医師が明かす「男の子の希望者も増加」する背景
大阪府豊中市の千里中央花ふさ皮膚科・美容皮ふ科の花房崇明医師は、ここ数年、女の子だけではなく脱毛を希望する男の子が増えていると話します。
「私たちが子どもの頃の時代は考えられませんでしたが、サッカーをしている男の子がユニフォームから肌が出るスネや腕の毛が気になるから脱毛したいとか、思春期になって口周りのひげが気になるという子が増えてきています。もちろん、小学校高学年から中高生の女の子が多くはありますが、キッズ脱毛全体の2〜3割は男の子の患者さんです。
キッズ脱毛と言っても脱毛の手法は大人と一緒で、お子さまにも対応しているということで、この名称で呼ばれています。脱毛は、毛根にダメージを与え、毛の元となる細胞を破壊することで毛が生えにくくなるという仕組みです。脱毛は、実施する場所によって医療(クリニック)・エステ(サロン)・家庭用(セルフ)の3つに大きく分けられます。方式としては、医療機関で行うレーザー脱毛、エステで用いる光(IPL)脱毛などがあります。最も効果が高いのは医療レーザー脱毛です。これは、レーザーの熱で発毛にかかわる組織を破壊できるのが医療機関だけに認められているためで、エステや家庭用の光脱毛は発毛組織を破壊できず、毛を減らす・薄くする(減毛・抑毛)効果にとどまります」

低年齢化が指摘されるキッズ脱毛ですが、実は脱毛に適している年齢は第二次成長期が落ち着く18歳以降だといいます。
「脱毛は何歳から始めてもいいのですが、施術中に暴れてレーザーの光が目に入ってしまった場合は失明のリスクもあるので、まずはじっとしていられることが前提になります。
思春期にあたる第二次成長期が始まると、男の子も女の子も体毛が濃くなってくるので、それ以前や第二次成長期中に脱毛を始めた場合はまた生えてきてしまう可能性が高く、追加の脱毛が必要になることも。
医学的な観点でのベストタイミングとしては、毛が生えそろい、第二次成長期が落ち着く18歳以降の方が費用対効果は高いです。とはいっても、毛深いことへの悩みを抱えて小中高生時代を送り、「学校に行きたくない」「制服を着たくない」など日常生活に支障があるケースを考えると、今生えている毛には十分に脱毛効果がありますので、ご家庭で話し合ってみてほしいと思います。
また、自ら脱毛を希望しているお子さんは痛みに耐えられることが多いのですが、痛みの耐性もお子さんによって違いますし、技術の進歩で、昔に比べてよくはなっているものの、医療脱毛はやはり痛みが伴います」
脱毛のリスクにも警鐘「夏場は日焼けにも注意」
肌の露出が増える夏場はムダ毛が気になりやすくなる時期ですが、この時期に脱毛を検討する場合は「日焼けに注意してほしい」と花房医師は話します。
「この時期は日焼けしているお子さんが多く、脱毛のレーザーはメラニン色素に反応するため、毛以外の肌の色にも反応してしまい、痛みが強くなったり、火傷したりするリスクが高まります。日焼けをしている肌に脱毛をする場合はレーザーの出力を落とす必要があるため、抜け感は冬場に比べて悪くなります。
脱毛後の日焼けにも注意が必要です。脱毛した毛穴に紫外線があたると炎症が起こったり、毛包炎ができやすくなったりします。炎症が長引き、あとからシミになってしまう可能性もありますので、脱毛後はしっかり保湿をして、日焼け止めを塗ってください。脱毛直後に海やプールの予定がある方は主治医に相談してください」
脱毛とひと口に言ってもさまざまな種類がありますが、花房医師は「脱毛を希望する場合は、トラブルに注意が必要」と警鐘を鳴らします。
「脱毛は自由診療ですので、値段は皮膚科やクリニックによってさまざまです。レーザーと光脱毛では効果や通う回数も違いますし、皮膚科医や看護師が施術するのか、エステティシャンが行うかによっても違います。キッズ脱毛のデメリットを挙げるならば、毛が生え揃っていないぶん、大人よりも照射の回数が多くなるので、費用面の負担が大人になって始めるより大きいことです。
当院でも、エステ脱毛で顔に火傷を負って受診された患者様を治療したことがあります。その患者様は残念ながら顔に火傷の跡が残ってしまい、その後、訴訟を行うので診断書を書いてほしいという依頼を弁護士から受けました。決して格安クリニックやエステで脱毛を受けることを否定するつもりはありませんが、格安で施術を受け、この患者様のように後からトラブルになるケースもあるので、アフターケアの体制や、費用や効果を見て、判断していただけたらと思います」
取材・文:内橋明日香 写真:matsuko、千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科