今になって取り戻している母娘の時間
── 美奈子さんと再婚すると、『ビッグダディ』では家族のケンカシーンがよく放送されていました。娘の立場で、夫婦ゲンカをどう思っていましたか。
林下さん:うちは父が絶対だったし、父に最大のリスペクトをしていたので、「え?お父さんにそんなこと言う人がいるの…?」ってはじめはびっくりしました。小さいことでずっとケンカしていたので、子どもながらにソワソワしましたね。でも次第に「またやってるわ」って慣れた気がします。実際家族でケンカすることもありましたが、家族の絆が強かったので、そこまで不安はなかったかな。
結局、父と美奈子さんとは2年くらいで離婚することになって、その後も父は再婚、離婚を繰り返していきました。でも婚姻サイクルがだんだん早くなっていくんですよ。半年とか、1年未満とか。再婚相手の方と会えないままに終わったこともありました。6月に父は8回目の再婚をしましたが、お相手の方とは私はまだお会いできていません。いつかご挨拶できたらいいなと思っています。
── お父さんはYouTubeも配信されていて、詩美さんの実のお母さんとも共演しています。離婚後は元パートナーと「口もききたくない」という人もいますが、おふたりは違うようですね?
林下さん:ふたりとも自由で個性的ですが、普通に友達として付き合うぶんにはすごく気が合うんだと思います。父も離婚したからといって人との関係をザッと切る人じゃないし、母も嫌なことをいつまでも引きずらないからですかね。
── 林下さんは実のお母さんと一緒に暮らした期間は短かったと思いますが、大人になった今、お母さんに対してどんなことを思いますか。
林下さん:なんだかんだ言っても私にとって唯一の母ですし、父同様、絶対的な存在ですね。不思議なもので、子どもの頃に母と一緒に過ごせなかったぶん、今になって母との時間を取り戻している感じがします。
私は高校を卒業してプロレスラーになりましたが、母の家の近くで試合があれば、母に会いにいきますし、母が家でご飯を作ってくれたり、母に悩みごとを聞いてもらったりしています。大人になって私が変わったというより、時間が経って母が変わったのかな。ちゃんと聞いたことはないですが、母は母で、私たちのお母さんとしての時間を取り戻そうとしているのかもしれないですね。母も言葉に出さないだけで、見えない苦労もあったんじゃないかなと思います。
父の再婚、離婚によっていろいろありましたが、今まで一緒に過ごせなかったぶん、母とはこれからも母娘の話をたくさんしたいですね。そして、会えない期間が長かったのに母と今、良好な関係が築けているのは、やっぱり父のおかげだと改めて思います。
取材・文:松永怜 写真:林下詩美