほとんど成果はありませんでした。治療の経過を見るために定期的に家の壁の前に立って写真を撮っていたのですが、それがすごくいやだったことは覚えています。
── ご両親もあまもさんの髪のことを、とても心配していたのですね。
あまもさん:でも、それに気づいたのは高校生になってからです。自分が薄毛で周りと違うということは幼いころから気づいていました。今みたいにウィッグが身近なものではなく、私はウィッグを被るという発想すら高校生くらいまで思いつかなかったんです。すると両親が高校を卒業したらウィッグを被るのはどうかと提案してくれました。自分では想像していなかったので、不安もありましたがその気持ちが嬉しかったです。
それまでは私の髪については触れてはいけない話題というか、両親がどのように思っているのか聞きづらくわかりませんでした。でも、そのときに言わないだけで心配してくれていたのだと知りました。
最初は「ウィッグ=ハゲ隠し」だと思っていたが
── 結果的に高校3年生の夏からはウィッグをつけるようになったそうですね。
あまもさん:最近ではいろいろなウィッグがありますが、私のウィッグのイメージは自分の七五三のときで止まっていました。記念撮影のためにつけたのですが、そのウィッグがあまり似合っておらずすごくいやで…。ウィッグ=ハゲ隠しみたいな印象でマイナスのイメージが大きく、両親が提案してくれたもののテンションの上がらないものでした。
それと、実を言うと高校生くらいまでは「いつかは髪が生えてくるのではないか」という期待があったんです。思春期になると女性ホルモンのバランスも変わるため、たとえば初潮が来たらホルモンバランスが変わって髪も生えるのではないかと。なので、ウィッグで頭を隠す必要性を感じていなかったのですが、結局そうはなりませんでした。
── 実際にウィッグを検討されてみていかがでしたか?
あまもさん:そうですね。美容室でパンフレットを見たのですが、そうしたら「思ったよりもかわいいかもしれない」と。想像よりも種類が多く、七五三で止まっていたウィッグの印象がガラッと変わったんです。そのときの自分に合ったウィッグを美容師さんと一緒に選んでつけたら、「かわいい」と前向きにとらえることができました。
── ウィッグをつけて気持ちが前向きになれたんですね。
あまもさん:それまでは好きだったフリフリの服を見ても、「髪が薄いからきっと似合わない」と思い、着ることができませんでした。でも、ウィッグをつけてからは自分に少し自信が持てるようになって。洋服はもちろん、メイクやヘアアレンジも楽しめるようになりました。
今考えれば高校生のころのウィッグは黒髪のボブで、そこまでときめくようなものではありませんでした。でも私にとっては周りの目を気にせずに過ごせるようになった大きなきっかけに。それ以来、ウィッグに合わせておしゃれを楽しめるようになったんです。