ちょっと無機質な病院に彩りがそえたのが、院内のコンビニやカフェの存在。日々命と向き合う医療従事者や、大病や長期入院など心身に傷を負う患者。非日常の空間にある日常こそが、そこで過ごす時間のひとときの支えになっている。ローソンが病院内に始めた「ホスピタルローソン」は、26年目を迎えました。
26年前に立ち上げた病院内ローソン
── そもそも、どういった経緯でローソンは病院内のお店(ホスピタルローソン)を始めたのでしょうか?
村津さん(開発本部ホスピタル・ヘルスケア開発部部長、以下省略):2000年、これまで出店してきた路面店やビル内などでなく、新業態開発の取り組みを検討していくなかで注目したのが病院の売店でした。「病院という非日常のなかで、日常を感じてもらおう」というのがコンセプトです。1号店は恵寿総合病院(石川県七尾市)に決まりました。いまもお店は継続していて、昨春には能登地域の災害時物資協定も結びました。
── ホスピタルローソンは、一般的なローソンと何か違いはありますか?
村津さん:強いて挙げるなら、店舗の面積が小さいことでしょうか。各病院からスペースを割り当てられるので一概にはいえませんが、通常は200平米ある一般的な店舗より小さめなケースが多いです。病院側が保管庫などの必要な設備を整えたうえで、残ったスペースで店舗を設置するので広くとれません。また、車椅子や点滴台の方の利用も考え広めの通路幅の確保も必要となるため、置ける商品棚にも制限が出てきます。

── 面積が狭く、商品棚も減るなか、どんな工夫をしたのでしょうか。
村津さん:1商品あたりの種類や量を絞りました。たとえば、ペットボトルの水は通常は各社から多数の商品をできる限り取り揃えますが、ホスピタルローソンは2種類などに絞って陳列します。たとえば洗剤など病院では需要の低い商品は除外しました。そのほか、ご自身で動けない方や、忙しい従業員向けにワゴンによる病棟での移動販売も一部で実施しています。
また、ローソンといえば「からあげクン」ですが、ダクトを出す方向の工夫やダクトレスのフライヤーを導入するなど、揚げ物の匂いに関しては細心の注意を払っています。
医療関連の資格をとったり院内学級を行ったり
── 病院内に店舗を設けるにあたって、基本的に並ぶ商品は同じ?
村津さん:商品群は基本同じです。ただ、コンビニが入る以前の売店は、医療品を販売する事業者が行っていたケースがほとんどで、当時から院内で扱う三角巾やパジャマなどをラインナップしていました。それらの商品は従来のローソンでは取り扱いがなく、新たに仕入れ先を開拓して商品を置けるようにしました。
さらに、仮にA社のおむつを使用していても、担当医が変わってB社製のリクエストがあれば、新たに業者と取引することもあります。また、商品によっては、カテーテルのチューブ類など高度管理医療機器を取り扱う際に資格が必要なものもあり、店長などが講習を受けて資格を取得するようにもしました。

村津さん:昨年より、看護の日(5月12日)に、店内での淹れたてコーヒーサービス「マチカフェ」対象商品を50円引き(※一般の方や患者も利用可)で提供し、医療従事者を労い感謝を伝えるキャンペーンを行ったり、入院中の子どもたちに向けた院内学級を行ったりしました。コロナ禍ではとくに医療従事者を応援する目的で、マチカフェのドリンクやスイーツを半額にしたこともあります。