おかみさんもPTAも「悩むより動いたほうがいい」
── おかみさんとして忙しい毎日を過ごしているのが伝わります。さらには3人のお子さんの育児にも奮闘されているそうですね。
小泉さん:子どもたちが赤ちゃんの頃から力士たちがかわいがってくれています。抱っこしてくれたり、おやつを食べさせてくれたり。本当に助かっているんです。稽古の邪魔になるかなと思って、子どもを稽古場に連れていくのを遠慮すると、力士たちが「今日は子どもたち、いないんですか?」と聞いてくれるんです。
みんな、子どもが好きなのが表情からあふれ出ていて、会えないと寂しそうで。いちばん上の子どもは小学4年生ですが、今でも「お兄ちゃん」と力士たちを慕っています。本当にみんな兄弟のように過ごしてくれて、部屋全体が家族みたいな存在です。

── 何事も「自分にできるだろうか」と悩む前に動き始めている印象を受けました。
小泉さん:「悩む時間がもったいない」と思っているからでしょうか。「どうしてこんな大変なことになってしまったんだろう」と、クヨクヨ悩む時間があったら、目の前の課題にどう向き合うかを考えるほうが圧倒的に効率的ですよね。
何事もまずは行動してみて初めて見えてくるものがあると思っています。昨年と今年は、子どもの小学校のPTA役員も引き受けました。断る理由がなかったんですよね。でも、実際に活動してみたらとても楽しかったです。
── おかみさん業、3人の子育てと、断る理由はいくらでも作れそうですが…。
小泉さん:とりあえず「挑戦してみよう」とつねに考えていて。やってみて、本当にムリだったらその時にお断りしてもいいかなと思うんです。何事も挑戦してみないと悔いが残る気がするたちで。
入門希望者には私も話を聞くのですが、以前、部屋を見学に来た大学生から「プロとして力士になるか、教員になるか迷っている」と相談されました。そのときは「今しかできないことを選ぶのがいい」と答えました。力士として30歳まで頑張って、セカンドキャリアとして教師になることはできるけれど、その逆は難しいですよね。
実際には人生の歩み方に何が正解かなんて誰にもわかりません。私自身は年齢を重ねたとき、「あのとき挑戦したらよかった」と後悔したくないんです。だから、100点満点じゃなくても、自分が納得できる道を歩んでいけたらいいなと思います。
取材・文:さいだ多恵 写真:小泉エリ