当事者の立場で、がん患者の暮らしを変えたい

塩崎良子
韓国で新たなデザインを考えるために市場巡り

── そこからお仕事に復帰されたのですか?

 

塩崎さん:闘病中はおしゃれをしてバリバリ働いている女性を見ると、もう私には無理かもしれない、同年代の幸せな家族を見ると私には難しいのかもしれないと卑屈になることもあり、自分は心が狭いのかもしれないと悩んだこともありました。

 

でも、ファッションショーをきっかけに「起業する」「海外に移住する」「カフェ経営をする」など、さまざまな選択肢が考えられるように。最終的には学び直しのためビジネススクールに通ったのをきっかけに、やはり自分の経験を活かした形で起業することにしたんです。

 

現在は「KISS MY LIFE」というブランドを立ち上げ、おしゃれな医療用帽子やウィッグ、乳がんブラ、杖などを販売しています。

 

── それは自身の経験を活かした素敵なお仕事ですね。

 

塩崎さん:ただ、起業した当初はとにかく体力がなくて…。病気をする前の自分と体が大きく変わっていたので、ちゃんとできるのだろうかという不安もありました。もし、自分の具合が悪くなったらと考えると、周囲をどこまで巻き込んでいいのかと。

 

それでもやっぱり人のためになるようなインパクトのあることをしたいと思い、出資者を集めて今の形になりました。理解のある方々に支えられていることに感謝です。体調面も浮腫などの悩みはありますが、今も元気に仕事に取り組めています。

 

── 今後の目標はありますか?

 

塩崎さん:今後はがん患者の方のために、商品だけでなくサービスも提供していくのが目標です。たとえば海外にはよくあるのですが、医師が常駐するなど病気の人でも気兼ねなく過ごせるサービスを備えたリゾート施設など。物だけでなく病気の方もライフスタイルが前向きになるようなお手伝いができたらと思います。

 

取材・文:酒井明子 写真:塩崎良子