夫とは常にオープンな関係

── 高野さんがご家族とのコミュニケーションで大切にされていることはありますか?

 

高野さん:2人とも何でも思ったことを口にするタイプ。この前は、北村が出演していたドラマを観ていたのですが、それがシュールな世界観で。みなさんの芝居も独特だったんですけど、北村の芝居がいつもよりオーバーだったんです。だから私、ひとり言っぽく「めっちゃオーバーじゃない?この芝居」って言っちゃって。ソファの隣に座ってた北村には、しっかり聞こえてたみたいですけど(笑)。

 

そうしたら、実は北村が演じていた役柄は、ドラマの中でまた芝居をしているという設定だったみたいで。北村は私に向かって「うほほっ」てほくそ笑んで、「引っかかったな」って。私は、「きーっ!悔しい!」みたいな(笑)。いつもそんな感じで、普段からお互いになんでも言っちゃいますね。特に私は何でも包み隠さず話してしまうタイプで。意見が違っていたら、お互いの考え方や価値観の違いを確かめ合っていくことが楽しいって思うんです。

 

高野志穂
7歳からバレエを始めた高野さん(撮影/TADAYUKI MINAMOTO)

── 北村さんには、生理の話もされるとか。

 

高野さん:そうですね。夫には生理前の自分の体の不調についてよく話しています。10歳の長男も、学校の保健体育で体のしくみなどを習ってくるので、「私も体調や気分に浮き沈みがあるんだよ」と伝えたり。

 

長男もちゃんと理解することは難しいかなとは思うのですが、私の場合、生理の時期は、厳しい口調になってしまうみたいで。でも、自分で感情をコントロールできればとっくにしていますし(苦笑)。夫や長男には、「今は生理前だから」って話して、それで「触らぬ神にたたりなし」と心構えをしてもらっていたほうが、お互いのストレスが減るんじゃないかなって。それに、息子には「私の機嫌が悪いのは、あなたのせいじゃないんだよ」と伝えておきたいんですよね。

 

 

夫婦間だけでなく、親子の間の風通しもよさそうな高野さんご一家。いつもあっけらかんと明るい様子ですが、第二子の出産と育児がコロナ禍に重なった時期は、どん底まで気持ちが落ち込んだといいます。

 

PROFILE 高野志穂さん

たかの・しほ。1979年、東京都生まれ。父の海外赴任で、幼少期からバーレーン、シンガポール、英国(マンチェスター、ロンドン)で暮らす。15歳で帰国。1998年に俳優デビュー。2002年放映のNHKドラマ『さくら』ではヒロイン役を演じる。その後、ドラマ、映画、舞台などで様々な役で活躍している。2児の母。

 

取材・文/高梨真紀 写真提供/高野志穂