「Nクールおじさん」として11年もの間、ニトリのテレビCMに出演していた俳優の清水伸さん。7月上旬には2026年春で契約が終了したことをSNS投稿で公表しましたが、その反響がすごかったそう。現在、NHK連続テレビ小説『風、薫る』の出演ほか、10月には舞台の出演も控えている清水さんに、今だから言える裏話をお聞きしました。
最初は、サラリーマンの「悲哀」を表現していた
── ニトリのテレビCMといえば、「Nクール(Nウォーム)おじさん」と言われるくらい、清水さんの存在感がすごく光っていたと思います。そもそも出演のきっかけは?

清水さん:事務所からオーディションに行くように言われて、会議室みたいな会場に行ったんです。事前にもらっていた絵コンテに合わせて、15秒、30秒くらいの芝居をしました。起用の理由は、自分のそれまでの芝居の経験と、親しみやすさが評価されたのかわかりませんが、オーディションに合格して出演が決まりました。実際のテレビCMでも、絵コンテに沿って、自分なりに演技をしていました。
── テーマは「おっちょこちょいなサラリーマン」だったと伺いましたが…。
清水さん:最初はそうじゃなく、サラリーマンの悲哀を表現した内容だったんです。もともと冬用の暖かい寝具シリーズ「Nウォーム」のCMから始まったんですけど、当時は、家に「ただいま」と帰ってきても、誰も玄関で迎えてくれないし、奥さんと娘はテレビゲームをしているとか。コンビニでビールを買おうと思ったけど、お財布の中身が寂しかったから発泡酒にしたとか。「お財布は冷たいけどNウォームは暖かい」という感じだったんです。
ただ、回を重ねるごとに僕の持ち味のコミカルさがいい具合に出てきたということで、どんどんコミカルな内容や表情になっていきました。たとえば、道を歩いていたら車に水たまりの水をバシャッとかけられてボー然、みたいな。あのときは、何回も撮影したからその度に着替えて、裏でスタッフがドライヤーで濡れた服を乾かしていました(笑)。
朝からの撮影中、突然「ぎっくり腰」に
── 今振り返って、11年の間で大変だったことはありますか?
清水さん:1回、朝イチの撮影中に突然ぎっくり腰になっちゃって、1歩も歩けなくなったことがあったんです。でも当然、替わりがきく仕事じゃないですから、やるしかないと思って。痛み止めを飲み、さらに整体師の方を現場に呼んでケアしてもらったら2、3歩くらい歩けるまで復活し、どうにか撮影を乗りきることができました。でも、あれはさすがに大変でした。
もし、ぎっくり腰をしたのが撮影の前日だったら事前に連絡して、クライアントさんに相談したかもしれませんが、当日だったし、到底そんなことができるような状況じゃなくて。もしかしたら、CMのなかで歩いているシーンとか、勘の鋭い人とか見る人が見たら「あ、もしかしてぎっくり腰?」って気づいたかもしれないですね。「顔が引きつってるんじゃないか?」って(苦笑)。
── CMでの活躍によって「ニトリの人」とも言われていた清水さんですが、ご自身はそのことをどう思われていたんですか?
清水さん:すごく光栄に思っていました。僕は新潟県出身なんですけど、ニトリさんのCMが定番化してからは、帰省するたびに甥っ子や姪っ子の友だちが「あ!帰ってる!」ってのぞきにきてくれていましたからね。
飲食店では、食事後に会計中、お店の人が小声で「ニトリのコマーシャルの方ですよね?」って声をかけてくださったり。「そうです。ありがとうございます」と答えるんですけど、「ああ、月見そばじゃなくて天ぷらそばくらいにすればよかったかな」と思ったこともありましたね(笑)。