相手女性にも優しくできる理由、当時の父の重圧
── かなり器が大きいように感じますが。
西川さん:たぶん、10人くらいの大家族だったし、仕事も東京や大阪を行ったり来たりしながら常に多忙でしたし、口に出さないだけで相当なプレッシャーもあったと思うんです。父も落ち着く時間が欲しかったんじゃないかなって。父が仕事から帰ってきた瞬間、「パパ聞いて」って私も母も寄っていくし、おじいちゃん、おばあちゃんからも「ちょっとこれ見て」って言われて。家では全然、落ち着かなかったんじゃないかと。だからもうひとつの家で「気持ちをリセット」じゃないですけど、落ち着かせる場所が必要だったのかなって思います。
母が女性の方に「主人はここで何をしていましたか」と聞くと、「椅子に座ってボーッとしていました」と言われたことがあったらしいんです。たしかに家にいたらそんな時間は過ごせないし、父にとっては大事な時間だったのかもしれないねって。
あと、母の伝え方もよかったんだと思います。母が私たち子どもに対して、浮気を嘆くことはもちろん、父の悪口すら言わず、いつも父の楽しい話をしてくれたんです。子どもが知らないところで泣いていたかもしれないけれど、父に対していいイメージを持てているのは、母のおかげかもしれないですね。
── 離婚の話はなさそうですね?
西川さん:なんだかんだ言っても、やっぱり父しかいなかったんだと思います。メチャメチャ好きなんですよね。夫婦のことは結局、夫婦しかわかりません。今年で2人とも80代になりますが、家のお風呂も一緒に入ってるし、たまにはケンカもしてるけど、やっぱり離れないでしょうね。
取材・文:松永怜 写真:西川かの子